あらすじ
「私が絞首台に吊されるその時、日本の正義は亡びるのです」
新人弁護士・日高正義が初めて担当する事件は、2年前、手術室での連続殺人として世を震撼させた「バチスタ・スキャンダル」だった。被疑者の黙秘に苦戦し、死刑に追い込めない検察。弁護をも拒み続ける被疑者に日高は、ある提案を持ち掛けた。被疑者と日高、それぞれの戦いの幕が上がる――。(「氷獄」)
『チーム・バチスタの栄光』のその後を描いた表題作を含む全4篇。
有罪率99.9%を誇る検察司法の歪みに正義のメスを入れる、リーガル×メディカル・エンタテインメント!
◆収録作
「双生」……医師・田口公平の元で研修に励むすみれ・小百合の桜宮姉妹。外来患者の夫の異変に気付いたすみれは、ある斬新な治療法を提案する。
「星宿」……十字星を見たい――。看護師の如月翔子は、手術を拒否し続ける少年・村本亮の願いを叶えるため、便利屋・城崎を呼び出す。
「黎明」……末期癌の妻が入所した東城大学医学部付属病院のホスピスは、治る希望を捨て、死を受け入れるという方針だった。夫・章雄は反発するが……。
「氷獄」……新人弁護士・日高正義は「バチスタ・スキャンダル」の被疑者のもとを訪れる。弁護の拒否を続ける被疑者に、日高正義はある提案を持ち掛ける。
★豪華電子版特典付き!
「小説 野性時代」連載時扉イラスト
電子版共通あとがき
電子版あとがき『氷獄』
付録1【海堂尊・全著作リスト】
付録2【作品相関図】
付録3【桜宮年表】
付録4【「桜宮サーガ」年代順リスト】
付録5【「桜宮サーガ」構造】
付録6【「海堂ラボ」登場人物リスト】
付録7【あとがき索引】
※本電子書籍は、2021年7月に角川文庫より刊行された『氷獄』を底本とし、電子特典を加えたものです。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
バチスタ事件のその後を中心に検察システムに一石を投じる短編集。一連のシリーズのキーパーソンが数多く登場し、謂わばバチスタシリーズを締め括る作品のように感じます。
田口先生や白鳥技官を始めたする個性的な人たちの言動が久しぶりに読めて楽しかった。
Posted by ブクログ
これは、絶対だから読みたくなかったんですが、やっぱり面白かった。白鳥さん、好きだなぁ。へそ曲がりな人がたくさん出てくるけど、私もそうだから、共感しています。
Posted by ブクログ
桜宮サーガ、四編からなる短編集。
シリーズの時系列を振り返りながら読んだ。
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双生(1994年 春)
『螺鈿迷宮』より10年以上前の話。
桜宮小百合とすみれがぐっちーのところに半年間の研修にくる。
星宿(2007年 冬
『ナイチンゲールの沈黙』の一年後。
便利屋城崎の無料お試しサービス券が大いに使われる。
白鳥も登場。
黎明(2012年 春
モルフェウスの領域の少し前。
焼けた碧翠院跡地には、Aiセンターが建つやいなや爆発で崩壊、今は未来医学探究センターが建っている。
不定愁訴外来責任者のぐっちーがホスピス業務について三ヶ月。
氷獄(2019年 春
弁護士日高正義の初仕事は2008年、2年前に起きたバチスタ事件の被疑者氷室貢一郎の弁護だった。
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「黎明」は続きがありそうな終わり方だった。
(まだ書かれていない話?読めてないだけかも。)
なんといっても「氷獄」。
収録された4編で一番長い話。
文庫本のほぼ半分を使ってバチスタ事件の後日譚。
終わりがのみ込めない。
「氷獄」のさらに、その後が読みたい。書いて欲しい。
芋煮事件は、カレー事件を彷彿させた。
やっぱり、桜宮サーガと呼ばれるこのシリーズの中でも田口・白鳥シリーズが好きだな。
ぐっちーが登場して嬉しくなった。人間として好き。
白鳥の登場も喜んでしまった。
現実では、白鳥には絶対に絶対に近寄りたくないけれど、物語をどんどん展開してくれるので読んでてワクワクしてくる。
Posted by ブクログ
桜宮サーガの短編集
バチスタ裁判の表題作を含めて収録は4編
・双生 1994年 春
田口先生のところに桜宮すみれ、桜宮小百合が短期研修していた頃
すみれと小百合のそれぞれやりたいことの片鱗がこの時期にも発露されていたのですねぇ
でんでん虫の倒壊のあれこれや、その後の暗躍にまで関わってくるとはね……
・星宿 2007年 冬
オレンジ病棟で南十字星を見ようとするお話
ナイチンゲールの沈黙の後くらい
手術拒否する小児患者の「南十字星を見たい」という願いを叶えようとする如月翔子
便利屋 城崎を頼って実現した方法とは?
