あらすじ
安住の地と定めた海辺の町に引っ越した紗枝。ところがその晩、家が全焼。途方に暮れる紗枝に手を差し伸べたのは、隣人の桂木だった。紗枝は30歳、桂木は50歳。20歳差の二人の同居が始まった。
過去を隠して根無し草のように生きてきた紗枝。美しい容姿と能力の高さで常に他人の興味を引き、疲れてしまった桂木。だからこそ、つかず離れずの距離感を守った同居が心地よかった。しかし、紗枝に東京の刑事から電話があり――。
おいしいものがたくさんあり、ゆったり時間が流れるこの町で始まる、歳の差ラブストーリー。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
主役二人のキャラ設定が濃い!
作中で忠犬と呼ばれた某彼の過去もなかなかだったが、主役二人の過去に比べたら可愛いもの。
特に紗枝嬢の過去はもう過剰といってもいいレベルに濃かった。
それなのに、更に追加、もっと追加と終盤になるまでキャラ設定が盛られたので、もうお腹いっぱいを通り越して溺れてしまうほど。
まだ30歳なのに、なんでこんなことに。
最初は20歳差の二人のじれじれ具合を楽しんで読んでいたはずが、前述のとおり主役二人のキャラ設定やら過去やらが非常に濃いので、そちらの方が気になって読み進める羽目に。
じれじれもいいんだけど、紗枝嬢の過去と身内との決着をどうにかしないと前に進めんだろうという。
非常に濃い、恋愛として濃いではなく、過去の人間模様が濃い物語だった。
ゆえに、面白くはある一方で、ラブストーリーとしては物足りなさも。
何より終わりがめちゃくちゃあっさりしていたので面を食らってしまった。
過去の諸々の決着がついて、いざ二人の関係性はどうするのってなった時の答えが「え、それで終わり?」という。
気付いたらぬるっと番外編に突入していたので、本編がまさかあれで終わりとは……まじかー。
互いに想い合っているのは間違いないのだが、ややこしい過去を抱えている同士、「好きです」「結婚しましょう」という安易な展開にならないという。
この際、もう年齢差は二の次である。
諸々の清算の方が大事だった感。
キャラ設定が濃い分、ラブストーリーとして終わりをつけるなら、それを払拭するレベルの分かりやすい、劇的な展開が欲しかったというのが、正直な感想である。
あれだけ引っ張って現状維持的な終わりだったので。
番外編もいくらか掲載されてはいるけども、日常話の延長線上だったし。
二人のもっといちゃつくシーンが欲しかった……でないと、この胸やけが治らないのよ。