【感想・ネタバレ】天気予報はなぜ当たるようになったのか(インターナショナル新書)のレビュー

あらすじ

私たちの生活に欠かせない「天気予報」はどのように作られているのか? 気象の予測技術開発、国際協力業務、「線状降水帯」の情報発表に取り組んできた元気象庁長官の著者が、その裏側をわかりやすく解説する。予報の精度が上がっている理由は? 防災気象情報に込めた思いとは? 猛暑は地球温暖化のせいなのか? 「AI予報」で気象庁はどうなる? 身近だけれど、実は知らないことだらけの「天気予報」のしくみがわかる!

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Posted by ブクログ

天気予報の舞台裏の紹介とされていますが、それだけではなく普段の防災のためになるお話も書かれています。
天気予報は昔に比べてると細かく知ることが出来、生活への影響や何故そのような天気になるのかが分かるようになって便利であり興味が湧くような解説がされるようになったと思っています。
ただ防災情報の用語が増えてよく理解出来ない部分もこの本を読んで多少理解が出来たかと思います。
今のような天気予報がなされるためにどのような苦労や国同士の関係を気象庁が行ってきたのかが分かりました。天気予報にAIが利用されるようになった事も。
また新しい視点で天気予報を見る事が出来ると思います。

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2025年10月09日

Posted by ブクログ

数値予報 現在の地球全体の気温や風速などの情報から 今後を物理法則で計算する
 気象庁 半日先の予報 2km間隔で計算するモデルを使用 1km間隔を開発中
 大気の状態が不安定=下の空気が暖かく湿っていて上空が冷たい時 →積乱雲発生

解析雨量(3~6時間後)(1km2 単位)=
 アメダス1300カ所の雨量計・河川や道路のデータ(合計1万点≒6kmごと):正確
 +全国20の気象レーダー・河川管理レーダー:広域の雨域観測(海上も可)
  前の雨域と現在の雨域の方向とスピードを比較し降水予測
降水短時間予報(15時間先まで)
  解析雨量と数値予報の組み合わせ (積乱雲は数キロの大きさ)
  30分先は250m2、その先は1km2単位で1時間先まで予報する

イベント・アトリビューション(シミュレーションによる地球温暖化の寄与分析)
 日本の夏の平均気温は毎年±1℃程度上下している(その年の気圧配置の影響)
 しかし、猛暑は温暖化がなければ ありえないもの
 台風や集中豪雨の雨量も温暖化で1割増えた

WMO世界気象機関 1990~ 国連の専門機関 本部ジュネーブ
 IMO国際気象機関1879~ 日本は1885加入 天気に国境はない
 気象衛星ひまわり 常時観測静止衛星 アジア太平洋をカバー
 警報システムを2027年までに全世界に

気象予報士
 8~9000人受験し合格者400人くらい 累計1万人 約2割が気象予報の仕事に

AI予報
 全球数値予報モデル 欧州ECMWFが世界一 数値予報より高精度予報 2022~
 スーパーコンピューター1時間 →PC1分 過去の再解析データを教師データに
 仮説と実験には数値シミュレーションが必要

IBF (Impact-based Forecasting) インパクトベースの予報
 その気象の影響で何が起こるのか? 災害やビジネス

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2025年10月08日

Posted by ブクログ

元気象庁長官が天気予報や気象庁、世界とのつながりの裏側をわかりやすくまとめた書籍

タイトルへの答えは、数値予報モデルの進化、計算能力の向上が挙げられる。
明後日までの予報は格子の間隔が5km、より広い台風などの予報では間隔13kmにまで縮めてきている。

それでも線状降水帯の理由不明など今後解決すべき課題もある。

そして予報に不可欠なのは天気に国境はないとの通り、各国の気象に関しての無料・無制約のデータ交換の原則が、維持されていることが重要。

今後はAIをもちいたりインパクトベースの予報(IBF)が増えるのだと思うが、わかりやすい予報であればよいと思う。

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2025年08月15日

Posted by ブクログ

 2025年8月10/11日、東海道新幹線を利用して帰省(奈良)した。
 全国的に雨の二日間で、往きは窓外もずっと灰色で、もちろん富士山も拝めず。復りは九州地方で線状降水帯が発生、西日本の大雨で新幹線は20分以上の遅延、さらには運行の順場も前後させるなどダイヤも大乱れ。京都駅で乗車待ちの列に並んでいると前後のインバウンド観光客から、「僕はリザーブしてないがこの列車(=のぞみ)は乗れるのか?」や、「どうして後の時間の列車のほうが上に書いてある?(=先に出る)」など訊かれまくる。外国人からしてみれば、遠く九州の雨の影響なんて思いもよらないだろう。

