あらすじ
捨てられる命、殺処分される命、食べられる命、動物園に展示される命……。
動物の命の「光」と「影」に向き合い続けたひとりの公務員獣医師の目を通して、
命の役割とは、命の尊厳とは何かを問う感動のノンフィクション。
小学校高学年から
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
“これからは「楽しい」「癒される」と、人間が動物からもらうだけの関係であってはならない。ペットの犬や猫に対しても、と畜され食される牛や豚に対しても、そして動物園の動物たちに対しても、人間が必ず「返すべき恩」がある。
それが何なのか――。
人間一人ひとりが、考え、動物たちに接していく時代になったのである。”
-- 162ページ
いのちは時に、蔑まれ、消費され、宝物のように扱われ、捨てられ。。
翻って私自身のいのちの価値が問われてますね
Posted by ブクログ
「動物園の人気動物が亡くなれば、マスコミが大きく取り上げ、多くの人がその死を悼む。命に順位はあるのだろうか…。」
獣医師である『愛知県立とべ動物園』の元園長『渡邉清一』氏。その多岐にわたる生き物とのかかわりあいを通して、『命のものさし』について考える。
動物園に勤め沢山の動物たちと関わってきたと聞けば、きっと動物が大好きな優しい人何だろうと思うことだろう。だが、生き物に関わる仕事というのはそれだけではない。実際、渡邉氏は助けた命より殺した命の方が多かったと語る。特に保健所や愛護センター時代の話は心が痛む。食肉センターも同様に。目を背けたくなるような写真も載っている。でも事実をきちんと知ることが、多くの命を犠牲にしている人間としての責任だと思う。
昨今では動物愛護の声が高まってきていることは事実だが、それでも殺処分される犬猫はなくならないし、食用家畜をなくすことも無理だろう。動物園や水族館は、確かに自由を奪っているかもしれないが、展示方法を工夫しているところもでてきているし、展示以外の意義もあると思う。
せめて自分の手の届く範囲の命には責任を持つことが第一歩。児童書としてこのような本があるのは良いこと。親子で読んで話をしてみてほしいと思う。