【感想・ネタバレ】夏の体温のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2024年05月04日

中でも「夏の体温」が印象的だった。瑛介が夜にプレイルームのおもちゃの箱をわざとひっくり返すことを知っていた壮太が置き土産に紙飛行機を置いていってくれたのは微笑ましいと感じた。

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Posted by ブクログ 2024年04月07日

三つの話が入った短編集。
ちょっと泣きたくなるような、素敵な友だち関係の話。
瀬尾さんの作品は、「バトン」のような大感動物語もいいけど、
今作のようなさりげない日常の中の素敵な話を切り取ったようなのも、とても好き。

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Posted by ブクログ 2023年11月20日

とても良かったです。どの物語も“出会い”をテーマに書かれた温かな作品でした。

「夏の体温」
読む世代によって感じ方は変わると思いました。
瑛介や壮太の気持ちに共感したり、または子どもの成長を見守るような温かな気持ちになると思います。

最後の「花曇りの向こう」は中学国語の教科書にも掲載されていて、...続きを読む入学したての感情やモヤモヤした気持ちなどとても上手く書かれています!

全世代に読んでほしい瀬尾まいこさんの作品です!

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Posted by ブクログ 2023年10月20日

一つの掌編を含む3話短編集。どれもほっこり優しい。「出会い」をモチーフに友情を描いている作品。「夏の体温」は病棟で出会った小学三年の男の子の友情。難病を抱える男の子の前向きな強さに心が打たれる。それでいて温かくて、少年たちの明るい未来を願わずにいられない。「魅惑の極悪人ファイル」はとても面白く楽しい...続きを読む作品。女子大学生作家が取材として知り合った大学生は「腹黒」と噂される男子学生。時おり挟み込んでくる描写が底抜けに笑える。それでいてやっぱり優しい。瀬尾さんの温かさがじわ~と感じられる。とっても良い作品。

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Posted by ブクログ 2023年08月24日

短い間に生まれた小学生の友情が素敵です。壮太君が本当に魅力的。人生を楽しむ達人です。そして最後の手紙で胸が暑く熱くなりました。全編瀬尾さんのあたたかい眼差しにほっとします。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年08月20日

1話目は入院中の子供と検査入院できた子供の友情の話。
2話目は極悪人を書くために“ストブラ”を取材する話。人当たりがよくて腹黒、偽善と言われるストブラが可哀想だった。
友達ができて良かった。

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Posted by ブクログ 2023年08月02日

あなたは、『長期入院』したことがあるでしょうか?

人生とはわからないものです。昨日までなんのことはない平々凡々とした日常を過ごしていたはずが、突然に入院を余儀なくされる、残念ながらそんな未来は誰にだって訪れる可能性があります。そしてそれは、子どもにだって言えることです。そんな中に、『低身長』と呼ば...続きを読むれる病気も存在します。成長ホルモンなどの身長を伸ばすホルモンが出ていない場合や、染色体や骨の病気によって身長が伸びない場合に起こるとされる『低身長』は、『二泊三日入院し、MRIをとり、薬を飲んで数十分おきに採血をする…』といった『検査入院』が必要です。しかし、その入院期間は『二泊三日』と短いものです。一方で、もっと長期にわたり入院を余儀なくされる子どもたちがいるのも現実です。

さてここに、『血小板っていうのが少ない病気』を患い『長期入院』を余儀なくされた小学校三年生が主人公となる物語があります。そんな主人公が『三日で帰れる』『検査入院』で出入りする子どもたちの姿を見るこの作品。そんな中に同い年の男の子が入院してくることになった先を描くこの作品。そしてそれは、そんな作品を含む三つの物語の中に瀬尾まいこさんのあたたかい眼差しを見る物語です。

