あらすじ
人気交通系YouTuberが初めて明かす知られざる車掌のお仕事
「マイ腕時計は禁止」
「音鉄との共同作業!?」
「踏切の棒を折ってください」
進むワンマン化、消えつつある車掌の最後の記録?
「初めて窓から顔を出したときの衝撃」
「次の駅は草が伸びてるから気を付けて」
「車掌が寝坊したらどうなる?」
トラブルは一期一会!
(「はじめに」より抜粋)
初対面の人に「車掌をしています」と自己紹介すると、たいていは「えっ、社長ですか?」と聞き間違えられる。車掌という存在自体は知っていたとしても、「車掌って何をするんですか?」と聞かれることも多い。
――
車掌は本来、「列車防護要員」として緊急時に列車を止める任務がある。また、日々さまざまなトラブルに対応する必要があり、ときには破損した踏切の遮断棒を折って事務所に持ち帰るという対応をしたこともある。
この本を通じて、知名度が低い仕事である車掌について少しでも知ってもらえれば嬉しい。せめて、車掌を社長と聞き間違えずに「ああ、車掌ね。知ってるよ。最後部に乗っよね」と思ってもらえることが増えれば本望だ。
――
乗務員室の最後尾にいて、何をしているかわからない謎に包まれた職業、車掌。
この本を読み終えるころには、多くの謎が解き明かされ、車掌について知っている人も知らない人も、車掌への見方が変わっていることだろう。
はじめに
1章 どうすれば車掌になれるの? 車掌になるまでの流れ
2章 知られざる車掌。いったい何者?
3章 車掌にまつわる疑問あれこれ
4章 トラブル発生! そのとき車掌は?
5章 車掌からのステップアップ
おわりに
コラム
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Posted by ブクログ
娘は動いている電車に手を振るのが大好きで、出先でホームに降り立つと、乗ってきた電車が発車するまでじっと待ち、いざ動き出すと「おーい!」と見えなくなるまでずっと手を振り続ける。その姿に気づいた車掌が、そっと手を振り返してくれたり、軽くお辞儀をしてくれたりする場面に何度も出会い、勤務中にもかかわらず気持ちを和ませてくれるその対応に、いつもありがたい気持ちになっていた。
日常的に電車を利用することは多いが、電車が時間どおりに来てくれるおかげで、その後の予定が滞りなく進むことが何度もある。これまでは「電車が正確に来るのは当たり前」とどこかで思い込み、その理由について深く考えることはあまりなかったが、本書を読んで改めてその裏側に思いを巡らせるきっかけとなり、とても興味深かった。
本書を読み終えて強く感じたのは、自動化が進んでいると現代において、鉄道の現場では驚くほど多くの作業が手動で行われているという事実に、驚きと尊敬の念を抱いた。一方で、こうした手動での対応が多い中ワンマン化が進んでいる現状を思うと、人手不足の今だからこそ、現場の負担を軽減できないかという気持ちも湧いてきた。
時間どおりの運行を実現するための工夫の中でも特に面白かったのが、秒単位での時間管理と、発車メロディを逆算して鳴らしているというエピソードだ。
発車メロディに対してもここまで細やかな配慮と計算が行われているのかと知り、ただただ頭が下がる思いだった。
また、「採時駅」と「非採時駅」があることも本書で初めて知った。
思い返すと、地元の路面電車では、始発駅以外の駅で予定時刻よりも早く出発してしまうことが度々あり、当時は「田舎だから仕方ないのだろう」と思っていたが、まさか本書を通して学生時代の疑問が解けるとは思いもしなかった。