【感想・ネタバレ】未来のレビュー

あらすじ

「こんにちは、章子。私は20年後のあなた、30歳の章子です。あなたはきっと、これはだれかのイタズラではないかと思っているはず。だけど、これは本物の未来からの手紙なのです」ある日突然、少女に届いた一通の手紙。送り主は未来の自分だという──。家にも学校にも居場所のない、追い詰められた子どもたちを待つ未来とは!? デビュー作『告白』から10年、新たなる代表作の誕生!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

9/4
とても重々しくて生々しくて、読む進める度に心に圧力が加わってしんどくなるようだった。実家に帰省している時に見つけて拝借した。
章子、良太、文乃、樋口家の人間、佐伯家の人間、早坂、ありさ、ちえりさん。それぞれがそれぞれ目に見えないような問題や慣習により植え付けられた価値観、人間としての醜さなどを抱えており、もちろん私の視点から見たらこの人が"悪い"とか、この人は"良い"みたいな思いを抱いたけど、それは私の生まれた環境や時代、私の個人の感じ方の問題であって人によって変わりうるものだと思う。文乃さんがどのような気持ちで人生を過ごしてきたのか、良太と再会してどのような出来事があったのか、これから章子、ありさ、はどうなってしまうのか。章子がちえりさんの家で見たフロッピーにはどのような内容が残されていたのか(事件の真相が書かれていたんだと自分は思ってる。だから、文乃さんは良太が無くなった時にその証拠を全てなくそうとしたんじゃないかなって。)
この物語程じゃないけれど、自分にもこれからもしくはこれまでにも多くの問題だったりしんどい時期がやってくると思う。もしかしたら頼れる人は周りにいないかもしれないし、良くない選択をしてしまうこともあるかもしれない。でもそれを自分だけの不幸だと決めつけないようにしたい。もちろん、だからといってみんなにも起こりうることなんだからなんとなるとかいって物事を楽観視したりはしないように。ただ、冷静になるためにこの作品を思い出せたらと思う。

決してハッピーエンドと言えるような終わり方ではないけれど、だからといってバッドエンドでも無い、本当に現実感のある終わり方で自分は小説にフィクション、理想を求めているような節があるから気分の良くなるような終わり方とは言えなかったけれどこれはこれでとても作品として完成された終わり方だとも思った。

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2025年09月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんだか悲しい話。
子供達がそんな可哀想な事になるのはとても悲しい。
でも先生が送った未来の手紙が善意の塊でよかった。
親を殺したり、子供を売ったり、嫌な話だった。
でもこう言う事ってほんとにあるのかもしれないと思うと、嫌だ嫌だと言ってられないな…

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2025年10月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初めの情景が後から出てきたように、読んでいってハッとすることが多くて、面白かった。
本の半分くらいまでが章子から未来の章子への手紙を通して話が進んでいくのが、今まで読んだことのない方式で新鮮だった。

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2025年11月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

エピソードまでが長かった。
それぞれのエピソードも、結構暗くて長く、終りが見えてくるのだろうかと心配したが、心配したとおりに近かった。
いつも「なんだかなぁ〜」と思いながら、つい読んでしまう作者の巧妙さかな。

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2025年10月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これまでに湊氏の作品はかなり読んできたと思います。

イヤミスという切り口もありますが、これまでに感じていたのは「揺るがない自己」という切り口。登場人物が「自分が悪かったのかな」とか振り返ることがない(少ない)という印象をです。

そして今回感じたのは、「念」とでもいいましょうか。

とりわけ強烈な負の気持ちの強さ、みたいなものを感じました。

・・・
10歳の少女・章子の元に、「20年後のあなた」からの手紙が突然届く。手紙の内容を信じて生きる章子の周囲には、いじめ、家庭内暴力、親の過去など重い問題が次々と浮かび上がる。同時に同級生・亜里沙にも似た手紙が届き、二人はやがて大人たちの闇を共有し、救いを求めて声をあげようとする。

・・・
こう言っては何ですが、本作、ある意味壮大な負の連鎖のようなお話です。

主人公的立ち位置の小学生章子。大好きな父親を亡くし、傍にいるのは心が壊れた母親のみ。そんなネグレクトな状況。

このいと美しい母親は心が風邪気味で、どちらかというと娘の章子が気を回す有様。また、美しい母ゆえ、周囲の虫も寄ってくる。これもまた章子の心配事。

でも実はこの母親は小学生の頃から虐待を受けていた当時者であり、章子の亡き父親はそのことを高校時に知ったのだった。

章子の父親がこの世を去るときに、一計を案じ助けを求めた人も、これまた世の中に頼れず、傷つくことを余儀なくされた人だった。

そうした負のスパイラル、連鎖、抜けられぬ軛の重さをひしひしと感じます。

その意味で、主人公は章子だけではなく、章子の父・母、章子の友人の亜里沙、そのほか幾つかの人物も、それぞれの背負ったものが重たくかつ精緻に描かれ、彼らはどれも主役級と言えましょう。

・・・
ということで湊氏の作品でした。

あとがきで湊氏は、こどもの貧困問題などを背景に筆をすすめたとのことを書いていらっしゃいました。事実、本作はイヤミスではありながら明るい未来を予感させるような締め方であり、他の湊作品のなかでもそれは際立っている気がします(主人公たちがまだ若いというのもありましょうが)。

そういう意味では、全体通して重いトーンの物語ながら、最後に希望が残されたパンドラの箱のような作品だったと思います。

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2025年10月14日

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