あらすじ
多くの芸人たちが、憧れの存在として名前をあげる東京ダイナマイト。そのハチミツ二郎による初自伝。
M-1、THE MANZAI、決勝に計3度進出するも手にできなかった栄冠への思いや、事務所移籍、心不全、コロナの後遺症など血で綴ったかのような赤裸々な告白が胸に刺さる。令和のお笑いブームにとどめを刺す、重厚すぎる芸人自伝本の傑作。
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Posted by ブクログ
すごい本だった。お笑いにはすっかり関心を失っており、東京ダイナマイトの漫才はM-1で何度か見ただけだ。90年代から画期的かつ精力的な活動をされており、その活きのいい時期は自分も東京にいたので、見る機会もあっただろうしもったいないことをした。
闘病の記録が壮絶だ。また、娘さんが奥さんと別れるのを嫌がって間をとりもとうとする様子が切ない。健康も夫婦関係も際どい内容でスリリングで分厚いのにすぐ読み終わった。
努力もされて、素晴らしい仲間に恵まれて、恋愛もされて言うなれば人の何倍も充実した愉快な時期を過ごしていらしたことがうかがえる。誰も経験できない立場にも立っている。お酒をたっぷり飲んでおいしいものを食べて煙草を吸って、ダイエットを心がけていたらこうはならないのにと、残念としか言いようがない。僕はせこい人間なので、マラソンとダイエットと食生活をケチることが合致して、血糖値をあげないことを心がけている。おかげで健康だ。しかし人は自分のやりたいようにやるべきなのでこればっかりはどうしようもない。
この本の続きとなるnoteの文章も買って読んだらますます壮絶で、ハラハラした。人工透析だけは嫌だ。
Posted by ブクログ
なんか感動してしまった。
東京ダイナマイトのハチミツ二郎さんの自伝。
実際にプロレスラーと闘い、M1のファイナリストの漫才師、オフィス北野の退社の話、2度死にかけ、現在も透析しながら、IT企業のサラリーマンとして勤め、吉本興業のライブのトリを務める、暗くて強い漫才師だ。
ビートたけし、立川談志にも、認められているのに、テレビではあまりみない。
主戦場である、寄席で毎日のように漫才をしているのだ。
「雛壇と短いネタはやるなよ」とたけしからの教えを守っているのだ。
Posted by ブクログ
もしあなたがなんとなく面白い本を探しているのであれば、騙されたと思ってこの本を取ってほしい。そして東京ダイナマイトというコンビで芸人として長く活躍するハチミツ二郎を少しでも知っているのであればなおさらである。
私はお笑いに全く詳しくないのだが、唯一名前を挙げれるほど好きなのが東京ダイナマイトである。きっかけは2015年か2016年のM-1の敗者復活戦の動画であった。架空の通販番組を舞台にした漫才の中でTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの「ミッドナイト・クラクション・ベイビー」というワーディングが出てきて爆笑しながら、自身のツボにはまるというのはこういうことか、という感覚を持った。
さて、本書は東京ダイナマイトのツッコミ役であるハチミツ二郎が自身の芸人としての人生を恐らく一切の誇張なしに描いた自伝である。もう語られるエピソードの全てがはちゃめちゃに面白いのは当たり前として、心不全で死にかけ、長年の不摂生から人工透析となり、さらに新型コロナウイルスにも感染するなどボロボロの身体を従えて、それでも芸人としての道を生き抜こうとするその姿勢に感動すらしてしまう。
本書の帯では育ててもらったオフィス北野を抜けて吉本興業へ移籍しようとする際に、ビートたけしから温かい言葉をかけてもらうシーンが引用されているが、そのシーンなども含めて胸を打つ場面も多い。
Posted by ブクログ
1ページ目から最後まで止まることなく一気に読んでしまった。
M-1で、笑金で、みていた東京ダイナマイト。ダントツに面白かった。もっと世に出て欲しいと思っていた。
事務所の移籍など、裏側で何があったのかと思っていたけど、それをストレートに書いている。なんと正直な人なのだろう。
そしてラストの展開に…
生きること死ぬことに自分はそこまで向き合っているのか、まだつきつけられていない、がその日は明日やってくるかもしれない。
はみださなくてはいけないんだ。という言葉に勇気をもらった。がんばれ生きろハチミツ二郎
Posted by ブクログ
東京ダイナマイト結成のきっかけ、ハチミツさんの人生の浮き沈みが克明に描かれていて、読後とんでもない疲労感に襲われた。最終章は壮絶すぎて何と言っていいのやら。。。。ものすごい読書体験。
Posted by ブクログ
個人としての闘病記と、それ以外の芸人としての回顧録。
後者は、どうも自慢しがちな点や、情緒的な言い回しに自己陶酔感を覚えてあまり興味をもてない。
だが、その自意識故に、すみずみまで記憶されている。それが、前者の良さに生きる。
前者は、つぶさな出来事や観察、苦痛が赤裸々に表現されていて、身につまされる思い。これはなかなかよく、芸人という特殊(と彼は思いたい)な職業と病が密接に絡み合って、ただの闘病記を超えた奥深さをあらわせている。
傲岸不遜に生きていける男が、家族を持ってしまったがゆえの、哀しみと喜び。
きっと彼は家族がいなければ、いつ死んでも良かっただろう。家族がいるから、死ぬよりも辛い苦しみを甘受している。
この点がもっと浮き立つと、非常によい本になったと思う。
ともあれ、業が深い。