【感想・ネタバレ】マンション フォンティーヌのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

【マンションという居場所】
東京にあるフランス風マンションの住人と管理にかかわる人たちの織り成す物語。
オーナーのリアーヌさんは、この2階建てマンションの賃貸は常に一人の担当者に任せること、そして事情を持った人のために1室を常に空けておくこと。
その担当者が不動産屋の野木さん。
そして少し前から新しく管理人になった嶌谷さん。
新居人になった 新人小説家の羽見さん。

これだけでもユニークな登場人物がそろっているけれど、もっともっといる。

金融業勤めの33歳の貫田さんは、海外で生まれ育ち、日本暮らしはまだこのマンションでの3年間だけ。
文学・メディア専門で大学教授の坂東さん。
30代の鈴木ご夫婦は、印刷業、出版業勤め。
20代の女性二人、建設業庶務の市谷さんと、アパレル関係に務める坂上さんはもともと北海道の同じ地元で先輩後輩のつながりがあった。
DVから逃れて娘と暮らす三科さん。
小説の第2作目の相談会議に、羽見さんのお家を訪れる、編集担当の橋本杏子さん。
・・・

なんだろう、
会社を経営しているわけではないのだけれど、
マンションで共に暮らしているオーナーさんのコンセプトがあって、
みんなが自然と引き合っていく、というか、お互いの相乗効果を高め合っていく、というか。

家も部屋も生きている、というようなことにも触れられていたけれど、
ほんとうにマンション・フォンティーヌが生き生きとしていて。

それぞれにいろいろな過去を抱えているのはすべての人間がそうなんだけれど、
このマンションでは、そんな住人たちの事情が少しずつ明らかにされていくにつれて、
バラバラになるのではなく、お互いが絡み合って、まとまっていくようで、

このマンションを、これからもどう存続させていこうか、みたいな未来志向もあって。

家がほんとうに住人にとって居場所であることは、本来は特別なことではないはずなのに…「人生の基本」としての住む場所。意識的に居場所づくりをしないとなくなってしまうような今日。特に、都会の日常。

居心地のいい家があること、自分が毎日帰る場所があることは、尊いなー、本当に思った。

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2024年05月18日

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