あらすじ
好きで堪らない彼女に別れを告げてしまった男性書店員の「未練」。ギャンブルですべてを失い“看板”として道端に立つ男のささやかな見栄「街のサンドイッチマン」。妻が産んだのは他人の子。それでも父親になりたかった夫の告白「ああ、なんてみじめな」。留学の二日前に愛娘を殺害された両親が語る在りし日の姿「娘は二十一のまま」。消えぬ後悔を胸に、それでも人は今を生きている。市井の人々の声に耳を傾け、リアルな姿を描き続ける著者の傑作ノンフィクション・コラム19編。(『こころ傷んでたえがたき日に』を改題して文庫化)
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Posted by ブクログ
市井に生きる人々の、人生のごく一部を覗かせてもらったような気持ちになるノンフィクションコラム。
人の数だけ、それぞれの人生のお話があるんだよ、と教えてくれる1冊。
私と全く関わりのない人たちのストーリーなのに、どうしてか共感してしまったり、なんとなく懐かしい気持ちになったり、(その人たちのとっての)幸せを願ってしまったり。 そして、今の自分自身をふと振り返ってしまったり。
本を読んでいる、というよりは私自身も著者と共にその場に同席して話を聞いたり、観たりしているような気分にさせられた。
人は誰しも、ひそやかに胸に悔いやどしつつも、生きていくんだろう。私も、私の家族や回りの友人も、私は名も知らない人たちも。