『今日だけで三人目。夏休みになると、ライトなユーザーがどっと増える』と『プレイルームに』『不安そうな母親と』入ってきた『見た目は二歳くらいの女の子』を見るのは主人公の高倉瑛介(たかくら えいすけ)。『実年齢はそれに二年プラスして四、五歳』だろうと見る瑛介は『お前らがここで過ごす日々なんて、たかが知れてる』、『午前中だけ薬飲んで点滴して、何度か採血。午後は遊んで過ごせるし、何より三日で帰れる』、『手術や長期入院なんていう深刻な事態にはならない』と思います。とは言え、『初めての入院は緊張するよな』とも思い直した瑛介は『どうぞ』と『ままごとのリンゴを手渡し』『レジスターのおもちゃ』で遊ばせてあげます。『お兄ちゃんありがとう』と母親に言われ、『いいえ』と椅子に座る瑛介は、『時間はまだ九時過ぎ。また、長い長い終わりの見えない一日が始まる』と思います。瑛介が入院している『県立病院』には『重病患者は西棟に、ここ東棟にはぼくのような経過観察をしている患者や、検査入院の子どもたちが滞在してい』ます。そんな病院に『入院して一ヶ月と七日が経った』という瑛介は、『小学校三年生』になって『なぜか足にあざができるようにな』りました。消えないあざに『いくつか小児科をめぐって、最終的にこの病院にたどり着いた』瑛介。そんな瑛介の入院する東棟には『低身長検査の子ども』が多数入院してきます。『二泊三日入院し、MRIをとり…』という検査の手順にも詳しくなった瑛介ですが、『たいそうな顔つきでやってくる』彼らを『うっとうし』いと感じます。彼らを見て『「うわ、小せえ」と驚いたふりしてつぶや』くも『飽き飽きし』、『「早く退院したいな」などとささや」くも』それは長続きしませんでした。そして、『ここ最近、ぼくは小児科東棟のスーパーバイザーとして動くことにしている』という瑛介。そんな『病院には保育士の三園さんが』『朝の九時から五時まではプレイルームや保育室』で働いています。『五十歳は過ぎている』という三園は、採血のとき『あーすぐ終わるよ。たぶん大丈夫ー』と言い、『検査結果を聞きにいく前も、「ま、たぶん大丈夫なんじゃないかなー」と言』います。『たぶんって、なんだ』と思うも『ぽっちゃりした三園さんの丸い声で「大丈夫」と言われると、ほんの少し安心する』瑛介は、『三園さんの大丈夫は「たぶん」付きでも、本物の気がする』と感じます。そんな一方で、『外の空気に触れたい。歩ける足が、伸ばせる手があるのだから、今吹いている風に触れてみたい』と思う瑛介。そんなある日、『そうそう、大ニュースがあるよ』と三園さんが近づいてきました。『今日の夕方から小学三年生の男の子が検査入院するんだって。瑛介君と同じ学年だよね』と言う三園に『小学三年生。しかも男子』と思う瑛介は『「やったー」と叫びそうにな』ります。『これはビッグプレゼントだ』と思う瑛介は、『低身長』で『検査入院してくるのは幼稚園児がほとんど』であり『まるで話が合わな』かった今までを思います。『早く会いたいのに、夕方まで待たないといけないなんて』と思う瑛介に『瑛介君、仲良くなれるといいねー』と言う三園。『少ししか一緒にいられないんだ…二泊三日。あまりにも短い、ぼくの夏休みがようやく始まる』と思う瑛介が『俺、田波壮太』と入院してきた壮太と過ごす二泊三日の大切な時間が描かれていきます…という中編〈夏の体温〉。極めて瀬尾さんらしい優しさに満ち溢れた好編でした。

“きみと過ごした夏。ぼくの退屈な日々は、いっぺんに変わった”という帯の記述と、それが瀬尾まいこさんの作品であるというこの二点だけでそこには胸を打つような素晴らしい物語が描かれているだろうという予感に満ち溢れるこの作品。そんな帯の記述そのままに展開する中編〈夏の体温〉の他に中編〈魅惑の極悪人ファイル〉、そして掌編〈花曇りの向こう〉という三編から構成されています。作品間に関係性は全くなくそれぞれ独立した作品であり、中編二つは「小説推理」に掲載されたもの、そして驚きなのは、掌編〈花曇りの向こう〉が、光村図書出版の「国語I」、なんと中学校一年生向けの教科書に収録されている作品だという事実です。瀬尾まいこさんは2011年まで中学校で国語の先生をされていらした経歴をお持ちです。そんな瀬尾さんが書かれた国語の教科書に掲載された作品が読めるという、もうそれだけでこの作品はとても贅沢な気がします。

