あらすじ
〈奪命者〉事件解決の代償として〈人形鬼〉ミゼリアを失った〈第六分署〉。そんな中、新たな事件捜査の命令が下される。
人間が魔術によって爆弾化させられてしまうという連続テロ事件――ローグは〈聖女〉カトリーヌを相棒に迎え捜査を開始するが、事件の背後に“思わぬ人物”の関与が浮かび上がり……!?
その一方で、ミゼリアの生存を打ち明けられず、ぎくしゃくするローグとカトリーヌ。さらには二大貴族リグトン家より派遣された〈魔剣〉を操る対魔女狩り部隊の横やりも入り捜査は難航する。
事件の真相、そして新たなバディの運命はいかに――?
魅力的な〈相棒〉に翻弄されるファンタジーアクション第2弾!
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Posted by ブクログ
『魔女に首輪は付けられない2』は、前巻で提示された世界の歪みを、より深く、より静かな筆致で掘り下げていく一冊だ。物語は派手な展開に頼ることなく、魔女という存在が社会の中でどのように管理され、恐れられ、そして理解されないまま生きているのかを、重層的に描き出している。
特に印象的なのは、「首輪」という装置が単なる抑圧の象徴ではなく、秩序と安心を求める人々の善意の延長線上にあるものとして描かれている点だ。そこには明確な悪は存在しない。むしろ、誰もが「正しい」と信じて選び続けた結果として生まれた不自由さが、静かに、しかし確実に人の心を蝕んでいく。その構図は現実社会とも強く共鳴し、読者に安易な断罪を許さない。
主人公・ローグの在り方もまた、この巻でいっそう深みを増している。彼の選択は決して万能ではなく、常に迷いと痛みを伴う。それでもなお、誰かを一方的に救うのではなく、共に立ち、共に苦しむ道を選ぼうとする姿勢には、確かな誠実さと希望が宿っている。その希望は声高ではないが、だからこそ強く、静かに胸に残る。
全体を通して感じられるのは、救済を安易に描かないという作者の覚悟だ。苦しみは簡単には消えず、世界も急には変わらない。それでも、人と人との関係の中にわずかな光を見出そうとする視線が、この物語には確かに存在する。その抑制された温度こそが、本作を単なる暗い物語ではなく、読後に深い余韻を残す作品へと押し上げている。
『魔女に首輪は付けられない2』は、重く、厳しい問いを投げかけながらも、人が人であろうとする意志の尊さを静かに肯定する物語だ。読み終えたあと、その重みが確かな手応えとして心に残る、誠実で力強い続巻である。