【感想・ネタバレ】サステナブル資本主義 5%の「考える消費」が社会を変えるのレビュー

あらすじ

投資家マインドを持った消費の力で日本は世界のリーダーになれる――経済を拡大させ、労働分配率を引き上げる。そのために消費者ができること。
ユニコーン企業などに200億円投資し、成長企業を支援する経営・投資のプロが現場からSDGs時代のヒントを導き出す。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

サステナブルな未来、資本主義には非常に興味がある部分であり読書。
ファイナンスのプロの著者だけあり、お金の流れを非常にわかりやすく説いてくれている良著。


メモ
・資本主義は労働力を買うために生まれたと言われている。集団やコミュニティなくとも労働をモノとして売買できるようにしてきて発展してきたのが資本主義。
・かつては情報・ネットワークを有する人がその優位性を活かして事業を展開。
・事業家・投資家・労働者という関係者
・サステナブルな資本主義に必要な三つの視点
 人、お金、全てのステークホルダー
・持続可能な社会を実現するという課題に挑戦するにはステークホルダーをまきこめるような社会的コスト、利害関係をシンプルに説明でき、シンプルに消費者に届くような価値訴求を考えることがまず第一
・熱量高い、考える消費、消費者の重要性。そうした消費者の行動が企業の売上、利益に貢献し、そこからの資金調達、成長、社会変化に影響を与えうる。
・スタートアップに必要な4つの価値創造
 効率化、エンターテイメント(心の豊かさ、教養非物質的価値)、新しい市場創造(電気自動車・SPACEX)、社会的価値創造(社会的コストそのものを低減するもの。代替肉)
・サステナブル資本主義を実現するには不確実性ではなく必要性を重視し、課題を解決することに共感をもむめ人とお金を動かしていくという思考が重要。
・労働力対価が適正な価格にむかうべき。不平等性が低く合理的であるか確認なったところがサステナビリティの均衡点

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2021年12月28日

Posted by ブクログ

資本主義の限界や、持続可能な社会の構築をテーマとした本が増えている中で、投資家や経営者ではなく、消費者の重要性が謳われている点に面白みを感じた。

サステナブル資本主義という言葉が本書中で確りと定義付けられており、それらを実現する為のビジョンも記されている点が非常に参考になった。
テーマ上、やや概念的な話になってしまうことは已むないが、それでもどのようにすれは社会にどう影響が出るかという事が過去の例を挙げながら述べられており、理解しやすかった点も良かった。

著者がベンチャー向けの投資家ということもあり、それらにフォーカスが当てられ過ぎてる印象もあったが、様々な角度からの物事の見方を教えてくれる面白い内容だった。

私も考える消費者の1人になれるようアンテナを高くしていきたい。

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2021年10月27日

Posted by ブクログ

大量生産、大量消費を加速させた資本主義
 資本主義のシステムにおいては、時間が短いほどリターンが大きくなる特性があります
 利回り%の違いは年数を経ることで途方もなく大きな差となって現れますが、これた 「複利の力」と言います。年率一○%と二○%の利回りの違いは一年では一○%ですが、三○年間積み重なると一七・四倍と二三七・四倍という大きな差になります。
 複利の力については、投資家として有名なウォーレン・バフェットが指摘していますけこれは資本主義の仕組みの中で極めて大きな影響をもたらします。
 つまり、大きなリターンを一気に生み出す必要はなく、小さいリターンを継続的に生み出すほうが、リターンが大きくなるのです。


 大量生産・大量消費の事業モデルは一見素晴らしいのですが、大きな前提が成り立要があります。その前提とは、売上が持続的である、つまり成長を継続してもらう必要があるということです。
 そのためには、消費者が継続的にその商品を支持し続ける必要があります。ここにクノロジーの進化だけではなく、商品としての消費者への提供価値を購買単価以上に高め続けなければいけないという大きな障壁が存在しているのです。

