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Posted by ブクログ
「動物園の人気動物が亡くなれば、マスコミが大きく取り上げ、多くの人がその死を悼む。命に順位はあるのだろうか…。」
獣医師である『愛知県立とべ動物園』の元園長『渡邉清一』氏。その多岐にわたる生き物とのかかわりあいを通して、『命のものさし』について考える。
動物園に勤め沢山の動物たちと関わってきたと聞けば、きっと動物が大好きな優しい人何だろうと思うことだろう。だが、生き物に関わる仕事というのはそれだけではない。実際、渡邉氏は助けた命より殺した命の方が多かったと語る。特に保健所や愛護センター時代の話は心が痛む。食肉センターも同様に。目を背けたくなるような写真も載っている。でも事実をきちんと知ることが、多くの命を犠牲にしている人間としての責任だと思う。
昨今では動物愛護の声が高まってきていることは事実だが、それでも殺処分される犬猫はなくならないし、食用家畜をなくすことも無理だろう。動物園や水族館は、確かに自由を奪っているかもしれないが、展示方法を工夫しているところもでてきているし、展示以外の意義もあると思う。
せめて自分の手の届く範囲の命には責任を持つことが第一歩。児童書としてこのような本があるのは良いこと。親子で読んで話をしてみてほしいと思う。