【感想・ネタバレ】イーサン・フロムのレビュー

あらすじ

『無垢の時代』の作家の別の顔、待望の新訳

「ものいわぬ白い雪原のように寡黙なイーサン・フロム。その“雪”の下には、『嵐が丘』のヒースクリフを思わせる孤独な魂の死闘の物語があった」――小川公代氏(英文学者)
マサチューセッツ州スタークフィールドで冬を過ごすことになった語り手の「私」は、足をひきずった寡黙な男をたびたび見かけていた。聞くに、イーサン・フロムなるこの土地の男で、かつてひどい「激突」を起こして以来、足が不自由になったのだという。思いがけず「私」はフロムに馬橇で駅まで毎日送迎してもらうことになるが、ある晩、ふたりは帰り道に吹雪に巻き込まれ、フロムは途上にある自宅に「私」を招き入れる。そこで「私」が目にしたものとは――。寒村の孤独、親の介護、挫かれた学業、妻の病……厳冬に生を閉ざされた主人公フロムを襲う苦難、そんな日々に射し込んだささやかな幸福、その果てに待ち受ける悲劇を精緻な技巧で描くアメリカ文学の古典。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

マサチューセッツの小さな村を舞台に、病気がちの妻と、妻の親戚の女性と3人で暮らすイーサン・フロムの身に起きた事件を描くお話

イーディス・ウォートンは以前「無垢の時代」を読んだことがあるのだけど、とにかく情景の描写が細かくて、その時代や場所を文章という形で生き生きと再現するのが本当に上手いなと改めて思いました。

ニューイングランドの冬の寒々しい感じとか、主人公家族の家の様子とかが映像として脳内で再生されていく感じがとても楽しい読書体験でした。

肝心の物語の方は、病弱の妻がいるにも関わらず親戚の若い娘に思いを寄せてしまうというお話で、妻が泊まりで出かけた時にやたらワクワクしてる主人公の様子とかがすごく細かく描かれるのだけど、妻がかわいそうだなとか思いながら割と冷めた感じで読んじゃいました。

最後の方になって、イーサンとマティが激しく求め合うところのセリフのやり取りが読んでいてムズムズしまくりで、自分は一体なにを読まされているのだろうと思ったところからの、これはホラーではないかと思うようなゾッとするラストで全然爽やかじゃない読後感でした。

普通なら命を落とす展開にすることが多いと思うのだけど、あのラストに落とし込んだ作者が怖い。

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2025年04月10日

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