【感想・ネタバレ】忘却の効用 「忘れること」で脳は何を得るのかのレビュー

あらすじ

認知機能、創造力、メンタルヘルス、人格形成、
そして記憶にも、「忘れること」が必要だった


従来の研究では、物忘れは脳のエラーと考えられていた。しかし、近年になって「忘れること」には脳機能を支える重要な役割があることが分かってきた。



過剰に記憶力がいい自閉症の症例から、忘却の役割について何がわかるか?
暗記が苦手な医師が、どうして名診断医になれたのか?
認知症の画家の作品から、創作と忘却の関係について何が言えるか?
記憶と忘却はパーソナリティにどんな影響をおよぼすのか?
神経生物学、医学、心理学、コンピューター科学などの分野の知見をつなぎ合わせて、脳の機能としての〈忘却〉にまつわる驚きの発見を描いた、出色のポピュラーサイエンス。



::::::::::本書の推薦のことば::::::::::


「忘れっぽいことは正常であるばかりか、有益でさえある。そのわけを教えてくれる、実用的で、すばらしい本」
――ウォルター・アイザックソン『イーロン・マスク』著者



「忘却は災いではなく、幸いだった。記憶の最新科学を一般読者に向けて情熱的かつ簡潔明瞭に解説した」
――アントニオ・ダマシオ『進化の意外な順序』著者



眼鏡を置いた場所がわからなくなったり、知り合いの名前を思い出せなくなったりして、記憶力に自信をなくした人は、本書を読むといい。(……)忘れっぽいことは、アルツハイマー病の兆候ではなく、脳の大切な機能であることがわかるだろう。

――スー・ハルパーン『A Dog Walks into a Nursing Home』著者

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Posted by ブクログ

忘却というと、「物忘れ」ってことで、悪いイメージしかない。
それをこの本の著者は、効用がある、とのっけから語り始める。
そう、忘れることができないことによる症状、PTSTなどを紹介する。

これで思い出す。
三年前に亡くなった友人は、「語り部」として有名だった。
50年近く前のエピソードでも、
「あの時はね、、、」
と楽しそうに、ゆったり語りだしたものだ。
しかし、それって、今思えば苦しかったんだと思う。精神的に。
胃がんを患い、楽しみにしていた2019年ラグビーワールドカップ日本大会の最中に入院。
チケットを他の友人に譲る羽目になった。
その癌は寛解したはずだが、体力を奪われたか、急死してしまった。
頭の中が過去の記憶でいっぱいで、精神的にストレスがたまっていたんではないか、
と、今になっては思う。
なんでも語り合えるいい友だった。

なんてことを思い出しながら、読み進めると、
物忘れも、上記のような場合のいいもの忘れと、
脳機能の問題、アルツハイマーなどの悪い物忘れがあるという。
このあたりを、前頭前野とか、海馬とかを示しながら、
特に海馬などはMRIの絵まで掲載して、教えてくれる。
この辺りは難解だったが、何とか読み続けた。
アルツハイマーは遺伝、ってわけじゃない、ということを強調していた。
親にそういう特質があろうとなかろうと。

脳を大事にしていかねば、と思う次第。

プロローグ
第一章 覚えることと忘れること
第二章 平穏な心
第三章 解放された心
第四章 恐れを知らぬ心
第五章 晴れやかになる心
第六章 謙虚な心
第七章 みんなの心
エピローグ 病的な忘却



謝辞
訳者あとがき
原注

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2026年03月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

行動の柔軟性を生み出すことは大理石の彫刻を作ることに似ており、忘却のノミが優位な役割を担っている

自閉症者は忘れられない、記憶しすぎている

考えるということは、さまざまな相違を忘れること、一般化すること、抽象化すること

感情の正常な忘却は、醜くて非生産的で怒りを生む感情の重荷から私たちを解放してくれる。

私たちは忘れるために眠る かっこよすぎる、本のタイトルにしてくれ

前頭前皮質が十分に機能するようになるのは十代後半か二十代前半になってからだ。〜だから子どもには選挙権を与えておらず〜

メタ記憶はメタ認知の要素の一つで、自分の記憶力をどれほど客観的に把握できているかということだ。
記憶力だけでなく一部の人はメタ記憶も失う。
一部の人なんだ…みんなじゃなくて安心する

ノスタルジアについての記載、著者がユダヤ系であるからこその視点。紛争の絶えない中東で育ったことの利点と考えられるものの一つは、ナショナリズムの罠に敏感になることだ。


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2026年02月27日

Posted by ブクログ

忘却することが、いかに我々に幸せをもたらすのか。ありきたりな語り口ではなく、面白くユーモアのある文体で書かれている。動物実験によって得られた、忘れることによる新たな回路の生成や、ディスアドバンテージが活きてくる、あの書き口が良かった。

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2025年02月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アルツハイマー病の研究をしているコロンビア大学の神経精神科学教授の著書。普段病的な忘却を扱う教授が、通常の誰もがもつ「正常な忘却」によるメリットを分かりやすく説明した本。社会に合わせて記憶と忘却のバランスをとることが重要と、全体を通して語っている。

些細な細部にとらわれず全体像を把握したり、そもそも新しい必要な記憶を獲得するためには忘却が必要ということをPTSDや自閉症患者の病的な忘却の状態を比較して説明している。