では、そんな三つの作品についてそれぞれの内容に触れてみたいと思います。

・〈夏の体温〉: 『血小板っていうのが少ない病気』を患い、『県立病院』に長期に入院を続ける主人公の高倉瑛介は、『小児科東棟のスーパーバイザーとして』、主に『低身長の検査』で入院してくる『幼稚園児』の相手をしてあげる日々を送っています。『外の空気に触れたい。歩ける足が、伸ばせる手があるのだから、今吹いている風に触れてみたい』と願う瑛介。ある日、そんな病棟に瑛介と同じ『小学三年生の男の子が検査入院』してきました。『俺、田波壮太』と挨拶する壮太と『紙飛行機飛ばし競争』をするなどすっかり打ち解けていく瑛介の『あまりにも短い、ぼくの夏休み』が描かれいきます。

・〈魅惑の極悪人ファイル〉: 『ストブラ。皆がそう呼ぶその男は、無機質な部屋を見まわした… 知人のものを窃盗し、それを迷いなく部屋に置く…』と『スマホのボイスメモに吹き込む』のは主人公の大原早智。『ストブラって何?俺の名前、倉橋ゆずるだけど』と反論され『大学の人がストブラって呼んでるんですよ』と説明する早智は『収集しているものとかありますか?』と『調査を進め』ます。『小学生の時から何かしら文章を書いていた』早智は『大学一年生の四月に、県が主催している文学賞を』受賞、出版された事で小説家となり、三作目執筆のために『腹黒』と呼ばれる同級生の倉橋を紹介され取材を進めます。

・〈花曇りの向こう〉: 『なんや、また気が重そうな顔して』とおばあちゃんに言われ『「胃が痛いんだ」とおなかを押さえ』るのは主人公の宮下明生。『小学校卒業と同時に、ぼくはばあちゃんの家に引っ越してきた』という明生に、『転校なんて、明生、慣れたもんやろ…ちょちょいのちょいや』と言われ『中学入学って言ったって、だいたいみんな小学校からの仲間なんだ。簡単にいくわけないだろ』と返す明生は、『小学校で二回、それに今回』と『通算三回も引っ越しをしている』今を思います。そして、登校し、教室へと『おはよ』とつぶやきながら入る明生が席に着くと、『となりの川口君が声をかけてき』ました。

三つの作品は小学生男子、大学生女子、そして中学生男子がそれぞれの物語で主人公を務めていますが、その内容は見事にバラバラです。『長期入院』を余儀なくされた瑛介、大学生作家として取材を進める早智、そして転校生として新しい環境に対峙する明生というそれぞれの舞台。そんなそれぞれの舞台で同級生と接していく中で主人公の心の中に現れる感情の変化、心の機微が、瀬尾まいこさんの筆で繊細に描かれていきます。いずれの作品も何か大きなことが起こるわけではありません。それぞれの作品の最初と最後で主人公が置かれた環境が大きく変化することもありません。しかし、そこに確実に変化する主人公の心模様の違いを感じられること、これがこれら三つの作品に共通することであり、瀬尾まいこさんの作品の一番の魅力をそこに感じることができるものでもあります。いずれも瀬尾さんらしさを堪能させていただける魅力に満ち溢れていると思いますが、掌編〈花曇りの向こう〉が国語の教科書掲載作だと思うと、こんな教材を元に学習できる中学生はとても贅沢だと思います。本来読めないはずのそんな作品を収録いただいた双葉社のご配慮に感謝したいと思います。

