【感想・ネタバレ】自傷・自殺する子どもたちのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

チェック項目10箇所。本書は、子どもや思春期の若者たちの自傷を中心にとりあげながら、子どもと若者の自殺予防のために周囲の大人たちは何を考え、何をすべきかについて、私自身が臨床経験や研究を通じて考えてきたことをまとめたものです。「自傷の96%は、ひとりぼっちの状況でおこなわれ、しかも、そのことを誰にも告白しない」(Hawton etal,2006)。典型的な自傷は、「誰かに自分のつらさに気づいてもらう」などと、他者を意識したアピール的な行動とはいえません、むしろ、「誰の助けも借りずにつらさに耐え、苦痛を克服する」ための孤独な対処法と理解すべきなのです。自殺が、脱出困難な苦痛を解決するために、「意識を永遠に終焉させる」方法であるのに対し、自傷は、自分の意識状態を変容させることで何とか苦痛を「一時的にしのぎ」、その瞬間を「生き延びるため」におこなわれるわけです、自殺を考える者の脳裏にはもはや絶望しかない一方で、自傷を考える者の脳裏には、まだ多少とも希望が残されているといえるのかもしれません。くりかえし身体的虐待という肉体的苦痛を受けている子どもは、そのたびに脳内でエンケファリン産生が刺激されて鎮痛されるために、いつしか理学的な痛みに対して鈍感になってしまっているというのです。人を自殺にいたらしめる究極的な危険因子として、3つの要因:「身につけられた自殺潜在能力」、「所属感の激弱」、「負担感の知覚」。自傷経験のある若者たちは将来における自殺リスクが非常に高い集団です、しかし、彼らの自殺リスクを高めている究極的な要因は、リストカット自体ではなく、つらいときに援助を求めることができないこと、あるいは、助けてくれる大人がいないことにあります。自尊心や自己効力感の乏しい若者は、たった1つの問題行動を「いけない」「やめなさい」と否定されただけでも、すぐに「人格を否定された」「全面否定された」と早とちりしやすいものです、それよりは、「あなたという『存在』は正しい」、ほんの少しだけ改善した方がよい点があるだけだ」というニュアンスでメッセージを伝えた方が、援助者の気持ちは伝わりやすいと思います。自傷する子どもにいってはならない禁句、いわば「NGワード」を覚えておいてください、それは、「誰かの真似」と「関心を惹きたくてやっている」の2つです。自傷を止めるには、先行要因となる感情的苦痛が出現しなくなるか、そうでなければ、何か代替的な行動(置換スキル)によってひとまず感情的苦痛から気持ちをそらさなければなりません。「死にたい」という告白、「困難や苦痛のせいで『死にたい』くらいつらいが、もしもその苦痛が少しでも減じるのであれば、本当は生きたい」というメッセージと理解することができます。

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2014年05月20日

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