あらすじ
2020年、春夏ともに甲子園大会が中止となり、新型コロナウィルス感染拡大の影響を大きく受けた高校野球。そんななか、名将と呼ばれる強豪校の監督たちは、選手たちに何を伝え、どう向き合ったのか。さらに、「令和」という新しい時代を迎えて、変わりつつある高校野球の未来像にもせまる。未曽有の困難に直面した高校野球の「今」と「未来」が見える1冊。
「将来につながるための高校野球やから。それだけは忘れんなよ」──馬淵史郎
甲子園という目標を失った球児たち。ただ、それだけがすべてではない
未曽有の困難に直面し、そのとき名門校8名の監督たちは──
思うように対外試合を行うことができず、自分たちの実力を見極めることができないまま、 ぶっつけ本番で大会に挑んだ時期もあった。そうした苦難を乗り越えて、いかに3年間の 高校野球生活を納得する形で終わらせたのか。(「はじめに」より)
第1章 コロナによって変わった指導法、変わらないままの指導法
日本大学第三高等学校・小倉全由監督
第2章 「お前ら、甲子園はもうあきらめろ」という言葉の真意
龍谷大学付属平安高等学校・原田英彦監督
第3章 これからの時代は「指導者の意識改革」が必要
中京大学附属中京高等学校・高橋源一郎監督
第4章 無観客の夏の甲子園球場で感じていたこと
花咲徳栄高等学校・岩井隆監督
第5章 「組織力を高める方法」を模索していきたい
熊本県立熊本工業高等学校・田島圭介監督
第6章 将来につながるための野球。高校野球の目的は「人間作り」
明徳義塾高等学校・馬淵史郎監督
第7章 コロナ禍の今こそ「凡事徹底」を追求する
前橋育英高等学校・荒井直樹監督
第8章 「道しるべ」であるはずの甲子園大会がなくなって考えたこと
八戸学院光星高等学校・仲井宗基監督
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Posted by ブクログ
2020年の春夏は中止、2021年も感染者増による
出場辞退など、当事者の高校生からすれば「なん
でこんなことに・・・」と信じられない事態が発
生した全国高校野球大会でしょう。
まさにコロナに翻弄された約3年間でした。
この間にチームを指導する監督は何を考え、どう
チームメンバーに伝えたのか、そしてこれからど
う過ごしていくのかが語られているのが本書です。
いわゆる強豪校ばかりではありますが、実はそう
いう学校ほど「野球だけの人間になるな」「社会
人としても通用する人間になれ」と、人間教育を
意識しているのです。
ゆえにコロナによる大会中止に対しても「この先
も人生は続く、この悔しさを糧に真っ直ぐ生きろ」
という言葉は選手の心に刺さったのではないかと
思います。
またグラウンド整備なども学年関係なく全員で対
応する学校が多いのにも驚かされました。
昔のように「雑用は一年生の仕事」というのは、
最近はないそうです。
それが功を奏して、コロナ禍での練習時間の制限
下では、全体の効率化につながり密度の濃い練習
ができるようになったとか。
強い学校も変わり続けているのです。
試合観戦からだけでは知ることができない甲子園
の「今」が伝えられている一冊です。