そんなこの作品ですが、全体としての読み味としてはやはり表題作でもある中編〈夏の体温〉に間違いなく引っ張られます。『血小板っていうのが少ない病気』で長期入院を余儀なくされる小学校三年生の瑛介視点で描かれていく物語は、彼の他に入院してくる子どもたちの大半が『低身長の検査』で二泊三日という短期間で入院してきてはすぐに退院していく状況を見る中に複雑な感情を抱く瑛介の心持ちが描かれていきます。『たかが検査で重々しい空気出すなよ』と彼らを見下したり、『同情を集める作戦に出』たりと彼らに接していく瑛介は、やがて『スーパーバイザーとして』主に幼稚園児の彼らを優しく迎えていきます。あまりに健気としか言いようのない瑛介の姿が描かれていく物語は、瑛介視点だからこそ、そこに感情移入しながら読み進める読者の心にストレートに響いてきます。保育士の三園、そして母親との関係性など、物語は、小学校三年生という瑛介の姿、気持ちを読者に赤裸々に見せていきます。だからこそ、そこに瑛介と同じ『小学三年生の男の子が検査入院』してくるとわかった時の喜びは読者にも強く伝わってきます。とは言え、入院してくる壮太との時間は二泊三日しかありません。あまりに短いその時間を瑛介はどのように過ごしていくのか、どのように感じていくのか、そしてそこに何が生まれるのか。この作品の中では一番長いとは言え、あくまで中編という位置づけのこの作品ですが、そこには読者の心を打つ瑞々しいまでの”友情”が描かれていました。この中編だけでも読む価値のあるこの作品。”子どもがいる空間は生き生きしていて、書いている間、とても楽しかったです”と語られる瀬尾さんの魅力がこれでもかと味わえる”瀬尾まいこワールド”全開な物語がそこには描かれていました。

『外に出て遊びたい。早く学校に行きたい…どうしてぼくがこんな目にあうんだ…』

そんな思いの中に『長期入院』の日々を送る小学校三年生の瑛介が主人公となる表題作〈夏の体温〉など三つの作品が収められたこの作品。そこには、瀬尾まいこさんならではの”友情”の有り様が描かれていました。人と人が接する中に浮かび上がる心の機微を感じるこの作品。それぞれに読み応えのある物語世界を堪能できるこの作品。

ここまで優しさに満ち溢れた世界が描けるものだろうか?と、瀬尾まいこさんの作り上げる物語世界に改めて感服する他ない傑作だと思いました。

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Posted by ブクログ 2024年04月21日

当事者でしか描けない視点をなぜ書けるのだろう。
瀬尾まいこさんの観察力とそれを文章化するすごさを感じた作品

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Posted by ブクログ 2024年04月13日

177ページ
1400円
4月19日〜4月19日

瑛介は長い入院生活の中で、3日間だけ共に過ごした壮太と、かけがえのない時間を過ごす。

退院した壮太からの手紙にひからびたバッタが入っていたのが小学生らしくておかしかった。その後の2人の友情が気になる。入院や病気といった重い内容を扱っているのに、人...続きを読むと人の繋がりや友情が明るい方へと向いていて良かった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月08日

