あらすじ
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ゴッホは画家になりたかったわけじゃない、画家にしかなれなかったのだ。27歳で画家を目指し37歳で早世するまでの画業を丹念にたどりながら、「なぜ私たちはゴッホに引かれてしまうのか?」という理由を解き明かす、まったく新しいゴッホ入門書。
●松下洸平インタビュー「ゴッホが選んでのせた色、その実物からしか得られないエネルギーを感じてください」
●大特集《夜のカフェテラス》ここには美しい夜がある
●夜を黒から解放 「夜景画家」の誕生
●実物大!《夜のカフェテラス》
●比べてみよう 夜のいろんな顔
●人工照明の歴史 松明、ロウソク、ランプ、ガス灯、電気
●わずか37年の人生 ゴッホと宮沢賢治
●特集1 色彩を開花させたアルル ゴッホの幸福な夢時間
●アルルに残したゴッホのあしあと
●色彩あふれるアルルで描いた希望に満ちた1枚《アルルの跳ね橋》
●特集2 居場所を探し続けた男 ゴッホ37年の人生
●中学中退!? 評判の変わり者 職を転々 適応できない苦しみ 破滅的! 過剰すぎる恋愛 家族愛! ゴッホ一族の献身 26/人の役に立ちたい! 噛み合わない希望 わずか10年の画業
●自由と孤独 ゴッホたち近代画家が向き合ったもの
●自分たちで絵を売ってみせる インディーズ「印象派」たちの挑戦
●圀府寺司インタビュー『ファン・ゴッホの手紙』から読み解く家族の素顔 寅さんのようなゴッホを愛した
●特集3 ゴッホ作品徹底解剖
●その1《ひまわり》前代未聞! 全面黄色の絵
●実物大!《ひまわり》
●比べてみよう 古今東西 いろんな「ひまわり」
●ゴッホは浮世絵に何を発見したのか?
●その2《画家としての自画像》自画像でわかる パリでの劇的進化
●実物大!《画家としての自画像》
●比べてみよう パレットを持った自画像
●インタビュー ジミー大西「絵には人生が出るんです」
●その3《種まく人》アルルに登場する太陽は何を意味する?文・圀府寺司(大阪大学名誉教授)
●実物大!《種まく人》
●その4《麦の穂》草木に塗り込んだ祈り 根を張り、空に伸びる
●実物大!《麦の穂》
●比べてみよう 糸杉「生命」と「創造力」の源
●実物大!《夜のプロヴァンスの田舎道》
●その5《ジョセフ・ルーランの肖像》ゴッホが楽しんだプリント倶楽部
●実物大!《ジョセフ・ルーランの肖像》
●《タンギー爺さん》 /《医師ガシェの肖像》
●比べてみよう 背景の効果
●日本で観られるゴッホの名品 国立西洋美術館《ばら》/アーティゾン美術館《ムーラン・ド・ラ・ギャレット》/アサヒグループ大山崎山荘美術館《窓辺の農婦》/SOMPO美術館《ひまわり》 /ひろしま美術館《ドービニーの庭》
●ゴッホに影響を受けた画家たち ポーラ美術館のゴッホ作品
●斎藤美奈子の読書案内ゴッホにもっと近づくための入門書を読む
●「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」 東京都美術館学芸員・大橋菜都子さんのおすすめ作品
●大ゴッホ展― 夜のカフェテラス(第1期)
●大ゴッホ展―アルルの跳ね橋(第2期)東京藝術大学大学美術館教授・熊澤弘さんのおすすめ作品
●展覧会INFORMATION
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
神戸市立博物館の「大ゴッホ展」を観た後に購入。
「大ゴッホ展」では、ゴッホの作風や色づかいの変化を、作品を年代順に観ることで知ることができた。その後に「ゴッホの誘惑」を読んで、ゴッホを取り巻く環境を詳しく知ることができた。この組み合わせで、ゴッホのことが、かなり理解できた気がする。
Posted by ブクログ
実物大に一部を切り抜いた写真がいくつかあり、美術館で実物を鑑賞している様な独特の筆使いを感じられました!
