あらすじ
昭和30年代の東北の町に暮らす少年たちの躍動感に満ちた一年間を描く。小学生から中学生までの地域の子ども集団が生き生きと輝きを放っていた時間を描いた渾身の記録少年文学。
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Posted by ブクログ
「藤の木山砦の三銃士」に大幅に加筆したものということでした。前作も読んでいるのですが、全く違った作品のように楽しむことができました。既視感というようなものを感じたのはわずかだったように思います。自分の記憶力の減退のせいかもしれませんが、極めて新鮮に、そして一場面一場面を印象的に読み終えました。
登場人物たちは私と比べるとおそらく一まわり上の年代となりましょう。それでも描かれていることの一つ一つに思い当たることがあり、我がことのように懐かしい気持ちで満たされました。これは大切な記録として残しておきたい物語です。忘れてはならない物語だと思います。
少年時代に特有の揉め事もあり、当時の解決方法で解決されていくのですが、現代ならおそらく許されずに指弾されてしまうようなことがいっぱいだと思い出されました。遊びの一つ一つには現代なら危険と言われることが多く、むしろ危険だらけの中で遊んでいたようにも思い出されます。
しかし、その背景には揉め事の相手に対する尊敬と大切にする気持ちがあり、自分の環境に対する尊敬と大切にする気持ちがあり、大人や年上の少年に対する尊敬・敬意があったように思います。だから、問題を解決し、危険をスリルの中ですり抜け楽しみ、そのような少年時代を通過して、社会の中で生きていく力としていったのだと思います。
現代の尊敬・敬意・思いやる気持ちの乏しい世界を振り返るとき、ノスタルジーだけでは解決できないものを見つめている自分がいました。
これは当時の思い出に、これからの指針に、大切な記録です。
Posted by ブクログ
この物語の少年たちより、自分は少し後の世代だけれど、子どもの頃、先輩に教えてもらったこと等を思い出した。記憶の蓋が開き、出てきた思い出はセピア色だった。
この物語やトムソーヤの冒険、映画スタンド・バイ・ミーのように、大冒険を経て手に入れた大人への階段は貴いものである。