病院で、大学で、転校先で。
それぞれの出逢い。

「夏の体温」
あたたかいけどなんだかひんやり。
二人のこの先が幸せにまた交差することを祈る。

「魅惑の極悪人ファイル」
自分に自信がなく(特に容姿)、友達付き合いもうまくできずに空想(妄想)に逃げ込む彼女には、若干同族嫌悪を感じるほど(苦笑)。

...続きを読む「花曇りの向こう」
掌編。物語は動き出したばかり。

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Posted by ブクログ 2024年02月04日

良い話。「魅惑の極悪人ファイル」が好き。腹黒の人へのインタビューのやり方もどうかと思うけど結果みんな良かった。

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Posted by ブクログ 2023年11月23日

苦手な人はいるかもしれないけど
嫌いな人ってなかなかいなかったりする。

苦手って思っても違う一面見たら
そうでもなかったりするし。
ストブラみたいに生きられると幸せそう。

花曇りの向こう
短いのに圧倒的な存在感ですき。

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Posted by ブクログ 2023年11月11日

二作目の魅惑の極悪人ファイルが良かった。人と関わることがどうしても苦手で面倒になってしまうのだけど、誰かと少し関わってみたいと思った。

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Posted by ブクログ 2023年11月11日

最後の話は教科書に載ったお話。

どうりで、妙に短くて挿し絵が大きいと思った。

これ、どんなふうに国語教師が授業で展開するのかみてみたい。
こねくりまわさないで、ほんわかとした瀬尾さんを味わってほしいんだけどな

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年10月16日

夏休み中、小学校3年生は楽しく遊んでいるだろう時に自分は血小板数値低く、経過観察で1ヶ月以上入院している。ただでさえ夏休みで遊びたい盛り。瑛介は病院内で鬱屈した日々を過ごす。そんなある日、同学年の壮太君が病院にやってきた。陽気にあいさつするが、低身長のための検査入院らしい。しかし明るく遊びの天才で一...続きを読む緒に過ごすのがとても楽しい。楽しすぎてしまうと、退院時のお別れが非常に悲しい。壮太君の明るさに瑛介だけではなく自分も救われた。人間辛い時だけではなく、楽しい時もある。あの夏の思い出もいずれ昇華できるに違いない④

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Posted by ブクログ 2023年10月08日

瀬尾まいこさんの世界観に今回もスッと入り込めました。表題にもなっている「夏の体温」は、短い夏の間に少しずつ友情を深める2人に癒されました。
入院中の毎日の様子も丁寧に描かれていて良かったです。
「魅惑の極悪人ファイル」も意外な方向に物語が進んでいって、先がどうなるのか気になりながら読んでいました。
...続きを読む3作品とも瀬尾まいこさんらしい優しさが感じられました。

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Posted by ブクログ 2023年09月18日

2作目の魅惑の極悪人ファイルがよかった。瀬尾さんらしい展開。ところどころクスッとわらえるところもあり。

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Posted by ブクログ 2023年09月12日

3つの短編集。どれも友情にまつわる温かくて瀬尾まいこさんらしい優しいお話でした。読みやすくて一気に読んでしまいました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年08月28日

入院ってほんとつまんないし子どもだとなおさら。ストレス発散しないとやってけないよね〜。元々前向きでいい子だったけど、より良い方向に向かっててほんと友達ってすごい!

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Posted by ブクログ 2023年08月21日

人付き合いベタな子供が、友達を作っていくお話。
「夏の体温」が、今の季節にあっていて面白かった。

文体が柔らかくて読みやすい。

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Posted by ブクログ 2023年08月14日

子どもや大学生の繊細で瑞々しい感情が自然な会話から溢れている作品。読み終わった後、あたたかくて優しい気持ちになれる。
瀬尾まいこさんの「そして、バトンは渡された」と同じく、根底に愛があり安心して読める。

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Posted by ブクログ 2024年04月28日

『夏の体温』
入院生活で出会った小3の瑛介と壮太。病院のプレイルームでの限られた時間は、忘れられないものになったと思う。壮太が残したたくさんの紙飛行機と、手紙とひからびたバッタ。短い時間を過ごしただけなのに、瑛介への思いが溢れていた。瑛介と壮太の2人の楽しい時間が、これから現実に向かっていく糧になる...続きを読むのは間違いないと思った。こどもの頃に入院を経験すると、精神的に大人になるのが早いような気がする。またいつかこの2人が会えればいいなと思った。

他2つの短編あり。
『魅惑の極悪人ファイル』
『花曇りの向こう』

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Posted by ブクログ 2024年04月23日

瀬尾まいこさんの優しい世界。なんだかほっとする。

三編の中でいちばん長いせいもあるかもだけど、「夏の体温」が好き。

小学三年生の少年が、突然の、そして見通しのはっきりしない長期入院と、折り合いをつけていく。
短期入院の子たちに意地悪することもあったけど、結局は他の子どもや親たちに優しいいい子で。...続きを読むでもときどき爆発するような気持ちも抱えていて。
退院してまた一緒に遊べる日が来るのを期待してしまう、そんな結末。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年03月20日

