あらすじ
本書は,虐待(ぎゃくたい)について,おおよそ小学生中学年以上の子どもを対象にわかりやすく書かれている。
身近な虐待事例(身体的虐待・心理的虐待・ネグレクト・性的虐待)が極めて具体的に著されており,医療職自らがイラスト・漫画・文章を全て書き起こした本邦初の児童書である(刊行時点)。
子どもの虐待にくわしい小児科医・クマちゃん先生のアドバイスやヒントも多数盛り込まれている。
また,本文の字の形はUDフォントを使用し読字障がいを持つ方にも読みやすくしている。
他,表紙背景色も薄い緑にし,目に優しいデザインをこころがけた。
子ども自身が読めるよう,ホッコリしたイラストも多いが,子どもだけでなく,子どもの虐待について関わる全ての大人の皆さんに役立つ内容となっている。
子どもは勿論のこと,虐待についてとまどっている大人のかたに対しても「助けてと言っていいんだよ」という筆者の強い思いが反映されており,SOS発信の方法・相談窓口までくわしく書かれている。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ぎゃくたい(虐待)についてわかりやすく書かれている本。子供向けなので言葉が簡単。総ルビで読みやすい。
『子供向け』というだけではなくて、『日本語勉強中の人』や『難しい言葉をうまく理解できない人たち』にも有効……と最近思う。優しい言葉で書くだけで、届く範囲が広がる。
さらにこの本は『読字障がい』の人にも読みやすいUDフォントになっていると書かれていた。文字が大きいだけでも読みやすいのにフォントまで配慮が行き届いてるのすごい。
そして、しっかりと『読むも読まないも自由』『気分が悪くなったら、大人に伝えてね』ということまで書かれてる。読んだ子供への配慮がすごい。それだけ虐待の話は子どもにとって重いということ。……大人にとっても重いし、嫌いで見たくないという人もいる。
「はじめに」だけでも配慮がすごいなと思った。
最後は『大人のみなさんへ』とある。これ、「保護者のみなさんへ」ではないのがいいなと思う。子どもに関わる、関わらないに限らず『大人』に呼びかけるのいい。
「大人こそが変わらなければいけない」
本にも書いてあるこの一言に尽きるけど、虐待された大人もそれに気が付かず『それでよかった』と思ってしまっている部分もあるので変わるのは難しい。
2020年に体罰禁止になったけど、体罰以外の方法が周知されているとも思えないもどかしさも書かれている。