感情タグBEST3
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歌舞伎を知らない武家の娘が女形の歌舞伎役者のもとへ嫁ぐ。
身も心も女に漬かる役者に何故彼女は求められたのか?。そこにはとある意図があった。意図を知りつつ暮らすうち、次第にその意図とは離れ、互いが惹かれ合うようになり、最後には、、、というお話。
歌舞伎の演目とリンクした物語の展開、お互いが一見反目しあいつつも夫婦の絆を感じさせる部分、役者の女房と夫の女房との葛藤、などがよかったですなぁ。
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武家の女である志乃の、女形である燕弥に正面から向き合っているのに引きこまれた。それぞれの章で演目が違いそれに合わせて性格まで変わってしまう女以上の女の燕弥さんに振り回されつつも、燕弥の女房としてどのように生きるべきかを悩み通して、ある結論に至っていく過程が強く凛々しく面白かった
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遥かに遠い出羽から嫁いだ志乃の夫は、若女形の燕弥。
芝居の事を何も知らない武家の娘と、
日常も女として生きる男の、行く末は如何に。
呼込み
一、時姫 二、清姫 三、雪姫 四、八重垣姫
幕引 主要参考文献有り。
時は江戸時代、文政の頃。
自分よりも完璧な女が夫として傍にいる。
カチコチの武家の娘の志乃が嫁いだ相手は、若女形の燕弥。
歌舞伎を知らぬ志乃が、奥役の善吉から教えられる演目と、
役者の女房である、悋気の塊のお富、芸に嫁いだお才との
交流で、芝居小屋の内情や燕弥の立場を知ってゆく。
変化するのは志乃だけではない。燕弥もまた同様に。
役者の女房とは・・・悩み、想い、成長してゆく姿が描かれる。
燕弥の演じる武家の女たちは志乃に影響を与え、変えてくれた。
怒涛のクライマックスの後の幕引はあまりにも呆気なかったけど、
ほんの一瞬の夢のような女房だったけど、
多分彼女は強く生きると思う。登場人物の女性たちのように。
それにいつでもあの人は、傍にいる。
季節の移ろいや人物の機微の描写の他、
匂い、香り、音、声、冷たさ等の五感の表現が印象的でした。
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歌舞伎が好きな私は楽しく読む。
昨年読んだこの本が吉川英治文学新人賞受賞との新聞記事を読む。「小説のために全てを投げ出してもいい。小説の奴隷として頑張りたいと思います」という受賞の言葉もいい。2023/3/7
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前半の展開や人間関係が後半に生きてくるという期待は必ずしも満足のいくものではありませんでしたが、時代小説の新人作家さんとしては今後に期待できる作品でした。
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夫婦というより女同士の友情みたいな、志野が自我に目覚める話というか。夫婦のことは当人同士にしかわからないもんだと。夫が普通に男だったら志野は変わらないままだったんだろうなあ。ちょっと変わってて面白かった。
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幕引で引くほど泣いた
相手を一番に考えると生きていくことと未練を残さないで逝くこと、どちらを優先させるのか難しすぎた
生きていてほしかっただろうに、燕弥の女房になれたあの日で満たされたことにした気持ちが切なくてつらい
未練を残さないで逝けたのはよかったのか…
白粉憎いね…
あぁ、しんどい
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最初は読みづらいなと思ったけれど、章が進む毎に書き手と登場人物と一体化していく感覚。読書って楽しい!と思った1冊でした。読み終わって2日経ちましたがまだ余韻がすごいので記録。寝る前に読んで、号泣しながら寝落ちしたのは久々でした。
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少し前の少女マンガのよう。
ドジっ子というほどじゃないけれど、最初の方は芝居の女型の夫を夫が望ようには支えれてなかった妻。
けれど少しずつ二人はいい感じになっていって
というところなど少女マンガっぽい。
にしても、しばらくはところてんが怖くて食べれません。
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武家の娘・志乃が嫁いだ相手は歌舞伎役者。しかも大人気の女形・燕弥。芝居好きの娘ならともかく、これまで芝居をまったく知らなかった娘は芝居を学ぼうとするわけではありません。けれども、家でも女として振る舞う燕弥を支える志乃は健気でもあり、逞しくもあります。病に罹ったと知って役者を辞めようとする燕弥。役者でなくなれば男になる。そうしたら夫婦として普通に穏やかな家庭を築くことができたでしょうに、彼は死ぬまで女形でいるべきだと感じた志乃が一発かますシーンにはシビれました。志乃に惚れてしまいそう。大変だな、役者の女房。
