【感想・ネタバレ】最新版 歌舞伎の解剖図鑑のレビュー

あらすじ

歌舞伎好きは必携のロングセラー
『歌舞伎の解剖図鑑』が大幅リニューアル!
戦後~現在までの人気役者紹介や最新情報、
演目ガイドもたっぷり盛り込みました。

歌舞伎の「基本の『き』」と楽しみ方が、この1冊で丸わかり。
豊富なイラストとわかりやすい文章で、歌舞伎の魅力を徹底解剖!

観劇の方法や、ストーリー・衣装・髪形・化粧など知っておきたいお約束はもちろん、
歌舞伎に関する「知っておきたいあれこれ」を、分かりやすく解説しています。
*
序章「目からウロコ!?の歌舞伎のツボ~知らざぁ言って聞かせやしょう~」

第一章「歌舞伎を観に行こう! 」気構える必要はありません
歌舞伎の観方/観劇のツボ/劇場紹介/歌舞伎の舞台拝見!

第二章「早わかり! 歌舞伎のツボ」お約束を知ると、歌舞伎はもっと楽しくなります
衣装と小道具/動物/食べ物/顔と化粧/髪形/役柄/女形/演技
演目の種類/物語・設定/世界と趣向/見どころ/音楽

■知っておくと楽しい! 歌舞伎用語集
黒衣/差し金/四天/とんぼ/立ち回り/ケレン/襲名/口上/一世一代/二枚目、三枚目
兼ねる役者/顔見世/大向こう/六方/ツケ/柝/だんまり/引き抜き/早変わり/物語
道行/くどき/モドリ/狂言/梨園/江戸三座

第三章「歌舞伎役者とその芸脈」◎◎屋、ってなんでしょう?
名跡と屋号/一目でわかる歌舞伎役者家系図/家の芸と個性/主な歌舞伎の家紹介/近世・近年の名優たち/戦後~令和の名優たち/注目歌舞伎役者名鑑/期待の若手たち/将来が楽しみなJr.たち

第四章「押さえておきたい名作演目32選」正義モノからメロドラマまで
[まずは拝見]籠釣瓶花街酔醒~美人花魁殺人事件の謎!~
[三大名作]仮名手本忠臣蔵/菅原伝授手習鑑/義経千本桜
[歌舞伎十八番]勧進帳/暫/毛抜/助六由縁江戸桜/外郎売/矢の根
[時代物]一谷嫩軍記/妹背山婦女庭訓(三笠山御殿)/宮島のだんまり
[世話物]白浪五人男/三人吉三巴白浪/東海道四谷怪談/天衣紛上野初花/双蝶々曲輪日記(引窓)/曽我綉侠御所染/与話情浮名横櫛
[新歌舞伎]ぢいさんばあさん/松浦の太鼓/荒川の佐吉
[スーパー歌舞伎]ワンピース
[松羽目物]棒しばり/土蜘
[所作事]春興鏡獅子
[舞踊]黒塚/三社祭/双面/近江のお兼/京人形

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Posted by ブクログ

これ、ゼッタイ歌舞伎座の売店で販売されてる。だって歌舞伎見たくなってきたから。
歌舞伎の様式美や鑑賞方法・役者名鑑にオススメ演目と色鮮やかに解説されていて、読んでいるうちに実際の動きを確かめたくなった。(約10年前に歌舞伎デビュー(?)して以来)未だにノリで鑑賞している自分がそう感じるのだから、初心者の方だと尚更気がはやるに違いない。
但しぶっ通しだとダレてくるので、キリの良いところで区切りながら読むことを僭越ながらおすすめする。鑑賞経験同様、急がば回れだ。

ノリで鑑賞することが邪道みたいに書いたが、著者曰くノリで楽しむことも大事らしい。
今でも「よく分からないままの鑑賞で良いのかな」と悩むことがあるが、大切なのはストーリーを追うことではなく「基本設定の理解」だそう。
それに全てが分からずとも「役者の演技のノリ」も重要ポイントだったりするから(その証拠に押さえておきたいビジュアル的なポイントに結構ページが割かれていた) 、見た目から入るのもあながち悪くなさそう。

料金設定まで解説してくれているのも嬉しい。
自分の中では「歌舞伎を観に行く=ご褒美」なのでよく花道沿いの席を取るが、三階席だと約4,000〜6,000円。観たい演目だけを1,000〜2,000円で鑑賞できるオプションもあるみたいで、意外とオープンなのがよく分かる。
歌舞伎衣装の人々が観客席から伝える鑑賞方法のページ(映画本編の前に流れる映画鑑賞マナーの動画を思い出した笑)は、歌舞伎以外の舞台でも通用する箇所もあって勉強になった。

歌舞伎といえば、女人禁制。
ご存じ出雲阿国が発端だが、のちに風紀上の理由から女性の出演が禁止になった。女性による歌舞伎も一度は観てみたいなーと個人的に思うが、やっぱり色々とハードなんだと思い知らされる…。
女形の主役級だと衣装の重量が最大30キロほどに達し、基本姿勢も中腰気味。さらに男性が演じることで、現実的ではない「いい色気の按配」が出来上がる…。
客は「お芝居」を観にきているから舞台にまで日常を持ち込んではいけない…ってことであれば、女人禁制も納得かな。

長年の疑問もクリアになった。
源平合戦や足利時代が舞台の古典物なのに、衣装はほとんど江戸時代のもの。平家の貴公子が寿司屋に匿われていたりと、設定もめちゃくちゃ。眼福なのは変わりないんだけど、この「なんでもあり」がずっと引っかかっていた。
これもまた歴史が絡んでいて、当時の幕府政権に睨まれないよう敢えて昔話のallフィクションにした。実際の事件をベースにしていても別のストーリーを作ったりして、結果的に「なんでもあり」が継承されていったようだ。(スーパー歌舞伎なんかが説得力ある)

後半になると、いよいよ観たい演目も出てくるのではないだろうか。
自分は『籠釣瓶花街酔醒』と『京人形』で、前者は吉原ナンバー1の花魁とあばた顔商人との悲恋劇、後者は女形が京人形に扮する舞踊物である。(箱から出る演出がバービー人形みたいで気になっている笑)
チケットを入手できた暁には、また本書にお世話になっちゃおかな。

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2024年10月05日

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