あらすじ
1952年以降はじめて抜本的に公用文のルールが変わる!
文化庁文化審議会国語分科会国語課題小委員会が、1952年にできた「公用文作成の要領」の見直しを70年ぶりに行い、このたび「新しい「公用文作成の要領」に向けて」(令和3年3月12日)という報告書をまとめた。
この成果物は今後、府省庁の文書作成の基準となり、さらに自治体はもちろん、社会一般においても、文書作成のスタンダードとなる内容となっている。
本書は、この報告書をふまえて、新しい公用文の書き方を紹介し、具体的な例文をふんだんに盛り込んだ。
この新しい公用文の書き方のルールには、例えば、
◯読点には、原則として「,」(コンマ)ではなく「、」(テン)を使う
◯1文が50~60字程度になってきたら、読みにくくなっていないか意識するとよい
◯情報発信を「書き言葉によるコミュニケーション」と捉える
などの画期的な提案がある。
府省庁や地方自治体の職員の方、弁護士、司法書士、行政書士、社会保険労務士など士業の方、国や自治体と仕事上の文書のやり取りをする方などなど、公式文書を書く際のルールを知りたいすべての方にとって、欠かせない1冊!
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Posted by ブクログ
私は社内用文書は当たり前ですが、外部の民間の方向けに文書を書くことがある関係で読みました。
この書き分けについて明確に書かれています。
P223から引用した文献が載っています。オンラインで読めるものにはQRコードが付いているので、すぐ確認できて便利ですよ。
Posted by ブクログ
サッと流し読み。
文化審議会建議「公用文作成の考え方」(令和4年1月7日)では、公用文を「告示・通知等」「記録・公開資料等」「解説・広報等」に分類した上で、それぞれの文書の目的や種類に応じた書き表し方を考えることとされている。
同建議では、「公用文の表記は法令と一致させる」ことを「原則」とした上で、告示・通知等は「原則に従って書き表す」、記録・公開資料等は「原則に基づくことを基本としつつ、必要に応じて読み手に合わせた書き表し方を工夫する」、解説・広報等は「特別な知識を持たない人にとっての読みやすさを優先し、書き表し方を工夫する」とされている。
つまり、公用文の書き表し方は、まず前提としての「原則」があり、文書の種類に応じて「原則」からの逸脱をどの程度認めるかを検討することとなる。
したがって、公用文作成に習熟するためには、「原則」を一定程度理解することが優先されるべきだと個人的には思う。
本書はまえがきでも断りがあるように、「原則」からの逸脱が許容される「記録・公開資料等」「解説・広報等」(本書での呼称は「公用文Ⅱ」「広報文」)を対象としているということに注意しなければならない。
つまり、「原則」をきちんと理解していない人が「告示・通知等」(本書での呼称は「公用文Ⅰ」)を書くときに本書を参照すべきではないということに注意が必要である(特に送り仮名の付け方に関して)。
ちなみに、p.79にある以下の記述は、誤りではないだろうか。
“「慣用化していて、送り仮名を省く語」の中に、「貸主」があります。しかし「借主」はないのです。そのため、「貸主」、「借り主」が正しい書き方となります。”
「送り仮名の付け方」(内閣告示)には記載がなくても、「法令における漢字使用等について」(内閣法制局長官通知)で送り仮名を付けない語の例として「借主」が挙げられているため、公用文(告示・通知等)では「借主」が正しい表記である。解説・広報等では「貸し主」「借り主」の表記も許容されるのだろうから、わざわざこの段落を書いた理由がわからない。
既に公用文の「原則」をある程度理解している人が、一般向けの噛み砕いた文書を作成するための文章術を身につけるためには参考になる本だと思う。
・広報文では「及び」「並びに」「又は」「若しくは」は使わない(第4章の7)
などは、なるほどと思った。