あらすじ
『東京バンドワゴン』シリーズの著者が贈る
住むと幸せになれる不思議な〈場所〉?
30年居つく教授、空手の有段者、DV夫から逃げたシングルマザー。
ワケあり住人と強面の管理人で繰り広げられる心温まる人間ドラマ!
小説家になった羽見晃が入居を決めたのは、墨田区鐘ヶ渕にある築60年、
2階建ての〈マンション フォンティーヌ〉だった。
真っ白いアーチの入口、中庭には噴水と少女像、花壇もあって、フランスにありそうな建物。
管理人の嶌谷さんの腕には本物の入れ墨があったり、大家のリア―ヌさんは78歳のフランス人だったり色々変わっている。
30年もいる教授や生まれた国を追われたハーフの男性とかワケありの人が多く住んでいるけれど、みんな優しくて仲がいい。
ガーデンパーティ中、3号室の三科さんが元DV夫から追われていることを知り、
住人たちで役割分担して守ることに。
でも同時に、思わぬ人物がマンションを訪れていて……。
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Posted by ブクログ
墨田区鐘ケ淵にある2階建ての古くて小さな「マンション フォンティーヌ」で暮らす訳あり住人たちを描く。住人は新人小説家、元暴力団員の管理人、30年住み続ける教授、DV夫から逃げてきたシングルマザーなど個性豊かだが、大家であるリアーヌを中心に良い隣人関係が育まれていて、住んでみたくなる。もう一波乱あるかと思ったが、大事にならずに解決して最後まで穏やかな気持ちで読めた。フォンティーヌに関わる人たちは様々なところで繋がっていて、それが掛け合わさっていく流れもほっこり小説が好きな自分にはとても良かった。
Posted by ブクログ
温かくていい人ばかりの大家さん、住人、そして管理人さん。不動産屋の野木さんが嶌谷さんを知っていた過去のことが印象深い。そして、兄妹の再会も心から嬉しくなった。こういうところに私も住んでみたい。
Posted by ブクログ
マンションフォンティーヌ
小路幸也
マンションの住人さんがたくさん出てくるお話。
登場人物多いの苦手だからどうかなって思ったけど、さすが小路さん。ちゃんと区別できた
人の人との関わりとか出会いの奇跡とか。やっぱりこの作家さん好きだなぁって思った。
管理人さんと三科さんのプチ恋愛がキュンキュンした。
こういう人との縁とか繋がりから生まれる絆とか恋愛っていいよね。
読んでてほっこり元気もらった。
Posted by ブクログ
【マンションという居場所】
東京にあるフランス風マンションの住人と管理にかかわる人たちの織り成す物語。
オーナーのリアーヌさんは、この2階建てマンションの賃貸は常に一人の担当者に任せること、そして事情を持った人のために1室を常に空けておくこと。
その担当者が不動産屋の野木さん。
そして少し前から新しく管理人になった嶌谷さん。
新居人になった 新人小説家の羽見さん。
これだけでもユニークな登場人物がそろっているけれど、もっともっといる。
金融業勤めの33歳の貫田さんは、海外で生まれ育ち、日本暮らしはまだこのマンションでの3年間だけ。
文学・メディア専門で大学教授の坂東さん。
30代の鈴木ご夫婦は、印刷業、出版業勤め。
20代の女性二人、建設業庶務の市谷さんと、アパレル関係に務める坂上さんはもともと北海道の同じ地元で先輩後輩のつながりがあった。
DVから逃れて娘と暮らす三科さん。
小説の第2作目の相談会議に、羽見さんのお家を訪れる、編集担当の橋本杏子さん。
・・・
なんだろう、
会社を経営しているわけではないのだけれど、
マンションで共に暮らしているオーナーさんのコンセプトがあって、
みんなが自然と引き合っていく、というか、お互いの相乗効果を高め合っていく、というか。
家も部屋も生きている、というようなことにも触れられていたけれど、
ほんとうにマンション・フォンティーヌが生き生きとしていて。
それぞれにいろいろな過去を抱えているのはすべての人間がそうなんだけれど、
このマンションでは、そんな住人たちの事情が少しずつ明らかにされていくにつれて、
バラバラになるのではなく、お互いが絡み合って、まとまっていくようで、
このマンションを、これからもどう存続させていこうか、みたいな未来志向もあって。
家がほんとうに住人にとって居場所であることは、本来は特別なことではないはずなのに…「人生の基本」としての住む場所。意識的に居場所づくりをしないとなくなってしまうような今日。特に、都会の日常。
居心地のいい家があること、自分が毎日帰る場所があることは、尊いなー、本当に思った。