あらすじ
俳句と小説の新しい出会い。17音の奥に潜む繊細で彩り豊かな12の物語。
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Posted by ブクログ
小説家って一句からこんなにも想像を広げられるんだなぁと、改めて尊敬してしまう。
どれも短いお話なのに読み応えあって、おもしろかった。
『異国より訪れし婿墓洗う』は、俳句もいいし、ストーリーもいい。
群を抜いて私の好みだった。その情景をイメージしただけで、グッとくるものがある。
『冬晴れの遠出の先の野辺送り』では、野辺送りというお葬式のやり方を初めて知った。
故人の馴染みある場所を歩いて火葬場まで行くなんて、見送る方法としてとてもいい風習に感じる。
(最近の葬儀のあまりの簡素化にショックを受けた私には尚更素晴らしいことに感じてしまったんだと思う)
ただ、ストーリーの中で裕子が小百合さんを恨んで電話しようとしているシーンがあるけれど、小百合さんは何も悪くないんじゃないの??と不思議だった。
だって小百合さんはストーカーの被害者なんだよね。
いくらお兄さんが小百合さんをきっかけに自死したとしても、恨むのは違うんじゃないかな。
それにしても、ダメンズの登場率高いのはなぜ?笑
ダメンズがテーマだったっけ?と帯を確認してしまったほど。
宮部みゆきの書くダメンズ短編、今後も読みたい。
Posted by ブクログ
12個の俳句から膨らむ短編小説。「枯れ向日葵呼んで振り向く奴がいる」婚約破棄されたアツコに枯れ向日葵が帰るよと言った情景が浮かび上がってきた。「鋏利し庭の鶏頭刎ね尽くす」亡くなった幼馴染に囚われている夫とその家族に意趣返しをした様がお見事。「散ることは実るためなり桃の花」娘を思う母の気持ちがやるせない。「月隠るついさっきまで人だった」〇〇のくせにという奴は信用しないようにしよう。「山降りる旅駅ごとに花ひらき」母にも疎まれていた春恵に幸あれ。「薔薇落つる丑三つの刻だれぞいぬ」確かに生きてる人間の方が怖い。
Posted by ブクログ
安定の面白さ。事故で亡くなった同級生をいつまでも想い続ける男とその家族の話は気持ち悪くて特に妹が。最後は少しざまあーって感じでスッキリ。