【感想・ネタバレ】ゆびぬき小路の秘密のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

全然知らない作家、知らない作品でしたが、とても面白くて、すごく得した気分です。
日本人作家の作品ですが、読んでいるとスーッとイギリスの児童文学の世界に入っていきます。

私は小さい頃から日本の児童文学より、海外のものの方が好きでした。
なぜかとつらつら考えるに、日本の作品に出てくる子どもって教科書的ないい子なんですよ。
私自身教科書的ないい子だったので、それってとてもつまらないと思っていました。
それに比べて外国の作品に出てくる子どもって、もちろんいい子もたくさんいますが、親と喧嘩したり、家出をしたり、大人と駆け引きをしたりと、なんともステキにたくましいではありませんか。

そしてこの作品も、引っ越してきたばかりの街で、不思議なことに出合うバートラムが主人公。
古着屋や古道具屋のあるゆびぬき小路の奥にある、偏屈な仕立屋のおばあさんと知りあったことから謎が始まります。

仕立屋はなぜ、ひとつだけ違うボタンをつけるのか。
ボタンはバートラムに何をさせたいのか。

残りページがあとわずかになっても、作者がどう決着をつけたいのかがわかりませんでした。
だからずっとドキドキ。

正直言って、結末は地味です。
大きく何かが変わるということはありません。

”着心地ってものは、仕立てにゆとりがなけりゃだめなんだ。(中略)そして仕事というのは、自分にとっていちばん大切なものを使うことなんだとね。(中略)仕立てに使うわたしの時間と、仕立屋として生きてきた、すべての時間のことさ。大切なものほど、手放さなければならないんだよ、バートラム。”

機械化が進む世の中で、自分の技術で生きてきた仕立屋としての自負がバートラムに語られ、バートラムはそれに対して「仕立屋の時代はまだ終わっていないよ」と言います。
そういうことを理解できたとき、バートラムは一歩大人になったのだと思いました。

これからもゆびぬき小路は存在し、バートラムが訪れることもあるでしょう。
でもきっと、バートラムは学校の友だちを増やし、少しずつゆびぬき小路から離れていくのでは?とも思うのでした。

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2024年02月19日

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