【感想・ネタバレ】ネオ・ネグレクト 外注される子どもたちのレビュー

あらすじ

習い事漬け、塾のはしご、孤食、スマホ育児、SNS映え重視の子育て……。
衣食住は満ち足りていても、親が子どもに関心を持てない。
それが「ネオ・ネグレクト(新しい育児放棄)」です。

コスパ・タイパを優先し、“外部の専門家”に子育てを任せる親が増えている現代。
もちろんそこには多大なお金がかかります。
一見「恵まれた子育て」に見えますが、重要なものが欠けているようにも感じられます。

著者の矢野耕平氏は、中学受験指導の現場で30年以上子どもに向き合ってきました。
その豊富な経験と取材をもとに、家庭や学校で起きている実態を描き出し、
背景にある社会の歪み――効率至上主義、情報過多、自己責任論――に鋭く光をあてます。

「送迎バスで習い事はしご」「お金だけ渡して毎日孤食」
「受験は塾に丸投げ」「SNS映えのための子育て」……。
便利さや豊かさの影で欠けているのは、親が子どもへ向けるまなざしと親子の信頼関係です。

本書は、効率や課金では埋められない“子どもにとって本当に必要なもの”を問い直し、
親や社会がこれからどうあるべきかを考える指針となります。
現代子育ての新たな問題に向き合うための、すべての保護者・教育関係者必読の一冊。

■目次■
序章 「ネオ・ネグレクト」とは何か
――衣食住が満たされていても何かが足りない…「ネオ・ネグレクト」の定義とは。

第1章 東京湾岸タワマン地域の子どもたち
――都市の豊かさの陰で進む、子育て外注の実態。

第2章 次世代に引き継がれる心の傷
――親の無関心が子どもの心に残す深い影響。

第3章 教育現場と「アウトソーシング」
――塾や学校に“丸投げ”する子育てがもたらす弊害。

第4章 育児とネオ・ネグレクト
――幼少期からはじまる子育ての外注化の実態。

第5章 結局、誰が「悪者」なのか?
――親、学校、社会…問題の背景を社会問題として問い直す。

終章 ネオ・ネグレクト減少の筋道
――子どもが健やかに育つために本当に必要なこととは。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

発売前から気になっており予約して購入。
語彙力豊富で、文章がとにかく読みやすく美しく勉強になりました。
さっと読めます。
すごくセンセーショナルなフレーズ。”ネオ・ネグレクト”

前々から子育てにコスパ・タイパはないと思っていて。
お金は出すからあとはよろしく、ないし、お金を出した分結果を出して。
みたいなアウトソーシング。
小受中受界隈なのか。英才教育界隈なのか。
うまく言葉にできないもやもやがずっと気になっていた。

私が子育ての軸としている佐々木正美さんや、汐見稔幸さん、小川大介さんなどが唱えているような「こどものありのままを信じて見守る」「こどもは促成栽培できない」というような子育ての本質とされるものからどんどん遠ざかっているなって感じていて。

一度手にした生活水準・快適さってなかなか手放せないよね。
お金に困っていない大人同士で日々を快適に暮らしている中、子どもという、”ままならない”ものが加わる。
泣き声笑い声はしゃぐ声喧嘩する声、ドタバタ音。大人だけでは起こり得ない音、散らかる部屋、果てしない家事、話しても伝わらないもどかしさ、一人の時間が持てない辛さ。
子どもが体調を崩せば仕事を休んだり、預けたり、心身ともに負荷が加わって。
学歴・習い事・身に着けるものから旅行など目に見えるものが気になったり。

子どもを育てるって本当に大変だと思う。
特に現代においては。

子育てで失敗しちゃいけない、したくない。
自分はこうしてきたからこのやり方が正しいはずだ。
SNSで見かけたあの人はこうしてる、我が家もこうしなきゃ。
でも、うちの子だけはきっと特別だから…もっとやらなきゃ。

便利なグッズはどんどん頼ればよいと思う。
忙しくてさ、出来ることにも使える時間にも限りがある。
手間暇をかけた分が愛情の証拠みたいなのはわかるけど、それがすべてじゃなくてよいと思う。

でもそれらはあくまでも子どもファーストであって欲しいと思う。
”ただただ今の大人が楽をするためだけ”ではなく、未来の子どものことを考えたグッズであったり、サービスであって欲しいと願ってしまう。

子どもの顔を見てる?体の調子はどう?心はどう動いてる?言葉遣いや態度、人への接し方の様子に変わりはない?

