あらすじ
企業法務部門の新人~若手、とくに非法学部卒の方・他部署から異動してきたばかりの方へ向けた契約書審査の本が登場!
◎実務を見据えて、初歩から契約書審査のポイントを総ざらい!
◎本文中に登場する法律知識には逐一解説「ひとくちメモ」つき!
◎法務部長の意図がわかる! 法務の「共通言語」を身に付ける1冊!
契約書「審査」の業務に絞り、契約書の見方の基礎から契約交渉時のリスクの見積もり方、契約締結後の契約管理まで、先輩からの指導・研修のようなやさしいながらも実践的な内容をカバーする書籍です。
著者の好評シリーズ『実践! 契約書審査の実務』シリーズを「一番最初に読むにはちょっと難しいな……」と感じる方にぜひ読んでいただきたい、契約書審査にしぼった入門書です。
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Posted by ブクログ
最近はCopilotとかChat GPTとかに頼れるようにもなり、法的な確認や文書作成は随分と便利になった。それでも、こうしたAIに聞きながらの仕事と自ら意識を身につけておく事の違いは、瞬発力や掘り下げる力にあると思う。また、当然ながらクライアントの信頼にも関わる。AIに頼って準備をしてきた人間と会話をしていても薄いし、二の矢、三の矢が遅かったり、会話が噛み合わない。まだ、過渡期である。
というわけで本書のような基本に一度目を通すだけでも随分違う。法律屋は極力リスクを減らすべく文書を考えるのだが、裏返せば、それだけリスクが潜在しているという事だ。本書は有益である。
例えば、口頭合意は常に契約たり得るか、などの切り口は新たな学びだった。契約書は明文化して理解に齟齬がないようにするもので契約自体は口頭でも成立する、と思い込んでいた。強要や証拠がない場合など、冷静に考えると例外がある事は分かるが、社会通念上どう考えられるかが重要。人は日常的に「合意」をしているが、すべての合意に法律上の履行義務や損害賠償義務が生じたりするなどの責任が生じるわけではない。
他にも、契約文書における言葉遣い。「とき」と「時」の違い。「解除」と「解約」の違いなども勉強になった。また、免責においても、必ずしも契約書に書いたからといって責任が免れるわけではない。故意・重過失があって、契約の相手方に損害を生じさせた場合でも「あらかじめ合意していれば免責される」とするのは、社会通念から外れる。民法の一般原則である公序良俗違反(民法 90条)の法理が働くのだ。
社会通念を身につける事が大事。それは、やはり自ら身体化させる必要があるのだ。分かりやすく為になる本、テキストであった。