大学生の青年・アルは、養子先の親には金銭的に頼らない生活をするべくバイトに明け暮れているが、冬休みのある日、バイト帰りに乗った地下鉄の車両で殺人事件が起きる。偶然かと思われたが、知らず知らずのうちに巻き込まれ…と始まる、現代ロンドンを舞台に、市長が地下鉄内で刺殺された事件をめぐって、謎と思惑と伏線が絡み合うサスペンスミステリーコミックが本作です。コミックというよりはむしろ小説を思わせる表紙、効果線や擬音がなく非常にスタイリッシュな画、脳内に映像で再生されるようなコマ割りなど、ストーリー以外の見どころも満載。個人的には、楕円と多角形のみでシンプルなのに音が聞こえてくるような、吹き出しの使われ方がとても印象に残りました。
クライムサスペンスでありながら、主人公がアジア系の養子であったり人種や男女の差別に言及されたりするような昨今の英国を自然に盛り込んだ設定とロンドンの地下鉄やプラットフォーム、人物の背景に描かれるロンドンの街並みなどの描写により、驚くほどのリアリティで読み手に迫ってきます。海外ミステリードラマ好きにはぜひ読んでいただきたい!
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現実的で良質なフィクション
上手く引きは残しつつも淡々と進むストーリーの完結刊。
真犯人も予想通り、最後のトリックも既視感あるが、間違いなく名作。
心理描写含め、話を理解するには十二分だが不要なものは一切ない説明と展開。
終わった後にその先を読みたいと強く思ったが、そう思わせたこと含め見事です。名作。
ちょっとあっさりな結末
最後、犯人発覚から逮捕までの流れがかなりあっさりだった印象です。
でもダラダラと引き伸ばすより、これぐらいあっさりしていた方が逆にリアルだとも思いました。
現実では殺人なんてしたらすぐに捕まりますからね。