感想
最初の話は、そのような病気の人がいるんだという驚きと子供がどのように大人を見ているのかうまく書かれていると感じた。

あらすじ
短編集3つ。小学3年生の瑛介は、血小板が少ない病気で長い間検査入院していた。同じ病棟に来るのは低身長悩む幼児で、2泊3日の検査入院がほとんどで遊ぶ相手もおらず退屈して...続きを読むいた。ある日壮太という同い年の子が検査入院してきて、たちまち打ち解ける。

二話目は、女子大学生の作家がネタを求めて、腹黒で有名な男子にインタビューしながら物語を作ろうとするが、彼の本当の人柄に触れるために自分のことを語っていると、自分がこれまでいかに人と関わりを持っていなかったかに気づき、以降、妄想に耽らず生身の人間に興味を持つようになる。

3話目は転校が多い中学生がどう友達を作るかという話。

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Posted by ブクログ 2024年01月25日

人との出会いはいつどんなところにあるか分からないのが面白い。こんなに気の合う人がいたんだと思えるくらいの人と偶然出会えるかもしれない。

病気での長期入院と2泊3日の検査入院とでは、見える世界が違うかもしれないが、その中でも2人が感じる共通のものはあるのだなと感じた。
退院して離れ離れになっても、繋...続きを読むがりたいと思えるその気持ちが大事だと思った。

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Posted by ブクログ 2023年10月21日

低身長の診療は半日がかり。血液検査から始まり、ベッドでバイタルをずっと測り続ける。見た目は元気で健康体。ベッドにいる間、子どもは何を思うんだろう。「背が伸びたらこんな事できる。」「重い病気だったらどうしよう。」不安な時に、お兄ちゃん的存在が声掛けてくれたらどんなに心強いことか。
最近、某教育企業の中...続きを読む学生対象テストにも引用されていた。中学生がどう共感したのか、大人とは違う印象かもしれないな。

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Posted by ブクログ 2023年09月23日

「僕ら子供にとっての1日を、大人の感覚で計算するのをやめてほしい。」
大人にとっての時間、学生にとっての時間、子供にとっての時間、それらの時間感覚は異なってくるが、時間だけは唯一全ての人に平等に与えられている。平等に与えられているはずなのに、同じ高校生活の3年間という中でも、その成長や経験に大きな差...続きを読むが出る。

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Posted by ブクログ 2023年08月26日

短編3つ。
人付き合いの話。
子どもでも大人でも他人との距離感は難しい。
1話目表題作、入院という非日常の中での出会い、仲良くなると別れる寂しさがあって…
2話目、大学生の不器用な二人にほっこり。
友だちって?腹黒=スタブラ。
3話目、転校生の不安感、転校したことないけど、きっとすごいアウェー感ある...続きを読むんだろうな!

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年08月19日

より不幸なのは誰か決めようとして比較するとか、不幸対決で負けた方は辛い悲しいって言っちゃいけないとか、そういうのって全然意味がないなとよくわかった。
比べる時むしろ相手の幸せなところや良いところが見えていることになるから、それを伝え合えたらいいのかもしれない。大人にはなかなかそんな機会がないけれど(...続きを読む子どももないか)。
不幸自慢合戦の先でたどり着いたのは「そんなことより俺はお前といると楽しいよ、遊ぼうぜ」って、新しくて清々しい答えだった。それでいいんだな。

マイナスなことがあったからこそ その後プラスのことがもたらされたのだとしても、無理に前向きに「マイナスなこともひっくるめて全部よかった!」なんて言えない。言わなくてもいい。
この感じが瀬尾まいこさん作品の良いところだと思う。
完全な悪人なんてこの世にはほとんどいなくて、でも傷つけ傷つけられは日常的に多発している。
その傷はなかったことにはならないんだって認めつつ、登場人物たちが嘘のない笑顔を見せてくれる。変に美談で片付けようとしない冷静さがある。
そしてそれでもこの世は優しいものだと言ってくれるのが、心地いい。
リアリティを捨てずに少し優しくなれる気がする。

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Posted by ブクログ 2023年07月31日

小学校高学年から読めそうなので是非読んでもらいたいです。
大きな盛り上がりはないけれど身近に感じられる話で二話目は心が暖かくなりました。

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