あらすじ
第二次世界大戦以降、アメリカが主導してきたグローバル化が挫折しつつある。自由民主主義と市場経済の社会モデルが綻びを見せ、権威主義の中国やロシアが秩序変更を狙う。世界はこれからどうなるのか――。本書は古代ローマ帝国から現代のアメリカ一極優位までを俯瞰し、「一つの世界」への統合と、分解のダイナミクスを捉える。さらにグローバル化後の「四つの世界秩序」の可能性と、日本の未来を考察する。
■ 目 次 ■
はじめに
第1章 統合の条件1 グローバル化の波動
2 構造
3 権力
4 制度
5 文化と規範
第2章 広域的秩序の興亡
1 前近代のグローバル化
2 ローマ帝国と中世ヨーロッパ
3 ユーラシア大陸の統合と分解
4 西洋の興隆と自滅
第3章 アメリカ主導のグローバル化
1 戦勝国としてのアメリカ
2 戦後経済の制度化
3 勝利の逆説
4 露呈した「リベラリズム」の限界
第4章 四つの世界秩序
1 一つの世界再グローバル化
2 三つの世界新しい冷戦
3 多数の世界再近代化する世界
4 無数の世界中世は再来するのか
第5章 ポスト・グローバル化と日本
1 大国でも小国でもない日本
2 仲間を増やし、敵を減らす
3 「自立」を迫られる日本
4 「日本」の生き残りとは何なのか
おわりに
主要参考文献
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Posted by ブクログ
1章ではグローバル化の条件、2章、3章では歴史的な帝国の興亡を振り返り、4章でポストアメリカの世界、5章ではその中での日本のあり方が描かれる。
5章で問われる日本の立ち位置では、大国でも小国でもなく、特に豊かでも貧しくもない日本の等身大をいかに日本人自身が受け入れるかが鍵になるように受け止めた。「日本の凋落とアジア諸国の台頭は世界が平等になったという意味で、喜ばしく考える人がいてもおかしくはない」との指摘には膝を打つ。少なくともアジアの収奪を問題視していた左派がこの状況を不満に思うのは筋が通らないのではないか?
過去の栄光にとらわれた余計な虚勢が日本の最大の弱みではないか。
Posted by ブクログ
少し早足で読んでしまい消化不良気味だが、時間をおいて再度理解して読みたい。
歴史的な経緯を踏まえて、時間的に長い射程を踏まえて論じるということも大切だと感じた。
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「リベラリズム」は今日多様な意味でつかわれる品乱を招きやすい言葉だが、一般的には集権的な権力による階層的な支配ではなく、自由な主体の合意による社会関係の組織化を重視する考え方と見てよいだろう。経済生活でも国家による集権的な管理より、分権的な民間市場を重視することもその要素の一つだ。
Posted by ブクログ
世界秩序って、今の時代変化を表すキーワードの一つだと思う。過去の世界秩序の進展と崩壊の歴史が手厚く整理されており、頭が整理される。
他方で、筆者独特の回りくどいというか、おそらく自分が語りたいテーマに逸れる事も多々あり、星マイナス一つ。
Posted by ブクログ
世界のバランスが変わり、複雑な調整を放棄した大衆が幅を利かせるなかで日本も変わらざるを得なくなるであろう。そのためには、ただの多数決になり果てた民主主義と支配の一形態でしかない資本主義を、何のために受け入れ何を犠牲にすべきなのか、議論することが求められるのではないか。
Posted by ブクログ
大国の作り出す世界秩序を古代から現代まで見つつ、自由主義陣営及び日本がポスト・グローバル化の時代にどう生き残るのか検討したもの。アメリカが自ら作り出した世界秩序を自ら破壊したとの言説は、読んでいて面白く感じた。