あらすじ
台風が来る直前に島へ渡り、直撃する高波を待ち構えては決死の撮影を行ったり、凪の海をゆったり遊泳しながら超ローアングルで軍艦様の島を捉えたものは、まさに何かを超越した景色・超絶的な風景=《超景》(造語)である。
目がくらむような高いところから鳥のように俯瞰し、雨や霧でしっとりと濡れそぼり魅力的な、あるいは闇夜に不気味な迫力で佇むコンクリート高層アパート廃墟群も積極的にレンズを向け、さらに海中に潜っては炭鉱施設の遺構を青い熱帯魚とともに撮影を行うなど、24時間365日、軍艦島のあらゆる表情を文字通り命がけで克明に記録したオールカラー写真集。
著者について
昭和25年(1950)、長崎県長崎市高島町生まれ。県立高島高校を卒業後、エンジニアとして、また特許担当員として関東および関西方面で働く。28歳のとき故郷の高島へ戻り、1986年の閉山まで7年間高島炭鉱で働く。閉山の半年前から3年間激動期の高島を撮影。その後、九州に残る最後の石炭の島「池島」を取材活動し、坑内作業員として2001年に閉山するまで7年間池島炭鉱で働き、その後、地元高島で写真業を営む。1992年に軍艦島を10か月間撮影し続け、1993年、最初の写真集『崩れゆく記憶 端島炭鉱閉山18年目の記録』(葦書房)を出版。それから10年後の2003年、再び軍艦島取材をスタート。水中スクーターを駆使し、100回以上もの上陸を行い、あらゆる天候・季節・時間帯の軍艦島撮影を試み、平成23年(2011)1月、肺炎により逝去。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
いつかは行ってみたいと思っている軍艦島。まさにそこに自分がいて見ているような、そんなふうに感じました。
確かに人がいたことを感じつつ、自然の強さも感じた写真集でした。
Posted by ブクログ
すごい迫力。台風で大波をかぶっている写真も大迫力だけど、
ボロボロでほこりをかぶった建物の中、トイレやカレンダーや
木製のタライがあったり、水場に「水をたいせつに」と
書かれていたり、あぁここに人々の生活があったんだなぁと
感じさせられる写真が何枚も・・・。
無人でも妙に存在感がある軍艦島。
廃墟となり、どんどん朽ちていく建物。
次に訪れた時には、あそこがココが崩れてるという状態なのでしょう。最低限メンテナンスして、保存した方がいいような気がします。
撮影者が急逝し、暗号化されたりロックがかけられたりした
画像ファイルがまだいくつもあるとのこと。
それほど大切に用心深く保管されていた画像ファイル。
どんなすごい写真がそこにあるのでしょう・・・。
ぜひ見てみたいです。
Posted by ブクログ
「軍艦島」という字面をみると必ず手に取る習性が身についてしまっている。軍艦巻でも反応してしまうほどだ。食うけど。
この写真集は「超景」と謳ってるだけあり壮絶なカットが多い。
特に大波を受けているシーンはまさに軍艦。波間を進む軍艦だ。紀元前の遺跡かと錯覚するような島内は儚く美しい。
これからも朽ち果てて行くのだろう。惜しいのは軍艦島の撮影に半生を賭けていたカメラマンの方が亡くなってしまっていること。誰が今後の様子を見守るのか、気になるところだ。