あらすじ
ビデオゲームの誕生から現代までの進化を追う一冊。この書籍では、初期のアーケードゲームから最新のオンラインゲームまで、ゲーム業界の重要な転換点を網羅的に解説。岩崎氏自身の経験を生かし、名作ゲームを例にあげながらビジネスモデルの変遷を詳細に描く。
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Posted by ブクログ
1970年あたりから2020年代あたりまでのゲームのビジネスモデルを俯瞰できる良書でした。
ゲーム自体をプレイヤーとして見ることはあっても、なかなかそのビジネスモデル、会社側の収益デザインの観点から読み解くことは難しいのでとても参考になりました。
Posted by ブクログ
大きな歴史を知るにはかなり良い本だった。筆者の熱量を感じた。アーケードとコンソール、日本アメリカ韓国、ロムカセットとダウンロード、かなりうまくまとめられてて勉強になった。
韓国の関係者はマジで情報を残せ、と思った。
趣味の勉強として。
Posted by ブクログ
ゲームの歴史をビジネスモデルの観点で俯瞰する本。ゲームセンターのアーケードゲーム、家庭用ゲーム機、MMORPGをはじめとするオンラインゲーム、ソシャゲなどのスマホゲームなど多種多様なゲームが登場する。だが、単なるゲーム発売年表ではない。たくさんの有名なゲームが挙げられ、それらがゲーム産業の中でどう画期的だったのか、どんな役割を果たしたのかといったことを知ることができる。
今とは全く異なる、ゲームを取り巻く時代の空気のようなものが感じられたのも良かった。特にファミコンなどROMカートリッジが主流だった頃のゲームの流通の仕組みが読み応えがあった。そしてそこからくる弊害も(需給コントロールが難しく、仕入れが少なければ機会損失・多ければ不良在庫→値引き合戦になる。中古ゲーム市場が生まれ、メーカーと利益相反になる)。今は当たり前のダウンロード販売は、業界の悲願だったのかもしれない。
冒頭に出てくる『「ゲームの形」はビジネスモデルと強く結びついている。』という言葉が印象に残った。ゲームも作り手側にとってはビジネスで、いくら面白くても利益を出せなければ続けられない。ユーザー側として遊んでいるだけでは気にも留めない事情を知ると、この時代にこのゲームが出たのは必然だったのではと思えてくる。
本書で扱われるゲームの歴史は、1972年の『PONG(ATARI社)』から始まり、新しいものは2010年代以降まで(PlayStation、Steam、ゲームのダウンロード販売、インディーゲームの台頭、ソシャゲ、ガチャといったキーワード)。多様すぎて、ひとつの軸で俯瞰するには難解な印象を受けたが、ビジネスモデルの観点でゲームの進化の歴史を俯瞰するというのは面白かった。これから先、ゲームはどう進化していくだろう?
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以下、印象的だったものをざっと箇条書きする。
・アーケードゲームの1プレイ100円の都度課金とその収益構造。ゲームセンターの売り上げは、「(営業時間÷1プレイの平均プレイタイム)×プレイ単価」で決まる。プレイ単価はほぼ100円で固定されており、営業時間も増やしづらい。必然的にプレイタイムを短くする方向でゲーム設計が考えられるようになった。
- プレイ進行に従って難易度が上がる。ゲームオーバーを促し、回転率を上げる。
- 都度課金のシングルゲームにおいて、プレイするに従って理不尽なまでに難易度が上がるのは必然だった。そしてビジネスモデルを考えれば、時間制限なしのゲームが廃れていくのも避けられない運命だった。
・1977年にATARI VCS発売。ゲーム機とソフトを分離し、ソフト(カセット)を売ることで儲けるプラットフォーム型ビジネスのはじまり。その後1982〜1985年の「アタリショック」を経て、任天堂が1983年にファミリーコンピューター、1985年にアメリカでNESを発売。
- アーケードゲームと違い、買い切り型ゲームではより長く遊びたいという思いが働く。
- 初期の買い切り型ゲームでは、アーケードゲームの移植が人気を博したが、次第にビジネスモデルの違いからくる問題に直面する。
- RPG、シミュレーションゲーム、オンライン対戦のTPS/FPSなどのジャンルは買い切り型のビジネスモデルに適応したゲームと言える。
・ROMカートリッジがもたらした業界構造。
- 2010年代半ばを過ぎてゲームのダウンロード販売が当たり前になるまでは、家庭用ゲームのビジネスはB2B、すなわちメーカーは流通にゲームを売るところまでが仕事だった。ゲームの流通はメーカー→問屋→小売りを経て、ようやくユーザーに届く。
- CD-ROMと違い、当時のROMカートリッジは再生産に数ヶ月の時間がかかる。
→生産に時間を要するため、最も売り上げの出るクリスマス商戦への備えが重要。7〜9月には工場にマスターを納品しなければならない。マスター納品までに問屋から注文が集まっていないと困る。そのために雑誌などに掲載され、ユーザーからの予約が集まっている状態に持っていけることが望ましい。
→仕入れたソフトがすぐに品切れになれば機会損失、逆に売れ残れば不良在庫になる。需要に応じた仕入れが難しく、人気のゲームでも仕入れが多すぎれば値引き合戦が起こる。この構造は1990年代にソニーがCD-ROMを標準にして流通革命を起こすまで続いた。
→ROMカートリッジの新品の供給が少ないことから中古ゲーム市場が生まれ、メーカーとの利益相反へ。
・中古ゲーム市場に対してのメーカーの動き「中古に回りにくいゲームを作る」。
