【感想・ネタバレ】美少女フィギュアのお医者さんは青春を治せるか2のレビュー

あらすじ

「誰の子供から作るの? 治くん」
パンツ姿でそう呼びかけるのは、医者の娘をやめて創作の虫になった今上月子。――だけでなくて!?
「もう逃げたりしないって言ったよね、治」
「弟者が生み出す子供は、人々の希望となれるのだ」
創作仲間に囲まれて、再びフィギュア作りに打ち込みはじめた治は、月子の病を治すべくかぐやとセレーネもフィギュアにすることに。
創作のためならみんなでコスプレしたり、Vtuberになったり!?
でも、青春満喫中の月子の元に、病の原因である父親が現れて――。
変人な彼らの等身大〈フルスケール〉な青春ラブコメ、第2弾!

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Posted by ブクログ

 青春を恐れ逃げた青年と
 青春に憧れた少女たちが紡ぐ
 絆の物語

 こんな青春したかった!という人も
 青春あるあるよねー!と共感する人も
 皆さんの心に、ときめき、喜び、切なさ、幸せ、いろとりどりの感情が生まれ、今日を、明日を、未来を生きていく力になる……そんなお話です。

 是非とも手に取ってみてくださいませ。



 ※
 以下 ネタバレ 歴史考察 政治的主張 を含みます。
 感想、兼、個人的雑記となります。
 時間の許す方のみお付き合いくださいませ。




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 一巻の感想につきましても、恥じらうセレーネさんがみたい!と熱望していた私、それが叶うどころか、全員ハーレムの幸せ展開になるとはたまげました。笑笑 IZUMO3(Studio e・go!)が好きなので、完全に好みドツボな展開です、本当にありがとうございます!!
 そう、女性同士の諍いが大きな争いに発展することは歴史を見れば珍しくないのです。なんといっても、我が国日本においては、徳川家斉はあまりにも側室だらけ、妾の子だらけで、権威が落ちていく一方であり、その後の将軍と民らに大いに災いを遺していきました。

 であれば、特別な一人などあえて選ばず、全員を愛するという、一見とんでもない倫理観に見えますが、そうした選択は、決して悪いものではないと私は考えます。特に、家斉のように、数え切れないほど多くとなれば、物理的に難しくなりますが、治くんと月子さんたちのように、数えても4〜5人のハーレムならば、体一つで事足り、事実上不可能ではなく、いくらでも可能な範囲なのです。あとは、当人たちが納得しているなら、他人がどうこう意見を挟む余地はないのです。少なくとも、彼ら彼女らを育ててきた親ぐらいなものでしょうか。
 けれどそれすらも、本書の内容にあるように、親が子を支配する時代は変わった……いえ、「親の価値観を書き換えるほどの感動を与える子の生き様」によって、親さえも、誰を愛し、生きていくのか、支配することなど出来ないのです。治くんが、関係だけ得ておきながら、明らかに不遇に扱う誰かがいるのなら別として、彼は本当に対等に3人を愛していますから、全く問題などないのです。
 いやはや、清々しいほど気持ちのいい恋物語です。笑



 実際、石ノ森章太郎さんをはじめ、自分にとって特別な異性を特徴的に描く作家は多く、そうした場合、普通の倫理観とは大きく異なる場合は少なくありません。
 もちろん、『裸の共産主義者-45の目標-』や『サボタージュマニュアル』を知っている自分としましては、性表現により家族の倫理観を破壊するというのは絶対にしてはいけませんし、それらの絆は尊く、軽んじてはならぬと徹底すべきと考えます。

 ですが、家族の絆を守ることと、家訓の掟のために子の望みを断つことは、まるで別の話なのです。江戸の職人の継承図などを読んで頂ければ明らかなように、実は我が国日本は、自分の家業を継ぐのは、自分の家の子である必要はないと、広く永く知っていたのです。
 これが変わったのは、皮肉にも、日本らしさを大切にして忘れないでおくれと祈りを込めた明治天皇陛下の『教育勅語』を曲解し、家が大切なら家長が最も権力を持ち、ゆえに子は親に従わなくてはならないと、都合の良いように考えた、一部の成金たちの有り様が、歪んで残ってしまったことがきっかけであるかもしれません。
 繰り返しますが、明治天皇陛下はそんなことは望んではいないのです。家や智にこだわるというよりは、自分たちの財と既得権益が続いていくことに執着盲信してしまった人たちの、過ちであったと言えましょう。

 ゆえに、月子さんのお父さんを「あんた」呼ばわりして尊大に戦った治くんも、最後には「お願いします」と頭を下げて、実力や立場で脅すのではなく、あくまでも月子さんの愛しい家族として、理解を示し、これからも仲良くして欲しいと願っていたことが伝わります。
 自由を求めて戦うことと、戦う相手にもまた尊い絆があり、それを愛しく思うことは、全く矛盾しないのですから。



 
 あとは、完結巻にして今更気が付きましたが、登場人物たちの名前の由来が全て、月に関わっているのですね!一番分りやすいのはかぐやさんですが、他のみんなもそうだと分りました。
 月は昔から、満ち足りれば、平和を招き、妖しく光れば、人の欲を煽り立てるものだと語られて来ました。“観者”の心を、感情を生み出したいと願う治くんの欲は、まさしく月の光と隣り合わせのものなのだと伝わってきます。とても詩的で美しい表現にうっとりしました……ワオ、ゼン……ポエット!



 
 脳内劇場の配役を第1巻でお伝えさせてもらいましたが、なんと既に公式の配役が決まっていたのですね。笑 いつか、短編のOVA、あるいはモーションコミック等で、改めて皆様のお芝居を見させてもらえたらなぁと願い、芝宮青十せんせのますますの活躍を祈りつつ、筆を置かせていただきます。……治くんは筆を下ろすのかしら(こらこら)(ハーレム大好きカプ厨限界オタク早口)

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2025年10月26日

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