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歌舞伎女形の女房になった志乃は自分より美しい女と暮らすことになる。女としてではなく女形の妻としての生き様覚悟に至るまでの決意まで、時姫、清姫、雪姫と燕弥が演じるごとに変わっていく志乃の気持ちを描いている。
役者というものは本当に業の深いものだと感じた。
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最初は馴染みの無い文体と感じたけれど物語が進むと徐々にのめり込んでいく。
いろんな形の夫婦があって
志乃がしだいに燕弥の中の姫様と共に生きるその心意気が美しく
時々入る間の良い擬音が本当に聞こえてくるようでリズムよくて
芝居を観ているよう。
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書評をみて読みたいと思っていた。
恋愛小説、女の成長物語。終盤の志乃の母親の登場は強烈。女房もまた舞台に上がる役者と同じ覚悟を持ついうことか。
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ほのぼのむずキュンストーリーかと思いきや、終わり方がびっくり。
そうか…そうなのか…むむぅ…。
死んでるように生きたくないってことかしら…
でもなんか覚悟を見ましたよね。
おんなの女房としての。
お芝居のお話はどれも面白かったです。
いろんな歌舞伎役者さんの顔を思い浮かべながら読みました。
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この著者の作品を読むの初めてです。独特の、迫力のある文章だと感じました。好き嫌いはあるかもしれません。
江戸時代の女の人権の無さと言うと、興ざめかもしれませんが、主人公は下級武士の娘で、女は家長にただ従うという常識で生きているところは、ちょっと感情移入しづらさを感じます。
そして、この主人公は、江戸の町人に混ざっては特殊な存在ではあるのですが、元々の人物が、特別な賢さや鋭さ、優しさ、その他の特徴を持っているわけではないです。
その「ちょっと特殊な育ちの普通の娘」が、夫の女形を初め、芝居に関わる強烈な人々と接することにより、武家の女らしい内面がかえって強烈に発現した、そういう話だと感じました。
結末は、小説的です。最後の主人公が選んだ道は、とても現代的だと思います。江戸時代にこの決断があったとは思えない。お話としては面白いし、印象に残ります。
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嫁いだ相手が女形という事情が特別だったとはいえ役者の女房が苦労するのは当たり前の話で、本作の真骨頂は江戸時代の芝居小屋の内外の有り様を描き切ったところにある。早大の卒論テーマ「文化文政時代の歌舞伎」が昇華した賜物か。
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女房が“おんな”なのは当たり前だが、ならばこのタイトルはどういう意味なのか?
文政の世。武家の娘である志乃は、父親の勧める縁談に従い嫁いだ。嫁いだ相手は歌舞伎役者の女形で、舞台のみならず日常生活でも女として生きているのだった……。
なかなか話に乗れず苦戦したが、読み進むにつれ面白さがわかってくる。そして「幕引」を読み終えたあと、再び冒頭の「呼込」を読んで、深くため息をついた。
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志乃は若女形、燕弥(えんや)に嫁す。
父が決めた相手であるならば、何も訊かず添えばいい。
それが武家の娘としての習い。
しかし、女形として生きる燕弥との生活は戸惑うことばかり。
知りたくはない、知ってはいけないと思っていた芝居のあれこれを
奥役、善吉から聞かされる。
少しずつ、志乃の腹に女房としての覚悟が据わってくる。
第二章『清姫』
お富、お才の役者の女房の心意気。
志乃と燕弥が交わす言葉の一つひとつがおもしろい。
この時代、男も女も粋だね。
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父親に刷り込まれた武家の女としての生き方しか知らない志乃が、あらゆることを芸のために吸い取ろうとしている売り出し中の若手女形・燕弥と夫婦になっての物語は、時姫で始まり、雪姫、八重垣姫を経て、再び時姫で閉じて、そしてあっけない幕切れ。
志乃の思う女房のあり様と燕弥の思惑はずれているのに、それぞれが少しずつ変化するさまを、つやのある表現や文章のリズム感で楽しく読んだ。
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武家の娘志乃は歌舞伎の女形燕弥の女房になる。
が、平生から女の格好をして女として振る舞う夫とどうして暮していったらいいのかわからず、困り果てていた。武家の娘として厳しく躾られてきた志乃は世間知らずで、歌舞伎の世界も役者がどのようなものかもわからない。妻の一挙手一投足を針で刺すような目で見る夫に疲れ果てていた志乃は、燕弥が自分に求めていたものは何かに気づいて…。
芸に生きる燕弥と、役者ではなく一人の男として向き合って欲しいと思う志乃とのすれ違い。だがやがて少しずつ近づいていく心。それが燕弥が演じる姫君たちの物語と絡み合って描かれていて面白い。