あらすじ
祖父が会長を務める会社で働く小鳩亜子。事務仕事は得意だが、人間関係は希薄で恋愛にも興味がない。ついたあだ名はロボ子。
ところがある日、祖父に病気が見つかり、一年以内に社内で結婚相手を見つけるよう命じられてしまう。悩んだ亜子は、エレベーターを降りて最初に会った人物にプロポーズ。相手は、悪名高いチャラ男・城守蓮司だった。玉砕するも、見かねた城守が「婚活」の指南役を引き受けてくれて――。
恋愛音痴のロボ子と結婚したくない恋愛マスター。二人による理想の王子様探しが始まる!!
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Posted by ブクログ
自分も会食嫌い、人混み嫌い、友達も恋人もなく、おひとり様最高と思っているので、ロボ子こと亜子の気持ちが痛いほどよく分かって、まるで自分を見ているかのようだった。
まあ自分は亜子のようなお嬢様育ちではないけれども。
……いや、亜子はお嬢様という範疇からは随分外れてはいたが、それはさておき。
祖父の余命がなければ、婚活なんてしたくない、面倒。
だから手っ取り早く結婚相手さえ見つかればそれでいい。
その気持ち、とてもよく分かる。
分かるからこそ、この亜子が作中でどう変わっていくのか、まるで自分が叶えられなかった夢を託すかのように見守ることになった。
彼女の相談相手がいない故に暴走しがちな婚活に巻き込まれたのは、城守。
チャラ男と言いながらも、何だかんだで面倒見が非常によかった。
自分の父母の結婚が失敗しているから、彼の結婚観はチャラ男からは想像もできないほど堅実で真面目。
途中からまるで娘を見守る父親(と本人は称していたが、寧ろオカンに近い)そんな視点で亜子の婚活を応援することになる。
応援というか、終盤は邪魔をしていた気もするが。
この辺り、互いに自身の気持ちに気付いていないから、もどかしくもニヤニヤしてしまった。
特に城守は自分が亜子の相手としては相応しくないことを重々承知していた。
自分で自分が許せないほど、自身への評価が手厳しい。
だから余計に拗れた模様。
彼視点の番外編からもそれが分かる。
でもそんな本当は誠実な彼だから、亜子を変えていけたのだろう。
あれほどメール返信が苦手だった彼女が(これもまた自分との数多い共通点でますます共感)自ら彼が喜びそうなメールを打てるようになり、彼がそばにいないと落ち着かないまでになる。
それ、完全に惚れてますがな。
それでいて、一度は別の人と婚約状態にまでなるのだから、自分の思いというのは気付きにくいものなのだろう。
本当の幸せは、手元にあったりするのだ。
祖父の件が一応の解決を見て、急ぎの婚活から解放された亜子。
でも、最後にもう一度本気で婚活をしたいと城守に打ち明ける。
互いにようやく自身の気持ちに気づいてから再スタートした二人の婚活。
自分が今生ではなし得ないであろう幸せな結婚への道をゆっくり、二人のペースで歩いていってほしいと思う。
それが、多分自分への救いにもなるので。