あらすじ
貴方への想いと、貴方からの想い。
それが私の剣と盾になる。
「剣は鞘にお前を選んだ」
美しい長女と三女に挟まれ、目立つこともなく生きてきたオードル家の次女サクラは、「軍神」と呼ばれる皇子カイにそう告げられ、一夜にして彼の妃となる。
課せられた役割は、国を護る「破魔の剣」を留めるため、カイの側にいること、ただそれだけ。屋敷で籠の鳥となるサクラだが、持ち前の聡さと思いやりが冷徹なカイを少しずつ変えていき……。
すれ違いながらも愛を求める二人を、神々しいまでに美しく描くシンデレラロマンス。
【登場人物紹介】
サクラ
名門貴族の不遇な令嬢。散歩と、小さな使い魔アシュと戯れることが好き。
カイ
大国キリングシークの第二皇子。数々の戦を制し、「漆黒の軍神」と呼ばれる。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
サクラのストイックすぎる自己犠牲の精神に読み手のこちらがハラハラさせられましたが、後半になってカイがやっと愛情を返してくれてよかった!前途多難な2人の道のりだけど、少しでも穏やかな日常を一緒に過ごせるようになるといいな。
Posted by ブクログ
不思議な物語だった。
意図して虐げられていいた訳ではないが、悪気なく蔑ろにされていたサクラが、軍神と呼ばれる第二皇子の剣を体内に納める「鞘」に選ばれてから動き出す物語。
鞘はそばにいなければならないという理由だけで彼女を妻としたカイ。
鞘としての役目のみ与えられたのだから、それ以上は望まないと自分の立場を十分過ぎるほど弁えていたサクラ。
段々と互いに惹かれてはいくのだが、すれ違いというか、無自覚の束縛や抑圧というか、どうにもすれ違う二人。
互いが異性をちゃんと「愛おしい」と思える最初の相手だったからだろうか。
結ばれるまでがかかったので、もどかしかった。
一度結ばれたあとは、カイの溺愛ぶりが加速度的に上昇したが。
自覚して開き直ったのだ。
軍神と言いつつ、彼が実際に戦う場面の描写は意外に少なく、ひたすら二人を中心にした話だったように思う。
下手をすると屋敷の外に広がっていかない閉じた箱庭の物語。
途中他国にも行くのだが、療養のためだったし、引きこもってばかりだったので。
カイが開き直ってからだ、外へ開かれたのは。
また、文章が少しとっちらかっている印象で、今誰の視点なのか混乱することも。
三人称の文章なのだが、同一場面内で主軸がぱっぱっと切り替わる。
これ、誰の心情描写となることがあって、集中できないのが勿体なかった。
最近、こういう書き方の小説が多いような気がする。
流行なのかなあ。