オレンジ病棟の建設の経緯やら、タヌキの思惑やら、白鳥の力技やら、田口先生の消費カロリーの少ないアシスト等々
・黎明 2012年 春
終末医療施設である黎明病棟発足当初のゴタゴタ
ホスピス棟に入所することになった、膵臓癌末期の千草
夫の章雄は、今まで苦労させた負い目もあってなんとか治療をしてやりたいと思っているが、ホスピス棟の看護師長黒沼はその考え自体を否定する
ホスピスというのは、死を迎える覚悟を作る場所であい、治療は不要だと
諦めきれない章雄は、ホスピス棟に入所している山岡から、看護師の若月に相談する事を勧められる
若月のやった事、そして事態は意外な真実を明らかにする
それにしても、高階院長の提示した最善策の無茶振りっぷりよ
そんな事、田口先生ができるわけないじゃんw
あと、最後に仄めかされていた、田口先生が巻き込まれる事って、新型コロナのあれですね
単行本の発売時には書いてなかった文章なんでしょうね、きっと
他作品の感想でも書いたけど、田口先生は後に教授になってるはずなのに、この時点でまだ講師という違和感もあるなぁ
・氷獄 2019年 春
新人弁護士・日高正義によるバチスタスキャンダルの被疑者の弁護の回想
弁護の拒否を続ける被疑者
被疑者からの他の事件へのアドバイス
日本の司法の問題点とは?
科学的な手法をどこまで司法に反映させるか?
その情報の開示を誰が掌握するかという問題
検察は有罪にするために、自分達に不利な情報は出さないというのはダブルバインドではないのかという疑問
やはり、これまで桜宮サーガを追いかけてきたからこそ感慨深いものがある
別宮葉子、斑鳩芳生とか他シリーズを読んでいると「おぉ!」と思うところがあるけど
この作品を最初に読む人にとってはよくわからない小説に感じるかもね
東日本大震災や新型コロナウイルスも作中に込めだすと
先述の通り登場人物たちの年齢が結構気になるんですけどねぇ
ところで、田口と白鳥のシリーズは完結したんじゃなかったっけ?
そのシリーズではなく、あくまで桜宮サーガの短編ということか?
