あらすじ
青の森の魔女・ネリは、母が連行されて以来ひとりで生きてきた。ある日、政略結婚を退けたいと依頼人の令嬢が訪ねてくる。その結婚相手こそ宿敵・エルヴィンだった。ここ数年、魔女のしわざだとされる「化石病」が貴族の間で流行している。魔女の取引は厳しく取り締まられ、母は騎士のエルヴィンに連行されたのだった。母の行方を捜すため、ネリは変異魔術で令嬢に成り代わり嫁入りする。
偽物のはずの結婚生活は、孤独なネリと頑ななエルヴィンを変えてゆく。正体を隠すネリの心が揺れる中、悪意が二人に迫り――。
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Posted by ブクログ
あれだけ魔女に恨みを持ち、嫁いできた二人目の妻にも無関心だったエルヴィンの転がりようが 微笑ましかった。
話の内容は決して微笑ましい展開ではないけれども。
恋愛初心者丸出しの初心っぷり、序盤の性格とのギャップにやられた。
前述通り、話は決して微笑ましい展開ではない。
謎の化石病が流行る中、姿を消した母の手がかりを求めて魔女狩りをしているエルヴィンの元へ本来の結婚相手の姿に化けて乗り込むネリ。
ネリにとって、エルヴィンは母を連行していった憎い相手。
エルヴィンも魔女を狩ることに注力していて、その他には自身の家のことすら全くの無関心。
互いが互いを最悪か無関心かである状況、微笑ましいはずがない。
のだが、ネリの持っていた本来の気質にエルヴィンは惹かれていく。
ネリはネリで、エルヴィンを憎からず思うようになっていく。
二人が惹かれたのは、お互いの外見や評判でないところがポイントだろう。
ネリはそもそも本当の姿を隠している。
本当の姿に戻ったときにも、エルヴィンの気持ちは変わらないのかどうか。
この辺りの伏線は、二人の馴れ合いの中に丁寧に貼られていたと思う。
魔女についての考え方ひとつ取っても衝突していた二人。
そんな二人は化石病に隠された謎を解き明かしていくうちに、狩るもの狩られるもの垣根をこえて協力していく。
それは、お互いを失いたくないという想いから。
明かされた謎は哀しい真実で哀しい結末を迎えてしまったが、主役二人の関係性が希望となり、魔女たちの名誉も回復していくだろう。
優しい世界になってほしいと思う。