 これが大量生産・大量消費の仕組みですが、企業はこのモデルからなかなか脱却できずにいました。消費者も、この買い替えサイクルに知らず知らずのうちに慣れ、すぐに買い替えるという行動が染み付いてしまったのです。
 安い商品を買って、使えなくなったら、買い替える。そして、それにより企業がリターンを生み出す。決して何も悪くないように思いますが、それにより大きな社会的コストを生じさせていることに気がつかなかったのです。
 ほんの百年程度の期間のうちに、これが加速的に起きてしまいました。地球の時間軸で見ると、この変化はとてつもなく大きいことに気がつかされます。
 この百年は、地球という資源を切り崩しながら、人類が大量の消費をしてしまった百年と言うことができると思います。
 そしてその原動力が、資本主義でありイノベーションだったのです。資本主義とイノベーションが存在しなければ、これほど急速な変化は生じ得なかったでしょう。
 私たちが見過ごしてしまっていたのは、財務諸表に計上されていない価値です。資本主義は財務諸表ばかりを見て、資本主義のエンジンを高速で何回転も回すことで、大きな複利のリターンという麻薬に溺れていたのです。
 そして、資本主義を高速で回すために、地球にあるあらゆる資源や資産を切り崩し、高価な地球を売り物にし、安価な商品やサービスを世界中にばら撒いていったのです。 ま



・資本主義は短期思考に陥りやすい
・資本主義は価値ある資産を見落としがちである
・資本主義は本来価値ある資産を毀損させながら成長している
・資本主義にとって人は買われる労働力である
・資本主義においてお金は人よりも大きなリターンを生み出す


インセンティブ構造を打破するには
 企業の役割や、その経営を担う経営者の役割は突き詰めると、ステークホルダーマネジメントに行き着くと私は考えています。
 最も重要なスキルは対話力、コミュニケーション力だと思います。対従業員、対顧客、対株主、すべてにミッションと存在意義を説明し、長期的なコミットメントに対する納得感を醸成する高度なコミュニケーション力が不可欠です。
 もちろん、革新的なビジネスモデルや技術革新を起こすことも企業の役割ではありますが、それは一側面に過ぎません。そこで生み出された価値を最大化し、社会を良い方向に変革し、社会課題を解決するために、非常に難しいステークホルダー間のバランス、もっと言えば明確な利益相反という問題を解いていくことが求められるのです。
 短期的に企業価値を向上させようとすると、経営側に労働力はできる限り買い叩こうというインセンティブが働いてしまいます。同時に、より短期的に価値創造の結果が見ような事業にチャレンジするようになるでしょう。
 そうすることで、短期的な目標設定に共感した優秀な人材を一定数は獲得できるかれません。一方で、難しい社会課題に長期的に挑戦しつつ、その挑戦に長期的にコミットしてくれる優秀な人材の獲得が難しい状況は解消されないのです。

