あらすじ
オルランド王国の伯爵令嬢クレアは、幼いころから霊が見える。その噂は社交界にも広がり、レディ・ファントムという不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた。そんなクレアの唯一の親友である子爵令嬢アネットが、ある日亡くなってしまう。土砂降りの雨の夜、王都名物とも言える大階段から転落したのだという。事故死として処理はされたが、真相は分からないまま。そんな中、王都の伯爵邸を刑事だという二人の青年が訪れた。クレアが幽霊から何かの情報を得ているのではないか、というような質問をぶつけてきて…。2023年ノベル大賞〈準大賞〉受賞のヴィクトリアン・オカルトミステリー!
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Posted by ブクログ
面白かった!
霊が見える少女が唯一の親友を亡くし、その死の真相を解き明かしていくというストーリー。
いつの間にか怪しげな探偵と警察の協力者にされていて…?
ヴィクトリアン・ミステリーとの煽り通り、親友の死を中心に様々な事件や謎があった。
主人公の親友に対する想いも、彼女の痕跡を辿るうちに明確になっていく。
探偵の行動が強引で、初めは無礼がすぎて好きになれそうになかったけど、だんだん絆されました(わたしが)。
名前が出てくる主人公の双子の兄の出番を今か今かと待っていたのですが出てこず残念。あと母も。
普段恋愛小説ばかり読んでいる恋愛脳なので、ラストにもやり。(女王陛下に孫の婚約者とまで言われたのをずっと引きずってる)
親友のこともスッキリ解決までいかなかったのももやり。
想像の余地があるけど、わたしは男女関係も事件もスッキリ解決してほしかったなと思います。
Posted by ブクログ
デュランの強引さがなあ……正体バレの展開は面白かったし興奮したけれども、それまでに積み上げてきたマイナス側の印象がでかすぎて苦手意識が払拭できないという。
彼のキャラクター性を受け入れられるかどうかで作品の印象は変わりそうな気がする。
自分はとにかく強引で口の悪いデュランが苦手で受け入れにくかった。
努力もしているし、有能なのは認めるんですけども……うん、苦手。
でも、国の宗教的に否定されている幽霊が見えてしまう令嬢クレアが親友の霊をどう救うのか、また事件に隠された真相は何なのか、それが気になってつい読み進めてしまった。
この推進力でデュランの苦手意識は何とか克服できた感じ。
事件は思っていたより時代をまたがった話に広がって面白かったし、人間側の犯人との対決よりも幽霊側との対決に重きを置かれていて、そちらの方が見せ場だったと思う。
故に、途中にどう考えても犯人側よねと思えるムーブかましてきたキャラの末路は実にあっさりめで驚いた。
え、あれで終わり?
また、クレアの親友の霊の件はというと……全てが綺麗にまるっと解決(もしくは、イギリス風の世界観のこの作品でこの言葉を言うのは不似合いかもしれないけど「成仏」)するとは限らないのは現実世界だけの話ではないらしい。
フィクションの世界もなかなかに厳しいのである。
でも、そこには確かに彼女たちなりの「友情」もあって……難しいですね、他人とのかかわりって。
それがたとえ相手が幽霊になってしまっても。
そんなことをしみじみ感じた作品だった。
ともかく、デュランは性格をもっと改めてください、頼むから。