【感想・ネタバレ】面白くて刺激的な論文のためのリサーチ・クエスチョンの作り方と育て方 第2版 論文刊行ゲームを超えてのレビュー

あらすじ

昨年7月に刊行された第1版は6刷を数え、若手研究者からレジェンドと言うべき研究者まで、また経営学に限らない社会科学研究者にも高く評価され、大いに話題となった。

「リサーチ・クエスチョン」は、研究によって明らかにされるべき答えはどのようなものかを定義する。著者は「良いリサーチ・クエスチョンはそれに対する答えと同じくらいに価値があり、時には答えそれ自体よりも重要である」と言う。しかしながらこれまで、実践的なリサーチ・クエスチョンの作り方、また研究に取り組む中でそれをどのように練り上げていくのかは、十分検討されてこなかった。

その一方で、こんにちの社会科学では、ほとんどすべての領域において、膨大な量の研究が発表されているにもかかわらず、その影響の及ぶ範囲という点で、かつてのように大きな成果をあげていないと言う。そして、このような現象は、研究者たちの同調的な傾向によって生まれてきたとする。

以上を踏まえ本書は、こんにちのリサーチ・クエスチョンにおいてよく見られる「ギャップ・スポッティング」(既存の理論に基づいた研究の穴埋めをするというような意)が孕む問題を取り上げた上で、その解決にあたり、「問題化」という手法を提案する。そして、批判的思考を心がけ、型にはまらない独創的なリサーチ・クエスチョンを提起していくことの重要性を強調する。

しかし本書がユニークなのは、このように野心的な射程を持ちつつも、ギャップ・スポッティングによる手堅い研究アプローチが体系化され解説されてもいる点である。

この第2版においては、原書第1版刊行(2012年)後の、創造的で野心的な研究アプローチに関する各種の文献の内容が十分に検討され、盛り込まれた。本版も広く読まれることとなろう。

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Posted by ブクログ

論文の量産が目的化しがちな現代の学術界において、研究者としての知的な誠実さを再考するために、本書は既存研究の不足を補う「ギャップ・スポッティング」を越え、理論の前提を問い直す「問題化」の手法を提示している。

前提を疑う姿勢は学問の基本だが、その実践は困難を伴う。本書の有用性は、抽象的な思考プロセスを具体的な手順として定式化した点にある。これは、形式的な整合性の追求に傾倒する研究のあり方に対し、本質的な問いを構築するための実用的な指針となり得る。

ただし、本書を検討する際には、確立された地位にある著者と、厳しい制約下にある若手研究者の立場の相違を考慮しなければならない。安定した立場からの提言は、キャリア形成の途上にある者にとって、発話者の立場に依存した、あるいは現状を考慮しない主張と解釈される可能性がある。

結論として、本書は現実の課題を直ちに解消する万能な解決策ではない。しかし、構造的な制約の中で思考の自律性を維持するための有効な対抗手段となり得る。生存のための効率性と研究者としての誠実さをいかに均衡させるか。本書は、その適切な水準を模索するための論理的な視点を提供している可能性がある。

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2026年04月21日

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