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2025年07月18日

Posted by ブクログ

「サステナブル資本主義」という言葉を初めて聞いたが、非常に共感できる。現状のシステムはすでに限界だ。
現代の資本主義は、一部の大金持ちを生み出す一方で、大多数の貧困層を生み出してしまうという、構造上の課題がつきまとっている。
金持ちは益々金持ちになってしまう仕組みのために、格差を生み出し、その差は広がる一方となる。
一度貧困に落ちてしまえば、そこから抜け出すことは非常に困難で、実際には「無理ゲー」と言える状態であることは間違いない。
本来であれば、国家が主導して、大金持ちから更に税金を取り、貧困層に対して適切に配賦することで格差を是正すべきなのだが、正直「格差是正」までには至っていない。
一部の賢い大金持ちたちは税金を巧みに逃れているし、大金持ちほど政治に対する影響も大きいために、さらに税金を取ろうと画策する政治家に対して、様々な手を尽くしてその前に立ちはだかる。
だからなかなか格差是正は進展しない訳であるが、本書での主張は「国家だけに任せるのではなく、消費者自らが少し考え方を変えるだけで、サステナブルな社会を作り出せるはずだ」というものだ。
これは非常に納得できる。
著者は、消費者自身が先ず「投資家マインド」を持つべきだと説いている。
商品を購入する消費者とした場合、自身の都合のためだけに安いものを買うのは止めよう、ということだ。
購入時に、目の前の商品について、大局観で考えを巡らせることが、実はものすごく重要なのだと思う。
自分の利益だけを考えるのは、まさに資本主義の考え方であり、1円でも安い商品を買えればいいという考えに陥りがちだ。
しかし、そこで投資家マインドを持ち、「この商品価格は適切なのだろうか?」と批判的に考えることが大切なのだと思う。
近年ようやく「フェアトレード」という言葉が浸透してきたが、まだまだ十分とは言えない。
消費者が多少高くてもきちんとした商品、社会にとって良いと思われる商品を選択して購入していく必要がある。
消費者自身が地球にとって何が必要か、持続的な社会はどういうことかをもっと真剣に考えれば、世の中の不平等は今のシステムでも充分に解消されていくはずなのだ。
企業は労働者から搾取した安い賃金でビジネスするのではなく、きちんと適切に、まさにフェアトレードであるが、相手に充分な対価を支払って取引をすることが重要なのだ。
企業が適切なビジネスで、それで収益を上げれば、その収益をさらに次の投資に回し、ビジネスを正しく拡大していくことができる。
何でもかんでも闇雲にビジネスを拡大しろということではなく、社会にとって良いやり方、最適なやり方はどういうことなのかを、企業も社会も真剣に考えていくべきなのだ。
現在は、CO2の削減が実質的に出来ない企業は、カーボンクレジットの購入という形で、炭素を減らすことを金銭で代替えするということがある。
カーボンクレジットの考え方自体に賛否はあるようだが、個人的には、現時点の現実解としては良い仕組みだと思っている。
実際、地球環境は待ったなしの状況であり、化石燃料を掘り出してそれをもとに安く商品を作るという現状は、よくよく考えれば資源を使い果たしているだけで、地球全体で考えれば決してサステナブルではない。
いつか資源は枯渇し、減った資源を再び取り戻すには莫大な時間がかかる。
この「再び取り戻すのに、コストはどれくらいかかるのか」を算出して、販売価格に上乗せしていく、もしくはCO2削減が出来ない企業に購入してもらうというのは、理にかなっていると思うのだ。
これはある意味、フェアトレードと言えるのではないだろうか。
消費を投資と考えるのは当然だが、労働も投資と考えると、働いて給与を得ることだけではなく、その会社で働くと将来社会に対してどういう影響があるのかをきちんと考えなければならないということだ。
もちろん、国民全員がそういう意識になれば社会は変わると思うが、著者は全体の5%でもそういう考え方の人が出てくれば、社会は変わると言っている。
キャズム理論として、アーリーアダプターを超えるための谷について有名であるが、それに近い状態だと思う。
全体の5%と言えるアーリーアダプターが、社会にとって良いこと、サステナブルな社会をどう作るかを考えるだけで、きっと世界は良い方向に向かっていくはずなのだ。
本書で記載されているが、現状の資本主義は行き過ぎていると思う。
販売されている製品は、すでに機能差がほとんどない状態になっている。
コモディティ化されてしまった商品を、今でも大量生産し、消費者に対して販売し続ける。当然売れ残った商品は在庫となり、いつか廃棄されてしまう。
この状況がいつまでも続くとはとても思えない。
すでに「顧客の課題がない」からこそ、製品はコモディティ化されてしまった訳であるが、企業は顧客の声を聞き過ぎではなかろうか。
これがマーケティングの限界と感じるが、間違っているだろうか。
顧客の課題はすでに解決されて、一方で社会課題は益々増え続けている。
「課題がない」訳では決してない。
顧客の課題ではなく、社会課題は解決されずに、今でも課題として残り続けてしまっている。
これを何とかしないことには、、サステナブルな社会なんて来るはずがないと思う。
サステナブル資本主義という考え方は、従来の資本主義を全否定するものではない。
資本主義のバージョンアップ版、ほんの少し考え方を変えるという派生版かもしれない。
地球環境を守って、誰もが豊かに暮らせる社会を実現するための新しい経済システム。
この構築はこれから必須である。
結局は、我々一人一人の意識を変えることが重要であるが、それに留まらず、実際に行動していくことが重要だと思うのだ。
(2024/6/12水)

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2024年07月20日

Posted by ブクログ

消費する上でも投資家の視点を持つことの大事さは藤野さんの本でも書いてあったように思うし、コロナ禍で実感している人もいるのではないか。日本が世界のリーダーになれる気はしないけど、「考える消費」が広まってほしいなと思う。あと寄附文化も。

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2022年03月27日

Posted by ブクログ

脱炭素はお金がかかることを消費者にわかってもらわなければならないのに岸田総理は石油に補助金を出す。なにやってんだか

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2022年01月26日

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