楽する育児。頑張らない育児。無理をしない育児。

わかるよ。逃げたいよ、楽になりたいよ。辛いよ。快適に暮らしたい。
スマートに暮らしたい。SNSみたいにキラキラしたい。
わかる。

それでも"我慢"出来るのが大人なのかなって思ってる。
結婚も育児も”忍耐”はやっぱり…わかる。
他人と暮らすのって大変だもん。
漢字の圧なのか、言葉としての重みが大げさなのかはわからないけど、
夫ないし子どもないし、"自分以外"の他人と生活するんだもん。

思いやりも譲歩も優しさも大事でさ。一人の時みたいに、子どもなしの時みたいに自分ファースト、あるがままってのはやっぱり難しいのさ。

私も日々葛藤してる。すごく闘ってる。苦手な"我慢"頑張ってしてる。

でも、子育ては一生じゃない。

子どもが大人になるまではやっぱり責任は親にあって、見届ける義務があるよねって思ってる。
いつか子どもたちが大きくなって、私たちに接してくれる態度が子育ての答え合わせになるのかなって思ってる。

子どもが心身共に健康であって欲しい。
たくさん寝て、たくさん食べて、たくさん遊んで欲しい。
周りの人と関わりを持って愛情をもらって、大切にして、されて。
時には傷ついたり傷つけながら他人との距離を学んで。

そうやって心と体の健康の土台さえ育っていれば、やるべきことはいつか"その時"が来たら自分で見つけられるんだ。自分のために頑張れるんだ。

生きる意味を見失わず、自分はこれがやりたいんだって思える大人になって欲しい。
子どもは社会の宝。預かりもの。大切に育てて、未来に繋ぐの。

あまりこんなワールドワイドな、大きなことを言うのらしくなさを感じるし、恥ずかしいし、歌詞みたいでむずむずするけど、これが私の願いだよ。

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2025年12月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

(2025/10/06 初発の感想)
なかなかドキッとする指摘。
「ネオ・ネグレクトとは、衣食住に満ち足りた生活をしていても、親がわが子に関心が持てない状態を指す。」

いろいろな事例が紹介されており、驚くのもあれば、ちょっと自分も思い当たるものもあり。時代と環境的に仕方ないのもあるけど、う…痛いところ突かれた…という感じ。

発達心理学の先生などではないので、事例&背景考察が主で、子どもに与える影響などは言い切られていないけど(新しい事象でそもそも未知数だし)、直感的に「あまり良くなさそうだな」と思うことは、エビデンスがなくても避けておきたい。なので、こういう新しいことについて声を上げてくれるのは、気づきとしてありがたいなと思う。ましてや中学受験塾の先生という立場で。勇気あるな。

しかし、子育てに効率性(コスパ、タイパ)を持ち込んじゃならんというのは重々、ほんとに重々、認識しているんだけども。やはり仕事と家事には効率性を重視していて、忙しいとたまにバグりそうになるときはある。注意注意。

とはいえ、過干渉は最悪だし、良好な親子関係のためにはある程度距離が必要なときもあるし…。適宜バランス見ながら、なんだろうな。

著者の結びの言葉「子にとって親は世界そのもの」
わー、早く大きくなって世界を親以外に広げてくれ~(と思う時点で笑)

【知らなかったこと】
・縦抱きばかりだと、手合わせや足合わせの経験ができない。
・最近は臍ヘルニアの子が多い、腹筋を使う運動をしていないから。
・足上げの経験が乏しくて便秘。
(以上、小児科医より。もう遅いけど…)

【完全共働き家庭で育った夫の意見も聞いてみた】
・子どもの頃はそれが当たり前だったから、タワマン子ども食堂失敗の話、ターゲットの子が気づかないっていうのは確かにそうだろうなと思った。
・関係ないけど「子育てとは、何者でもないわが子を受け入れる作業」が響いた(インタビューの一節)


(2025/11/8 追記)
Xでの主義さんとのモメゴトを眺めていて…
まあ主義さんの話法が癪に障るのはわかるけど、中受全般の問題点を指摘されたくらいで名誉棄損と騒ぐのは、正直やり過ぎでは。個人的な誹謗中傷にあたるとまでは思えない。
それを言うなら、こちらの本ではタワマン民にだいぶ辛辣なので、タワマン民に訴えられてもおかしくない。(比較対象として山の手民を出すのもイメージトーク過ぎて、ちょっと半信半疑…)
自分が批評するのはいいけど、他からされるのには非寛容、というのはどうなのだろう?
こちらの本は、顧客(の一部)にケンカ売っているともとれ、勇気ある提言と思ったのもあって、残念な一件だった。
お2人とも、立場は違えど民間教育の側から子どもたちを支えていこう!というのは同じだと思うので、和解してほしいなー(業界の信用問題にも関わるし…)

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2025年10月08日

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