あらすじ
高校生の晴野(はるや)は部屋を出られない。胸がどきどきして苦しくなるからだ。
そのせいで学校にも行けず、ひとけのない夜にだけ外に出る生活。
奔放な母親は再婚した義父と暮らしており、連絡は途絶えがちになっている。
母親の記憶は、見知らぬ男からの暴力と二重写しだった。
ある夜、コンビニからの帰り、晴野は同級生の美夜子(みやこ)と出会う。
「悪い人間になりたい」という彼女は、そのわりに、飲酒も喫煙も、
万引きも暴力も「犯罪だから駄目だよ」と言う。
そして晴野は美夜子と、まるで子供の遊びのような、無邪気な夜の時
間を重ねていく。しかし夏のある日、彼は彼女の「秘密」に気づき……。
「魔法のiらんど大賞2022」小説大賞<文芸総合部門>特別賞
優しく美しい言葉で紡がれる、胸を打つ青春純愛小説。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
同級生の引きこもりの男の子と父親に虐待を受けている女の子。偶然夜のコンビニで出会い、深夜の交流を深めていく。
彼は幼少期から人との接触がほとんどなく、母親の育児放棄の犠牲者で再婚相手の義父は彼に嫌悪感を抱き、高校入学と共に一人暮らしを強いられる。
幼い頃からずっと世間とかけ離れて暮らしていたが彼女との交流で徐々に知識を得て世間を知るようになる。ゆっくりした、そして片言に間が空いて何もしゃべる事ができない彼を辛抱強く、そして遮る事も見捨てる事もしない彼女にも闇があり、欲がないので安心できると一緒にいる事を望んで2人共がお互いを思いやりながら、そして恋愛ではない愛、友愛なのかな??そんな関係を築いていく。彼の一人称で語られる内面は本当にピュアで言葉を大切に汲み取っていく。舐めるように読み進めてしまった。文庫化を願う一冊。
Posted by ブクログ
テンポが遅くて私には少し読みにくかった。けれど内容はとても良かった。少しずつ人に触れて、社会に触れて、その上で信頼関係を築いていけたらいいなあ。