あらすじ
民間企業や国家がこぞって参戦する「宇宙開発」――
軍事的にも経済的にも注目の的であるその場所を、
独占や紛争から守り、平和的に管理することは可能か?
「共有地(コモンズ)の悲劇」を回避するために、
著名な哲学者が参照すべき「3つの前例」をひもとく!
南極、海洋、アフリカの歴史に学び、
「人類の共同の利益」を守るための議論の土台をつくる一冊。
“この本が最初に出版されたとき、大きな関心を呼んだことは注目に値する。唯一の否定的な反応は、宇宙産業の関係者からのものであり、彼らは条約やルールに縛られない自由な活動を望み、規制には後ろ向きだ。そのこと自体が警告であり、本書の主張を裏づけるものである。[…]本書は、宇宙技術や宇宙飛行、月の地質や技術工学的な問題に関する本ではない。地球の大気圏外での人類の活動について、国際合意の枠組みが必要なことを明確に示した本である。また、同様のニーズを満たすための取り組みがいかに難しいか、それが明らかになった最近の事例を関連づけて考察した本でもある。そうした事例から教訓を得て、各国政府やほかのすべての関係者に対して未来に向けた理性的な思慮を促し、宇宙活動を規制するという問題について世界の議論を促すことに貢献できれば、本書の目的は達成されたと言えるだろう。”(「新版刊行にあたって」より)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
●南極条約、国連海洋法条約、アフリカ争奪戦という前例から、月(宇宙)を平和的に管理していく術を模索した本。
●月というフロンティアを平和的に開発するには、どういう道筋があるのか?→前例を見るに、宇宙開発を平和的に管理するための枠組みをつくることは急務だと理解した。
●本書は、宇宙開発が「探査」から「資源利用」へとフェーズを変える中で、私たちが直近で直面するであろう「月のゴールドラッシュ」という危機に、過去の前例を参照して立ち向かう一冊。著者は、南極、海洋、そして凄惨なアフリカ争奪戦という3つの前例を引き合いに出し、共有資源(コモンズ)の管理がいかに困難かを浮き彫りにする。特に「南極条約」が領土権を棚上げすることで平和を維持してきた成功例である一方、各国の商業的・地政学的欲望によってその枠組みが常に侵食されているという指摘は、未来の月面管理に対する重い警告として響いてくる。「宇宙条約」が、民間企業の参入や軍事化という現代のスピードに追いつけず、もはや「時代遅れ」になっているという指摘はもっともだと感じた。新たなルールの再定義が強く望まれる。