- 1990年代前半の格闘ゲームブーム。格闘ゲームは、友達との対戦に飽きない限りは売られにくい。当時人気のRPGでも「ストーリーをクリアすると売られてしまう」ため、ストーリーの長大化(ただしデバッグ工数の都合から一定以上は難しい)やクリア後の隠しダンジョン、コレクション要素などでプレイ時間の引き伸ばしを図った。
- どれだけ面白くとも、すぐクリアできて中古に売られるゲームはメーカーに利益をもたらさないため許されない。
・1991年カプコンの『ストリートファイターII』がアーケードゲームのビジネスモデルに革命を起こした。向かい合った筐体で対戦する、勝ち残り・負け抜けの仕組み。負けた側はもう一度100円を投入し、リベンジしたくなる。対戦が途切れなく続く仕組みが出来上がった。
・『トルネコの大冒険』や『風来のシレン』などローグライクゲームの由来となった『Rogue』(1980年)。
・韓国のオンラインゲーム。
- ディアブロ、スタークラフト、リネージュ、ラグナロクオンライン
- 韓国がオンラインゲーム大国と呼ばれるようになる決定的な分岐点は、韓国政府が国策としてADSLを普及させようとした1997年頃。
- PC房(日本でいうネットカフェ)とADSLの普及がブームの背景にあった。
- 韓国の国民番号制。国民番号によって個人を識別でき、ゲームアカウントと国民番号を紐付けることでゲームの信頼性向上に寄与した(インターネットの匿名性による弊害を減らせた)。
→ラグナロクオンラインでは、国民番号によって性別確認が行われ、一致した性別のキャラクターしか作れない。リアルとゲーム内の性別が一致するので、ゲームが出会いの場として機能していた。国が変われば、ゲームを取り巻く環境も大きく異なる。
- ベータフライヤー問題。
Posted by ブクログ
ゲームの変遷をビジネスモデルの視点で切り取った本書。アプリストアに同じようなゲームが溢れかえっている理由が面白かった。ハイパーカジュアルというジャンルがあることを初めて知った。広告とも密接に関わり合っているのね。
Posted by ブクログ
自分はゲーム開発に興味がありつつも自信が無くノーマル事務系システムを作る道へ
コンシューマ機がAC完全移植を目指さない事に長く憤慨してましたが、この本を読むと明確に理由が分かる
ゲーム業界ビジネスの流れが理解できる良本!
Posted by ブクログ
ゲーム史を振り返る本の多くは、技術やハード、メーカー、ゲームジャンルなどの変遷が主なテーマであることが多い。本書のテーマはなかなか珍しいといえる。「ビデオゲームはいかにして儲けようとしてきたか」だ。
業界の流行とともに変化していく儲けるための手法の変化を実例も交えながら振り返っている。
ビデオゲーム関連書籍が好きな人にもあらたな視点からの分析を楽しめるだろう。
Posted by ブクログ
――「ゲーム史」ではなく、“ゲーム産業の進化論”として読むべき一冊――
本当にためになるゲームの歴史は、単なる懐古本ではない。
むしろ本書の本質は、
「ゲーム業界は、なぜ現在の形になったのか」
を、ビジネスモデルと技術進化の両面から整理した点にある。
著者の岩崎啓眞氏自身が、
PCエンジン時代
コンシューマ黄金期
モバイルゲーム
運営型ゲーム
まで、実際の現場を経験してきた人物であることも大きい。
だから本書は、
外から見たゲーム史ではなく、
“中の人が見たゲーム史”
になっている。
「ゲーム」は技術ではなく構造で進化してきた
本書を読んで改めて感じるのは、
ゲーム業界って結局、
ハード性能
グラフィック
流行
だけで進化してきたわけではないということだ。
むしろ重要なのは、
課金構造
流通
開発コスト
プレイ時間
通信環境
プレイヤー心理
など、
“ゲームを成立させる環境”
の変化だった。
これは現在のソシャゲ運営を考える上でもかなり重要な視点だと思う。
「大ヒット」から「継続運営」への変化
特に印象的だったのは、
ゲーム産業が、
一発大ヒット型
から、
長期運営型
へ変化していった流れ。
これは単なる技術進化ではなく、
「市場構造の変化」
なんですよね。
昔は「売り切り」が中心だった。
しかし現在は、
継続課金
イベント運営
コミュニティ維持
可処分時間争奪
が重要になった。
つまり今のゲームって、
「作品」
というより、
“サービス”
に近い。
この変化を歴史的流れとして整理している点が、本書の面白さだと思う。
「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる」が成立しなくなった時代
個人的に本書を読んでいて強く感じたのは、
今のゲーム業界って、
リスクヘッジ
安全運営
IP依存
へ寄らざるを得なくなっているということ。
これはアニメ業界ともかなり似ている。
昔は市場拡大期だったから、
多少無茶な企画でも市場が吸収した。
しかし今は、
開発費高騰
運営費増加
人件費上昇
可処分時間競争
が激化している。
結果、
「黒字化はできても、大当たりしにくい」
構造になっている。
ここを「歴史」として整理しているのが、本書の価値だと思う。
AI時代への示唆
さらに興味深いのは、
ゲーム業界が常に、
技術革新
自動化
システム化
と隣り合わせで進化してきたこと。
現在はAI時代へ入りつつあるが、実はゲーム業界は昔から、
「技術と創作の境界」
を問い続けてきた業界でもある。
だからこそ今後は、
人間にしかできない体験
コミュニティ形成
熱量設計
が、より重要になる気がする。
総評
この本は、
「昔のゲームは良かった」
というノスタルジー本ではない。
むしろ、
“ゲーム業界がなぜ今の形になったのか”
を理解するための本だ。
ゲームを単なる娯楽ではなく、
ビジネス
技術
社会構造
メディア史
として見たい人にはかなりおすすめできる一冊。
特に、
「なぜ現在のソシャゲ運営がこうなったのか」
を理解したい人には、かなり刺さると思う。