【感想・ネタバレ】極刑のレビュー

あらすじ

愛娘を殺されながらも極刑を望まなかった半田龍樹は、妻とも別れ、小さな居酒屋を始めた。一見、平穏に流れる日々――。だが、常連客は知らなかった。龍樹の陰の“制裁”を。卑劣な罪を犯しながらも逃げおおせた者を執拗に追跡し、淡々と運命の引き金を引いていく龍樹。黒い血に塗れた両の手は、やがて思いがけない事態を引き寄せてしまう。猛毒ミステリー『いっそこの手で殺せたら』で大注目の新進作家、衝撃のデビュー作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

加害者がどのような罰を受けるのが被害者にとって1番良いことなのか、色々考えさせられる。
前半は主人公によるスカっとする私刑が続くが最後の事件は現実的な結末であった。続編を読んでみたい。

0
2023年10月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一気読み。
半田龍樹が、どういう答えを出すか。心の揺れ。

罪を犯しても反省もなく相手が悪い、何で俺が…、そこにいるのがいけないんだ、「正しい」方法だ等と自分勝手な考えばかり…。

逃げ続ける彼らに、言い逃れができないほどの証拠を叩きつける。

龍樹の風貌から、最初は、強気な態度をみせる。
彼の丁寧な言葉遣いと、光のない目、死んだような目をみて震え上がる。

直子の言葉、考え方、感覚が理解できないこともあった。そばにいてほしい人であったが近づいてはいけないとも思う。

動画を拡散させたり、削除におわれたり大手メディアが、全く反応しなかったり、誰も信じるはずのない言い訳、捜査員の独断によるものなど、反対に世間は騒ぎになる構図、最後までどうなるかページをめくる手が止まらなかった。


0
2023年05月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

娘を殺された半田龍樹は、新たな「被害者」や自分と同じような「被害者遺族」を増やさないよう、犯罪者たちを自らの手で裁くようになる。

司法を逃れたり、刑期を終えて出所しても全く悔恨の情のない者たちを、追い詰めてゆく龍樹の執念は、常軌を逸しているとも言えます。「娘が生まれた意味(=娘が殺されたことが社会に与える意味)」を追いつつ、犯罪者たちに(私的な)制裁を加える龍樹の葛藤も描かれており、スピード感のある展開で引き込ませるミステリ作品でした。

一方で、文章表現に過剰に攻撃的な言葉選びが見られたり、結末では龍樹が自身の犯した「殺人」という罪を償うという方向性には向かわなかったことなど、少し違和感を覚えます。
「社会に害をなす犯罪者」という理由で私的に制裁を加えた相手であったとしても、(少なくとも日本は法治国家なわけで)人権もありますし、親もいたはずで……。無関係の女子高生を巻き込んで重傷を負わせてしまったということで龍樹は自らの行動の意義を改めて考えることになるのですが、「社会悪を被害者遺族が断罪する」という本作の構図は、主人公の心情は理解できるものの、「自分勝手な動機でなんの罪もない被害者を殺害した犯罪者たち」と似ていると感じます。
この「もやもや感」を読者に伝えたい/考えさせたい、という小説なら狙い通りなのでしょうが、どうにもそうではないような気もして、釈然としません。

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2023年03月25日

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