【感想・ネタバレ】ヒロインたちの聖書ものがたり キリスト教は女性をどう語ってきたかのレビュー

あらすじ

旧約・新約聖書に登場する約40人の女性たちの生き様を通して、ジェンダーの視点から聖書の全体像を示す。

旧約聖書・新約聖書に登場する40人以上の女性たちの生き方を、聖書学の最新の知見をふまえながら、ジェンダーの視点から読み解く意欲作。それぞれの時代の制約のなかで、機知と機転によってたくましく生き延びた女性もいれば、権力や社会に屈して失意のうちに生を終えた女性もいる。そうしたヒロインたちの躍動する姿を生き生きと現代によみがえらせることによって、聖書全体の流れと歴史を俯瞰しようというのが本書の狙いである。何度チャレンジしても聖書を読みつづけられなかった方も本書で聖書に魅了されること間違いありません。

【目次】
第1章 祝福された女たち
1 エデンの園からの出発 エバ
2 子どもを産めない女主人、自由を求める女奴隷 サラとハガル
3 顔も知らない夫の元へ リベカ

第2章 生き残りを賭けて
1 滅ぼし尽くす聖戦を生き延びた遊女 ラハブ
2 非情な戦場を生き抜くには デボラとヤエル
3 父の名誉に命を賭ける エフタの娘

第3章 語り出す女たち
1 神は貧しい者を引き上げる、とかのじょは歌った ハンナ
2 亡霊の声を取りつぐ エン・ドルの口寄せの女
3 恋愛と政略結婚に翻弄される王女 ミカル

第4章 権威と権力を身に纏う女たち
1 王妃はマスカラをたっぷりと塗った イゼベル
2 神殿から引きずり出された女王 アタルヤ
3 王にも預言者にも夫にも媚びない シュネムの女

第5章 イエスと共に生きる
1 主のしもべ イエスの母マリア
2 イエスに触れる 長血の女とヤイロの娘
3 イエスの足元で学ぶ姉妹 マルタとマリア
4 悔い改めた娼婦 罪の女
5 イエスの同伴者 マグダラのマリア


【著者】
福嶋裕子
青山学院大学理工学部教授、宗教主任(チャプレン)としてキリスト教概論を担当。ハーバード大学神学部博士課程修了(専門:新約聖書と初期キリスト教の諸起源)。聖書に登場する「寡婦(やもめ)」のように古代社会で周辺に生きる人びとに関心を持つ。訳書に『叫び声は神に届いた──旧約聖書の12人の祈り』(W. ブルッゲマン著、日本キリスト教団出版局、2014年)、共著『3.11以降の世界と聖書──言葉の回復をめぐって』(日本キリスト教団出版局、2016年)がある。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

聖書全体をヒロインたち――エバ(イヴ)、イエスの母マリア、マグダラのマリア等――を中心に読み解く一冊。男性中心に描かれる聖書の物語に対して、著者は「このような読み方もできるのでは?」と興味深い解釈を示している。
聖書本文を読んだことが無くても全体の流れがなんとなく摑める構成がいい。一部の単語が「かれ」「かのじょ」のように平仮名表記にしている点が気になる。

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2022年11月07日

面白いけど文体が…

「彼女」をかのじょ、「通常」をつうじょう、などと、どうしてここでひらがな?と思う箇所が文中多くて内容が頭に入らない、とまではいかなくても気が散った。
内容に集中できないレベルの文章は、読者の気をそぐので、興味深い内容であるのにそこが少々残念である。
なにか著者のポリシーがあってのひらがななのだろうか?
著者の趣味やクセであっても、文体、文章は読むことの妨げにならないようにしていただきたい。

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2021年03月09日

Posted by ブクログ

文献学的立場から聖書を解説してくれてる珍しい本。
登場人物と大まかな流れの解説があって読み易い。
女性をピックアップという試みも新鮮。

ただ、かんじをつかってなかったり、やや強引な推測が多くて…

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2020年12月31日

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