あらすじ
山本教行さんはその人生をもって「民藝」の道のりを生きてきた最後のひとです。
――平松洋子
鳥取の山あいに、全国の器好きが通う窯元がある。
年間一万人が足を運ぶ、岩井窯・山本 教行が積み重ねてきた美しい暮らしのつくり方。
岩井窯 レシピ付/喫茶の土鍋メニュー・おうちの定番ごはん
I .暮らしを見つめる
II .自分でつくる
岩井窯の土鍋レシピ
III .ものと付き合う
IV .見る目を養う
岩井窯のおうちごはん
V .人とつながる
【著者プロフィール】
1948年鳥取県生まれ。
16歳で吉田璋也に出会い、民藝の思想に感銘を受ける。18歳でバーナード・リーチに会い、陶芸家を志す。67年より島根県の出西窯で修業、71年に鳥取県岩美郡岩美町で岩井窯を開く。98年、窯と工房、作品展示館、参考館、喫茶と食事処からなる「クラフト館 岩井窯」を設立。 全国各地で個展を開き、多くのうつわ好きを魅了する作品をつくり続けている。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「暮らしの力」が詰まった素敵な本でした。何より原田マハさんの「リーチ先生」を読んだことがあったので、山本さんの本の中のリーチ先生の人柄が原田マハさんが描いていた人柄、そして私のイメージとぴったりで感動でした。
また、「壊れないではなく壊さない」を子供に教えること、道具の有益性と危険性の両面を知り使いこなすこと、「便利」より「情緒」が暮らしを豊かにするということ等、暮らしの豊かさとはを問う内容に心惹かれました。
奥さんとの関係性もなんだかほっこり素敵でした。
Posted by ブクログ
こんな暮らしをしたい。
山本さんに会いに行きたい。
お人柄がとてもにじみで出ている、とても好きな本だった。
リーチ先生や柳宗悦など、民藝を引っ張っていた人たちに会っている、山本さんの行動力と惹きつけの力はすごい。
写真も多く、マイペースにまったり読んだ。
そして、土鍋ごはんのゆば雑炊が簡単なのにとっても美味しくて、我が家の定番になりました!
Posted by ブクログ
私はうつわに興味がないし、民藝のことなどの知識は皆無。バーナード・リーチ氏だとか、柳宗悦氏だとか言われても全然ピンとこないような人間なのですが、たまたま母に借りたので読んでみたら、まぁなんとも素晴らしい人で、素晴らしい考え方で、素晴らしい暮らし方で、もうびっくりしました。なんというかあまりにも自分の暮らしとかけ離れすぎていて現実味がないほどでした。
著者は鳥取県で岩井窯を営む陶芸家、山本教行さん。この岩井窯は、全国から年間一万人もの器好きが訪れる、知っている人にとっては有名なところだそうです。もちろん知りませんでした。
著者のブレない軸、危険すぎるほどの「好き」や興味の抱き方、そして「いい」ものは手に入れる、会いたい人には会いに行くという行動力にはもう脱帽です。
災害ですべてを失っても、夫婦そろって、悲観恨みつらみを募らせるわけではなく、「ギフト」だと言ってしまうその精神。
ものづくりをする者の土台としてきちんとした暮らしが大事だというその考え方。
幼い子に、プラスチック製ではない「壊れる」うつわなどを与えて、「壊さないようにする」ことを身をもって学ばせるというその姿勢。
あげればきりがないほど、感嘆してしまうお人柄、思想、暮らしでした。
そして、なにより、文章そのものが「山本教行」さんご自身を表しているかのようでした。なんというか、よそ見しないで、自分の好き、伝えたいことだけを一心に見つめて、かっこつけずに心から湧いてくる言葉を誠実に文章にしている。そんな感じでした。
全く興味のない分野にも関わらず、たぶん心の奥底にそっと沈んで忘れられない一冊になりそうな気がしました。