特に印象に残ったのは下記2点
1)人を愛したり、美しいと感じる能力には認知能力は必要なく、認知能力の多くを失っても人生を楽しむことができる。
認知能力では仕事面では重要だけど、自分の人生を存分に楽しむことができるというのは、病気ではなく老いからくる認知能力の低下をそこまで恐れなくてもいいという、優しいメッセージだと感じた。

2)記憶力が(正常な範囲で)悪いことで、知的謙虚さが生じ、複雑で難解な問題の正解にたどり着ける可能性が高まる。
私自身も記憶力が悪く、すぐに想起することが苦手だけど、昔から時間をかけて解く必要のある内容に答えを出すのが得意だった。昔はそれを自分の短所としてしか思っていなかったけど、本の中では記憶力が悪いことによって、頭の中にあるそれらしい回答に飛びついてこだわったりせず、外からも積極的に知識を集め(知的謙虚さ)、用心深く検討することができるそう。
もちろん、記憶力が良い人は、日常生活の大部分で素早く問題を解決できる利点がある。
記憶力が良い人悪い人、色んな人がそれぞれのメリットを発揮することで世の中に貢献できるということ。

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2024年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『忘却の効用』 スコット・A・スモール 著

 このところ、名前が出てこない、用事を忘れるなど、「忘却力」がついてきました。これで大丈夫かと心配になってきたところ、ちょうど絶好の書籍に遭遇。

 まず、「忘れる」ということは、個別事象を一般化するための前提。記憶力のいい人は、「朝日のなかで見た犬」と「夕闇のなかで見た犬」を、「同じ犬」と認識できないのだそうです。「さまざまな相違を忘れること、一般化すること、抽象化すること」が「考える」ために必要。また、憤りなどの負の感情を忘れることは「赦し」にもつながり、これが「忘却が持つ利点のなかで最も尊いもの」。さらに、睡眠によって大脳皮質の記録を片づけて白紙にする作用があり、このことで新しい記憶を受けられるようになると言います(「忘れるために眠る」)。

 「忘却」があることでよい人生が送れるとわかり、これからはあまり忘れることを気にしないようにしようと、単純にも自分に言い聞かせられる一冊です。

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2024年07月25日

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脳には元々記憶を忘れる仕組みがあり、「正常な」忘却は必要最低限の情報を格納して対象を一般化して認識するためにも必要な機能であることが分かる。一方「病的な」忘却には、アルツハイマー病などの認知症と、老化が原因となる2つのタイプがあり、fMRIを使った診断では異常をきたす脳領域が異なる。
恐怖やその記憶は扁桃体の神経細胞で形成されて貯蔵されるが、扁桃体はこの恐怖記憶を弱めるブレーキ機能も持っていて、適度に忘れることができるという。
著者はコロンビア大学でアルツハイマー病と老化を専門としている。イスラエルで従軍経験のある著者は、第3章でPTSD(心的外傷後ストレス障害)を論じている。

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2026年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

症例および原因箇所の説明、
忘れることは人の心のバランスをとる、感覚的に知っていたことを文章として再確認した感じでした

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2025年08月23日

Posted by ブクログ

ゆる言語学ラジオで知った本。2章まで読んだ。
私たちは普段、忘れることを悪いことだと思いがちだけど、この本は忘却がいかに大切かを教えてくれる。もしすべての記憶が鮮明に残っていたら、物事を一般化して理解することができず、複雑な世界をシンプルに整理することも難しくなるらしい…。あと、辛い思い出も忘れられなくなるのも辛そう。
忘れることで、私たちは新しい経験を柔軟に受け入れ、世界をより広い視野で見ることができるのかもしれない。
忘却は単なる欠落ではなく、むしろ心の整理整頓に欠かせない機能だと感じた。

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2025年07月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分がよく物忘れをするので、その特性のメリットはないかと購入。
あわよくば忘れないようにする工夫があればと思い読んでみました。

本の内容としては、「記憶に関与する脳の構造(海馬や前頭前皮質など)がどのようにつなぎ合わされて記憶をし、また忘れていくのか?」ということをメインに書かれていました。

の本によると、正常な忘却はむしろ喜ばしいことで、恐怖などの体験を上手く忘れることによって心の安定を保っているとのこと。自分がよく物忘れをするというのはあくまで主観的な部分もありますが、確かに比較的心は穏やかさを保てているように感じました。(身内に対して以外かもですが(笑))
また、アルツハイマー病やPTSDなどの病的な忘却が起こっている場合には、認知行動療法や海馬の機能を回復させるような薬物療法が必要になるといったように、病気に対してのコメントも述べられています。

他に面白い内容としては、「睡眠は記憶のためではなく忘却のためにある」というものがありました。
睡眠によって必要な情報と不必要な情報の篩い分けを行い、不必要な情報を忘却することによって脳の容量を守り、結果的に必要な情報だけが残っていくとのこと。
この話を聞いて、「人は同じ情報を何度か思い出そうとすることで、その情報は重要なのだと脳が判断し、記憶に残りやすくなる」というのも理屈がわかる気がします。

脳の構造の話がメインになっていくので、内容としてはちょっと難しめでしたが、興味のある方は読んでみてください!

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2024年09月08日

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