あらすじ
○軍艦生活のリアルが蘇るイラスト多数収録。
○非戦闘員が見た太平洋戦争の最前線を綴るイラストエッセイ集、待望の復刊!
昭和十六年、二十歳で徴兵された著者が配属されたのは、佐世保海兵団主計科。入団早々にエプロンを渡され、烹炊兵=台所で炊事を行う“めしたき兵”として、戦艦〈霧島〉に乗り、真珠湾攻撃やミッドウェー海戦を経験することに。兵科の違いによる艦内の上下関係、旧兵たちの理不尽なシゴキ。真っ黒になるまで「めししゃもじ」で尻を叩かれながら、来る日も来る日も味噌汁をかき混ぜる日々……。
光の当たることのなかった非戦闘員たちの日常を鮮やかに描き出す、唯一無二のイラスト・エッセイ集。
【目 次】
憧れの海軍主計兵
戦艦〈霧島〉勤務
烹炊作業
めししゃもじのシゴキ
ギンバイのこと
風呂がこわい
武士の恥
帝国海軍の落伍者
前掛け破損事件
備品・一人、不明
海軍のおしるこ
命賭けの醤油出し作業
真珠湾奇襲は昼めし前
海軍経理学校受験
開封された手紙
戦闘用意配置につけ
戦闘食は五目めし
ミッドウェイ海戦の夜食
戦艦〈大和〉に乗った
再び佐世保海兵団へ
潜水艦が沈没すると……
花の隅田川・海軍経理学校
内縁の妻
鎌倉丸のにわか見張員
砲艦武昌丸に乗り込む
浮上潜水艦発見
総員退艦・絶対絶命
フカに咬まれる
あとがき
解 説(足立巻一)
新版解説(戸髙一成)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
この本はマジで面白い! コミカルなイラスト付きなのが逆に想像力を掻き立てる。戦争の悲惨さや異常すぎる当時の状況もわかるけれど、その中で日本のためではなく、死なないために必死に働いていた人のリアルがここにはある。
Posted by ブクログ
太平洋戦争中。戦艦 霧島の炊事場にいた筆者の体験記。
---
霧島の炊事場での話が大半だが、軍艦という海上の閉鎖空間における陰湿で凄惨な指導ですらない虐待の日々は凄惨の一言。櫂のような巨大なしゃもじでケツが真っ黒に内出血するまで殴り続けるなど正気の沙汰ではない。
一般的な戦記のイメージとは違い、戦艦の炊事場にいたのでどこにいるのか何をやってるのかもわからなかった、艦を離れてからはとにかく遊びたかった楽をしたかった、と等身大のボンクラな若者視点の戦記という面もあり新鮮だった。
とはいえ、戦争の渦中にいるのは変わらないので周りではどんどん人が死んでいくし、筆者も偶々艦を降りていなければ死んでいたケースを何度も経験しており、挙句の果てには瀕死の重傷も負っているので、本当に偶然生き残ることができた人の話でしかない。
Posted by ブクログ
漫画家でイラストレーターだった著者が、1941年、海軍佐世保海兵団に入団、主計科兵として、太平洋戦争に加わった経験を物語風に綴った実録。
戦艦勤務に従事する兵士の極めて特殊な生活環境を、豊富なイラストや漫画で、ユーモラスかつ風刺を効かせて描いている。
前半で、強調して語られるのは、烹炊兵として、乗艦した戦艦「霧島」艦内で受ける旧兵からの理不尽なシゴキの数々。
何かにつけ、言いがかりをつけられ、大きな「飯しゃもじ」で腫れあがるほど尻を叩かれながら、台所を駆け回る日々が続く。
その風景が多数のセリフ入りイラストや漫画で説明されているため、わかりやすく、受けていたシゴキの実態やそれを受けていた者の気持ちや本音がよく伝わってきた。
どこへ向かっているのかわからない甲板下での作業生活を送る著者だったが、真珠湾攻撃、ミッドウェー海戦へと進むにつれ、自らも戦闘体制に巻き込まれていく。
「霧島」艦内は負傷者で溢れ、主計科も患者食作りで慌ただしくなる。
4隻の空母を失う戦況の中、著者の心境は、海軍の戦力など、うわの空で早く陸上にあがりたい思いでいっぱいだった。
後に海軍経理学校に入った著者は、砲艦武昌丸に乗り込むが、魚雷攻撃を受けて海中に投げ出され、筏につかまっていたところ、フカに足を咬まれる。
幸いにして、救助され、九死に一生を得た著者の思いは、「不運という言葉があるけれど、戦略の運不運もさることながら、兵隊達は何も知らされず納得できない不運を背負わされて死んでいったわけである。文字通り海の藻屑にされた戦友を思わずにはいられない。」というラストの話に凝縮されている。
「爆弾さえ自分にあたらなかったら戦闘が長く続いているほうが気分的に楽」、「敵の爆弾より旧兵のビンタの方が怖い」という艦隊勤務の実態、下級兵には「迅速確実」と怒鳴りまくりながら、ミッドウェー海戦にずさんでいい加減な作戦で臨んだ上層部への痛烈な批判は、印象に残った。
文字情報では伝えることが不可能な歴史的事実の描写にイラストを活用し、独自性を持たせているが、それに頼って、自らの生々しい経験を面白く語るだけの薄っぺらい作品ではない。
基調にある戦争や軍隊の理不尽で残酷な実態に対する怒りが、この手法で見事に伝わってくるところに、本書の価値があると感じた。
Posted by ブクログ
28の短い思い出たちがならぶ
海軍に職を求め、戦艦に乗り組み
ビンタを食らい、尻を叩かれ・・・・
どんなことも淡々と語れるのはなぜだろう
悔しいとか辛いとか悲しいとか怒りとか
感情の起伏が見えないのはなぜだろう
感情があると生きていけない時間だったのかもしれない
そんな時間はやっぱり イラナイ