あらすじ
67歳の新人、デビュー!奇跡の初単行本!
プロ漫画家たちも称賛する
圧倒的な原石!
衝撃作『山で暮らす男』で新人賞を受賞し、
業界を騒然とさせた67歳の新人・ハン角斉。
漲る初期衝動と独自の世界観でプロも称賛する
氏の読切6編を収めた奇跡の初単行本!
池上遼一氏、感嘆!
「漫画であり、漫画の範疇をも超えた深い読後感!
毒、狂気じみた人物像、常識がくるわされていく違和感、
エロティシズム…カフカやカミュのような不条理文学を
彷彿とさせる。異才だ!」
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
伊集院光さんがラジオで去年のベストバイにランクインさせていて、面白そうだったので買ってみた。すると、本当にすごく面白い。60歳を過ぎるまで新人賞を落選し続けていたのにスペリオールに読み切りが載って、とうとう単行本デビューで夢がある。絵は花輪和一さんの雰囲気で、お住まいは花輪さんと同じく北海道だ。北海道が育む絵柄なのだろうか。登場人物は中年か老人で、情念がこもっている。てっきりひとり者なのかと思ったら奥様がいらっしゃるようだ。よかった。
匿名
独特の良さを感じます
これ、南信長氏などが褒めていた作品でしたので、ちょっと割引がきいた時に電子版で購入しました。 現在67歳という作者の年齢等にばかり注目するのは野暮で、やはりこの独特の作品世界を堪能すべきなのでしょうね。 ビッグコミックというよりはガロに載りそうな作風ですが、才能とは夢を見続けられる力のことですよ、といったある演劇作品の台詞も思い出すような読書体験でした。 今のところ、案山子の話がベストですかね。割ときっちりオチをつける方ですね。⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
南信長氏の記事、一部を転載します。
狂気じみた殺人犯の正体に虚を突かれる「山で暮らす男」、モテない男のペーソスがしみる「親父(おやじ)のブルース」、余命宣告された男の思わぬ最期を描く「黒い蝶(ちょう)」、幼い娘を殺された母の絶望と救済の物語「案山子(かかし)峠」など、いずれも妄想と現実が反転するような仕掛けをはらむ。聖と俗を併せ持つ人物たちのドラマは寓話(ぐうわ)としても読める。
細密なペンタッチも印象的だ。なかでも謎の収容施設からの逃走劇「眠りに就く時…」の草木や星空、「模様」の顔にアザのある少女の描写には偏執狂的なものすら感じる。北海道の方言で「ばからしい」を意味するペンネームにも苦笑。遅れてきた異形の新人にマンガの多様性と可能性を見た。=朝日新聞2022年10月15日掲載