Posted by ブクログ
バチスタシリーズの短編集。これまでの登場人物の個性が断片的に見とれた。
特に本のタイトルにもなっている「氷獄」ではそれぞれの人間性や考え、信念に基づいた「正義」の交錯が描かれており、非常に面白かった。
医療と司法の関係については今後の展開に期待できそう。
Posted by ブクログ
バチスタ裁判と東城大に関連する短編集です。
主要メンバが揃い踏みで楽しく読めました。
やっぱり白鳥のロジカルは群を抜いてますね。物語が加速して厚みが増します。
そして新章幕開けの感もあり、これからの田口白鳥ペアの活躍が楽しみになってきました。
Posted by ブクログ
海堂作品は、流石にそれは・・!?と思うほどの設定やウルトラCが散りばめられているにも関わらず、ぐいぐい引き込まれてしまうのがいつもながらすごい。これぞエンタメ。
Posted by ブクログ
「チームバチスタ」シリーズは読み始めると止まりません。田口医師も好きですが、強烈な個性で惹かれるのがロジカルモンスターこと白鳥圭輔技官。厚生労働省の役人らしからぬ毒舌ぶり、頭の回転の速さと行動力に圧倒されます。
Posted by ブクログ
『チーム・バチスタの栄光』のその後を描いた表題作を含む、全4篇。
「双生」……1994年春。田口公平のもとで研修に励むすみれ・小百合の桜宮姉妹。外来患者の夫の異変に気付いたすみれは、ある斬新な治療法を提案する。
パーキンソン病の新たなる外科的治療法。
脳に電極を入れて、通電すれば良いという。
だが、彼女たちは半年の予定が三ヶ月で終わった。
「星宿」……2007年冬。看護師の如月翔子は、手術を拒否し続ける少年・村本亮の願い「南十字星を見たい「を叶えるため、便利屋・城崎を呼び出して、オレンジ病棟の秘密の3階にプラネタリウムに。
翔子が奔走する先にはグッチー、高階院長、白鳥も出てきて成功させる。
「黎明」……2012年春。末期癌の妻、千草が入所した東城大学医学部付属病院のホスピス棟は、「治る希望は捨て死を受け入れる」という方針だった。
夫・章雄は反発する。
そこには元女医の山岡さん(患者)と黒沼師長が率いてる。
反発するは若月看護師。工藤夫妻と「患者と寄り添うホスピス」を目指す。
かつてあった碧翠院を目指して・・・。
山岡は病気詐称で退所、黒沼も一緒に去る。
「氷獄」……2019年春。新人弁護士・日高正義は「バチスタ・スキャンダル」の被疑者「氷室」の元を訪れた。
弁護の拒否を続ける氷室。
バチスタの面々に巻き込まれる形でバンバン出てくる。
田口先生→白鳥→斑鳩→彦根先生
ここで北海道の産婦人科医の三枝先生、世良医院長の名がチラリ。
氷室に青酸カリを渡す女医は白磁のマスクを付けている。
そして東日本大震災の日。氷室は鍵が一時的に開いたドアから何処かへと姿をくらます。
流石に色々出てきすぎってカンジw
それだけに、以前の物語を覚えてないと難しいかも?
色々な所で、色々な人が出てくるのでフと思い出す物語の数々。
バチスタ読んでる人は、読んでおいて損はしない。
ただ、物語上登場人物が多いので、ややこしい感はあるが懐かしさの方が勝る。
Posted by ブクログ
2022.09.09
桜宮サーガ短編四篇 碧翠院姉妹の研修時代 小児病棟のプラネタリウム ホスピス棟の闇 バチスタ事件裁判
四話目、やっぱり白鳥が登場すると楽しいな。新キャラを無理なくいろんな話に後付けにも関わらず嵌め込んでいく手腕はさすが。
Posted by ブクログ
久しぶりに海堂尊さんの書籍を読み面白かった。
途中難しい言葉が多く、長く感じるところもあるがこれがこの本の良さなのかも。
最後はスピード感もあり楽しかったです。
Posted by ブクログ
この作品を読む前に初めて「桜宮サーガ」シリーズに触れる方は、別の作品を読んでからをお勧めします。
個人的にはあまり、シリーズを読んでいないので、作品の魅力の半分ぐらいしか味わえなかったかなと思いました。背景があまりわからなかったため、医師達の日常のような雰囲気を感じました。
この作品では、3編の短編と1編の中編の作品が入っています。
特に表題の「氷獄」は、第1作目「チーム・バチスタの栄光」の続編で、犯人も登場しますので、第1作目を読んでからをお勧めします。
他にも「ジェネラル・ルージュの凱旋」「イノセント・ゲリラの祝祭」「アリアドネの弾丸」「螺鈿迷宮」「ナイチンゲールの沈黙」での出来事や登場人物がふんだんに盛り込まれています。
一部しか読んでいませんが、懐かしさと同時にその後がどうなったのか楽しめました。
表題の中編「氷獄」では、バチスタ事件や医療過誤の問題を取り扱いつつ、司法や検察、医療の闇も垣間見れて、考えさせられました。
シリーズではお馴染みの田口と白鳥のコンビは面白く、メインというわけではないのですが、際立っていました。