あらすじ
今まであまりにも誤解され過ぎてきたヨーガ。本書ではそのヨーガの全貌と、健康法として知られるハタ・ヨーガの真髄を、カラー口絵8頁、二百数十点余りのイラストと図表を用い平易に解説しました。 著者は、在野のインド学研究の第一人者。長年にわたるインドでのフィールドワーク、サンスクリット語の研鑽、ヨーガ研究の成果を今回大著とも云うべき本書に結実させました。 インドの哲学・思想・文化を理解するうえでもよい入門書となるでしょう。
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Posted by ブクログ
意外に低い評価があったのでバランスをとる意味で高めに。
まず「ハタヨーガ」の淵源をここまで調べあげ血肉化した熱意に敬服します。数年インドにヨガ留学したくらいでは決してこの理解まで届かないでしょう。
特に従来の高級な「ラージャヨーガ」に対して地位の低い「ハタヨーガ」、という説に対し、ハタヨーガの側から批判を加え、それをアーリヤ系バラモンのサーンキヤ/ヴェーダンタ思想とドラヴィダ系のタントラ/後期密教思想の対立という視点から捉え直す作業をし、さらにそれを学術書ではなく一般書として分かりやすく解説する、などの芸当は、好悪の判断を越えて高く評価されるべきと思います。
確かに文体に独特の味というか臭みがあるので、馴染めない人もいるでしょうし、はっきりかかれている性ヨーガとハタの関連に食傷してしまう、幻想を破られて傷つく人もいるかもですが、ハタの出自がそこにあるという事実は事実でしょう。
口触りのよい、通り一辺倒の知識を越えてヨーガ、あるいはインドの知識を得たい方に強くお薦めします。
ちなみに多くあるイラストの中でインド滞在中に描かれた寺院の詳細なスケッチに惹かれました。建築についての本が出版されるのを待っています。