あらすじ
ある朝起きてみたら、お父さんが牛になっていた!一家はボーゼン。周りに知られないよう餌をやりフンの始末をし、なんとか生活を続けようとするけれど、勤め先からは問い合わせがガンガン入るし、近所のおせっかいオバサンは首をつっこんでくるし……。一体どうなるの!? 「詩のボクシング」の第7代日本チャンピオンがライブ感覚いっぱいの言葉を連打して送る、ぶっ飛び変身ストーリー。挿絵のパワーとフットワークもスゴイ!
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Posted by ブクログ
児童書と侮るなかれ。なかなか重ーく、深ーく、切ない話です。
ある朝、お父さんが牛になっていた!家族でエサをあげたりフンの掃除をしたり、近所にバレないように物置に閉じ込めたりする。牛になる前は、中学生のお姉ちゃんにとってはゴキブリのような存在。小学生のぼくは「避ける」、お母さんは「あしらう」。そんな存在感のないお父さんがある日突然やけに存在感のある牛に変身する。思春期の子どもたちや妻に邪魔にされて牛になってしまったのか?
一方で、お父さんの部下の「むずかしいことなんて全部わすれて食べたいときに食べて、寝たいときに寝たい」という言葉を聞いて、ぼくはまるで今のお父さんじゃないか、と思う。そしてお父さんの代わりに働き始めたお母さんは自分も「そのうち、お父さんみたいに牛になっちゃうんじゃないか」と不安になる。お父さんは自ら牛になったのか?
そして、おばあちゃんは一目で牛が我が子であると見抜いて、田舎に連れて帰ることにする。ぼくたちはホッとすると同時に「これでいいのか?」と悩む。でも、物置に閉じ込められているよりも広々とした田舎で暮らす方が幸せだと決断する。
介護や施設に入れることを悩んだりすることにも重なったり、色んな角度から読むことのできる作品だと思いました。これ、本当に児童書なんだろうか?一読の価値ありです。
Posted by ブクログ
お父さんが牛になる、その世話の仕方の描写がリアルでちょっと気持ち悪くなった。
けど、お父さんが牛になるって、病気になったり、痴呆症になったりした時の例えなのかな、と思えた。
相手とコミュニケーションとれなくなって初めて相手のことを考えること。
思い切って牛にしてるところがすごいけど。
そして、ラスト、なんとお父さん人間に戻らず…!!この先戻るんだろうか。。
疲れ過ぎて、相手にされなすぎて、さみしくて牛になってしまったんだとしたら、本当に悲しい。
実の親のおばあちゃんがお父さんだとわかってくれて救われたところはあるけれど、牛になりたいくらいの世の中なんてな…。
わからなくもないから、切ない話だった。
Posted by ブクログ
ある日いきなりお父さんが牛になっていたという、すごい設定。そのせいでいつもウザったく感じ、いるかいないか意識されないお父さんの存在について、家族でいやでも考えることとなる。牛でカモフラージュされてるが介護の問題も含まれていて、結末がどうなるかと思ったらおばあちゃんに頼ることになって、解決に至ってないことが問題だと思えた。
Posted by ブクログ
予想以上に楽しんで読めました。でも、児童書としては、どうでしょう。お母さんが、働き出したときに「私もいつかは牛になるかも」とつぶやくあたりは、大人の共感を得るだけのような気もしました。また、おばあちゃんがお嫁さんに謝るところも同様。ただ、牛になったお父さんに、それほど悲愴感がなかったのには救われました。
Posted by ブクログ
家族の中で なんとなく浮いていたお父さんが、牛になりました。
住宅地の一軒家で、(元お父さん)牛を飼います。畳の部屋はボロボロになるし、うんちの始末は大変だし、臭いもひどいし、餌にも困るし、お父さんの会社も誤魔化さなきゃならないし、ご近所さんの目もあるし・・・。
中二のお姉ちゃんは、なんとか理由をつけてサボろうとするし、お母さんは仕事を増やして家計をまかなおうをするけど、牛の世話もあっていっぱいいっぱいだ。ぼくだって、友だちを家によんで、一緒に遊ぶこともできなくなってしまう。このままぼくら一家はどうなってしまうのか?
昔は仲良くやっていたお父さん。今はどんなこと考えていたんだろう。
牛になったというところ以外はリアルな物語。
お父さんの知らなかった事を知り、それぞれ家族の事を思いながらも、お父さんナシの生活を選ぶ。