あらすじ
YouTubeで文学的世界観を作り出している、にゃんたこの初エッセイ!
にゃんたこワールド全開の日常と哲学がここに凝縮。短編ストーリー「沈む熊」、「いつくしみをたたえて」も収録。
【本文より】
生活の中に、青春を懐かしむ余白をもつ人間のことを大人と呼ぶのだとすれば、私の心はずいぶん前からすっかり大人になってしまっている。年齢を重ねただけの子供を大人と呼ぶことができるのか? というモラトリアム的な問題はさておき、とにかく最近、青春時代のあれこれを思い出すことが多い。けれど、「大人である」私が、たとえば高校生の私を懐かしく思うのと同じように、高校生の私もまた、「大人である」私にひどく恋い焦がれていた。
高校一年生の夏休みに、生まれて初めて髪の毛をブリーチした。ブリーチ剤を頭に塗りたくられて、ラップをぐるぐると巻かれる。60ワットの照明器具然としたドーナツ状の謎の物体が頭の周りをぐるぐると回る。頭皮が燃えるように熱くなり、その熱さが次第に痛みへと変わっていく。昨晩食べた八匹の子持ちししゃものことを思い出す。コンロの中ってこんな感じだろうか。
一時間の耐久の末、憧れのブロンドヘアを手に入れた私は、顔にも年齢にも不釣り合いな濃いメイクに違和感を覚えないほどには浮かれきっていた。大人の女はブロンドヘアが似合う、という類稀なる偏見と理想。そこに若さゆえの超主観的な実行力が加わって、悲しみのブロンドティーンが誕生してしまった。(続く)
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
ピアスで切れた耳がかわいいといってもらえた話。おっきい画面で見るジョーカーがかっこいい話。熊が出ていなくなった愛想なしのバイト同僚のはなし。
Youtube見てみよう。
Posted by ブクログ
エッセイ。
いつどこでチェックしたか忘れたけど自分の携帯の「いつか読んでみたいリスト」に入っていて読んでみた。
半分くらいまで読んで、著者がどんな人か気になって検索した。
お酒好きでお掃除苦手で手持ちのお金は少ないとかのエピソードがあり、
町田康を想像した後に、女性なのでお笑い芸人納言の薄幸っぽいイメージをしていたらあまりにも違って笑った。
子どもの頃、ダンゴムシをポケットに沢山入れる人には見えない。
YouTuberらしい。
就学前に大人になったら何になりたいかという質問に「おふ」(麩)と回答されている。
読んでる本とか音楽とか映画とかの記述多い。
『二十歳の原点』なんかもあって。
著者は自身が上げた動画に対して否定的なコメントやひどいコメントにもいいねを付けるという。
「理由は無いが、(中略)内容の良し悪しで目に映るものを選んで捨てるのは格好悪い。否定的なコメントを見ては「世の中には、顔も見たことがないような人間を全身全霊で否定しにかかるとんでもない暇人がたくさんいるんだなあ」と他人事みたいに思う反面、そのコメントにいいねボタンを押す瞬間、少しホッとしている自分がいる。大丈夫だ、自分を忌み嫌う人間にハートマークを贈る余裕のあるうちは、私はまだ優しくなれるんだ、と。」
本当に強い人ってこういう人なんじゃないかと思う。
「人間は生まれてから死ぬまでずっとひとりだし、未熟だし、だからこそ簡単に「そうか、私はすごい人間なんだ!」なんて思ってしまう可能性が一ミリでもあるならば能動的に、迅速に排除したい」
という文が心に残った。言葉の選び方とか。
Posted by ブクログ
一冊の中で、ふふっと声をあげて笑ったり、涙をこぼした経験は初めてでした。彼女にしか書けないものがたしかにここにあって、私はきっとこれからも何度も救われると思います。さあ、今日も"人生していきます"。
Posted by ブクログ
メモ
p.92
生きるということは、心に咲かせた薄紫色の小さな花に、絶えず水をやり続けることだ。
感想
にゃんたこさんらしさがでていて、読んでいて彼女のいつもの声が聞こえてきた。人生を変える1冊にはならないが、どこかで心の支えになる本だなと思う。文章が好き。
家出の話が1番印象的。あー、がんばろ。