 そんな往路復路で、旅のお供にしたのが本書で良かった。臨場感を持って読むことができた。
 元気象庁長官による、近年の気象予報の苦労話だが、まさに、喫緊の課題の線状降水帯の発生メカニズムとその予測に、わざわざ1章が割かれるほどの内容だったのだ。

 とにかく、2000年以降の、異常気象や自然災害の被害は、我々の過去の経験、想像をも超えてくる印象がある。
 まずは、2004年。この年は台風が10個上陸し、スマトラ沖地震も発生。2011年は、なにより東日本大震災だ。2019年の台風19号は、関わっていたとあるイベントが中止に追い込まれたり、良く行く長野県の千曲川の大氾濫は、被害の様子その後の復興も年次で見てきた。
 2020年の球磨川氾濫は、まさに今年、今、熊本の線状降水帯の被害を思い出す出来ごとだ。
 これら、本書に記載されたこと以外にも、2018年の夏、秋田・山形で発生した線状降水帯に巻き込まれ新潟まで鉄路利用をレンタカーに切り替えて難所を突破したのも記憶に新しい。

 こうした数年置きに、なんなら近年は毎年のように繰り返される異常気象。その都度、対応を工夫し、被害を最小限に食い止めようと工夫と研鑽を重ねてきた気象庁の苦労が語られていて、実に読み甲斐のある一冊となっている。

 例えば、2004年は「避難指示」のタイミングや、その受け取り方、実行における課題が浮き彫りになったこと。2011年の大震災の後、2013年8月に特別警報を導入した。警報レベルが導入されたのは2019年だ。
 2020年に球磨川を氾濫させた豪雨のあと、線状降水帯発生のメカニズム解明、予測のための努力が続けられ、その後、2021年6月に「顕著な大雨に関する気象情報」が始まり、線状降水帯による非常に激しい雨が同じ場所で降り続いていることを伝えることになる。

 伝え方にも工夫が見られる。
 気象の予測だけでなく、その予測にもとづく危機感を、関係機関や報道、住民に伝えることの重要性が高まっていると著者は言う。的確な警報は元より、
「説得力を持って気象災害の危機感を伝えようと、予報官だけでなく、気象台の総力を挙げて取り組んでいます。」
 これが、本書が伝えたい一番のことだろう。それは、IBF、インパクトベースの予報に、よく表れている。それは、「気象によって何が起こるのかに軸足を置いた情報提供」だ。
 例えば、「風速20メートル」と伝えられてもピンとこない。そこで、その風が吹けば「船が欠航する」と伝えれば、受け取る側は、次の行動の判断ができる、というものだ。
 近頃、やたらと「命を守る行動を」とか、なにをしなければ、ということをメディアが口やかましく言うようになったのも、気象庁からの働きかけ、危機意識の醸成の賜物だ。

 地球温暖化によって、気象現象が先鋭化している。温暖化の原因が、人間の活動によるものか、もっと長いスパンによる天体の活動によるものかは、まだ決定的な解は得られていない。でも、異常気象は日常化している。
「地球温暖化やその影響は、もはや将来の懸念ではなく現実の問題であり、本当かフェイクかなどと論じている場合ではないのです。」
 この著者の思いも、重く受け止めた。 なかなかの好著。

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2025年08月12日

Posted by ブクログ

<目次>
第1章  天気予報はなぜ当たるのか
第2章  気象情報で命を守れ
第3章  防災気象情報の舞台裏
第4章  線状降水帯予測への挑戦
第5章  地球温暖化をどう伝えるのか
第6章  天気に国境はない
第7章  気象データは誰のものか
第8章  これからの天気予報

<内容>
何かとお世話になる「天気予報」。元気象庁長官による、天気予報についての解説書。真面目に書かれていて、専門用語も多く、ちょっと頑張らないといけない本。でも気象関係者が、我々の命を守るために、日夜努力をしていることがよくわかる。また地球温暖化は間違いのない事なので、どこかの国の大統領とかどこかの国の一部議員のように、「そんなもの関係ない」という前近代的非化学信奉者には、しっかりと読んで欲しい部分もあった。

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2025年06月28日

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