感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
小野寺さんの本が好きで、本屋で買った一冊。
「ひと」や「まち」と同じで心が温かくなる物語。
サッカーは全然詳しくないけれど、全く問題なく話に入り込むことができた。
周りから愛される人ってこんな人だよな、と思うような素敵な主人公だった。人間にとって大事なことは能力とか外見だけではないと改めて感じた。
レギュラー争いだけではなく受験や仕事なども含め、生きていく中で経験する「選ばれる側」「選ばれない側」のそれぞれの思いについて考えさせられた。主人公がレギュラーではない事を告白する場面で、叔母が「結果だけを重視する人はたくさんいる。でもそうじゃない人も、たくさんではないけど、いる。」と言ったことが心に響いた。頑張ったけれど結果を出せなかった自分の経験を思い出し、少し涙が出た。結果が重視され、批判される人も沢山いる世の中だけど、〝そうじゃない〟人がひとりでも多くいてくれたら結果が出せなかった人の心が救われるのだと思う。表には出ていない部分にまで目を向けられる人間になりたい。
Posted by ブクログ
素晴らしい青春小説に出会ってしまった!
どこにでもありそうな公立高校のサッカー部、そこの万年ホケツでベンチウォーマーである宮島大地君が主人公。団地におばと二人で暮らす大地君の描写は、最初欲が少ないけど情熱も少ない、色んな事に醒めてしまった少年なのかなと思わせる。
だが、読み進めるうちに、彼は決して醒めた少年ではないことが分かってくる。醒めて見える原因は、彼の境遇からくる気遣いであり、その境遇の中で培ったものが、彼を優しく強くしなやかにさせていく。
とにかくいい子なんだよ、大地君。お前は絶対幸せになれ、なってほしいと思わされてしまう。
自分がこんな善き人間でないことが分かっているだけに、善なる行動を自然に条件反射的にできてしまう、彼を尊敬する。
伯母さんや顧問、サッカー部の友人たち、恋心を描くマネージャー…彼らとの絡みがすべて暖かくて味わい深く、どのエピソードも読むごとに心にホワッと来る。中盤から後半のエピソードオンパレードがまた素晴らしい。
サッカーには全く疎い俺だが、サッカーの知識はほぼなくても大丈夫。どんな部活をしている人でも、いや社会人であれ、隠居生活者であれ、老若男女を問わず是非読んで、心ほんわかして欲しい1冊。
Posted by ブクログ
☆4
何も知らずに読み始めたのですが、「みつば南団地」に住む宮島大地くんって、「みつばの郵便屋さん」にも登場したあの大地くんですよね!?
あの頃から「大地くんは良い子だなぁ」と思っていたのですが、本作ではそんな大地くんを主人公にした作品とのことで、大地くんのことを詳しく知ることが出来て良かったです❁⃘*.゚
家族、仲間、将来…迷い悩みながら自分だけのポジションを探し出す素敵な物語でした。
Posted by ブクログ
サッカー全く興味なし
高校生の息子はいるけど
高校生が主役の小説なんて別に興味なし
何も事件起きないし
え?どうなるの?なんて展開も全くない
なのに、引きつけられる
あっという間に読み終わってしまう
こんな子いいなぁ
こんな風に生きたいなぁ
小野寺さんの本を読むと
毎回思わされるなぁ
最後ありがちな終わり方なのに
嬉しくて、ちょっとうるっときた
真乃ちゃんと家族になって
大地がお父さんになって
サッカー部のみんなと集まったり
子育てと仕事におわれたり…
そんな日常を描いた続編希望します♪
Posted by ブクログ
部活への考え方、レギュラーの考え方、補欠の考え方。一人一人の思いが書かれていて、そのどれもに共感できる部分がある。
クラブチームのようにとにかく上を目指してやりたい人もいる。
弱小だからこそサッカーをやろうと思う人もいる。
周りからの後押しでやってみようと思う人もいる。
レギュラーに選ばれていても、自分の中では違うと感じる人もいる。
レギュラーになれなくても続ける人もいるし、レギュラーになれないならやめる人もいる。
レギュラーの気持ちはレギュラーにしか分からないのか、と言われればそうなのかもしれない。でも、やっぱり一人一人考え方が違うわけだから、完全に理解することなんてできない。
補欠を下に見るなんてない、とどんなに口では言っても、そう見る人もいる。
そんなあれこれがよく描かれていた。
大地はよくくさらずにやっていたと思う。ちゃんと楽しんでよくやっていた。周りから「お前がいないとだめだ」「潤滑油だ」的なことを言われてそりゃ多少は意識するだろうけど、でも、そんな驕りもなく、よくやっていた。
少しずつ少しずつ伯母さんとの距離が縮まっていく様子がまたよかった。
泣いたのは2箇所。「優しい嘘をつける子になった」と「最後の切り札」。
ラスト、大地が決めてほしい!と読者は思うけれど、それじゃああまりに出来過ぎ。(それもいいけど!)
勝っても負けてもきっと私たちはうまく物語にするんだろう。でも、伯母さんの言うように、負けた時に認めればいい。勝つよ、僕らは。