開催中及び開催予定のゴッホ展の前後にオススメ♪
Posted by ブクログ
今年(2025)7月に父が他界しました、数年前に父に頼んで描いてもらった、明石海峡大橋の水彩画が彼の遺産だと思っています。父はゴッホが好きで、ゴッホの模写をよく描いていました。先日神戸に彼の遺品整理で帰郷した時、ゴッホ展をやっていましたので観てきました。
図録を買おうとも思いましたが、その横に置いてあった「ゴッホの誘惑」というタイトルの雑誌に惹かれて、それを買うことにしました。絵の遺伝子は私は残念ながら受け継がなかったのですが、この雑誌は帰りの新幹線の中で、父を思い出しながら読みました。
以下は気になったポイントです。
・ガス灯が発明され 街を明るく照らし始めると、夜はロマンチックな時間帯に変わった。セレナーデという言葉は、昨夜に恋人が住む部屋の下で愛を奏でる音楽のことである。夜は得体の知れないものに怯えるのではなく、愛を伝える時間になった(p5)
・ガス灯が最初に登場したのは1800年代初頭のロンドン、意外に思われるが、それまでの人々は数千年にわたって、松明・ろうそく・オイルランプと共に夜を過ごしてきた。ガストの普及を後押ししたのは 当店 イギリスで起きた産業革命であった 。生産性を高めるには、夜間も機械を稼働させる必要があり、 より明るい人工照明が求められるようになった(p13)
・ゴッホは10年 の画業で約2000点の作品を残すが、生前に売れたのはわずかに1枚だけ。 大日本帝国憲法が施行された1890年7月29日に37歳の生涯を自ら 閉じた(p21)
・ 32歳の時にパリに出ると、当時最先端の印象派 や 新印象派の作品を研究した。キャンバスは劇的に 明るくなり点描 も試みた。 多くの浮世絵にも触れ 大胆な構図と色彩も取り入れた。34歳で南仏 アルル へ移ると、ひまわり・ アルルの跳ね橋・ 夜のカフェテラスなど 傑作を 次々 生み出した(p30)
・ダヴィンチ・ブリューゲル・フェルメール・レンブラント といった教科書にも登場する有名な画家は「描きたいものを自由に 描く」ことはできなかった、 彼らはまず、 宮廷・貴族・教会・少数の裕福な上流市民 といった人々からの注文がなければ 筆を取ることはなく、どれだけ自信作 であっても「頼んだものと違う」と言われてしまえばそれまでであった(p32) 近代の画家たちはパトロンの注文から解放され 、自らの感性・ 思想に基づいて 捜索活動を行うことが可能になった。その代償として、経済的な不安定・貧しさを覚悟しなければならず、さらには 自分の作品が理解されない中で、それでも書き続けるという 孤独と向き合うことになった。その典型的な存在の一人が ゴッホ である(p33)
・ 当時 画家として成功するには、 フランス王立美術アカデミーが主催する「官展」 というコンクールに 入選することが必須条件であった。アカデミーが創設する「ローマ賞」を受賞すれば 国費でローマに留学できる、帰国後には絵を買ってくれる パトロン もついた。一見理想的に見えるが、極めて 権威主義的であるという欠点もあった 当店 色の塗り方 から 構図に至るまで 、伝統的な絵画の作法が山のように存在し 自由な表現は難しかった 。中でも注目すべきは 「歴史画」つまり 神話や 聖書を題材とした絵を 最上位とし、 風景画・静物画、日常を描いた作品は「低俗」として扱われた(p35)
・ゴッホは、浮世絵の 鮮やかな色彩、 遠近法にとらわれない自由な構図、色彩を面として捉える、 固有色からの解放 、遠近法にとらわれない構図、大胆な トリミング等に影響を受けた(p47)
・ゴッホの偉業の一つは肖像画の背景を、 黒から解き放ったことかもしれない。もともと 肖像画は、背景を黒く塗り、その人物の地位や職業を示す 装飾品や小道具を添えるのが一般的であった(p78)
2025年11月21日読破
2025年12月3日作成