【感想・ネタバレ】ゲラーさん、ニッポンに物申すのレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年04月21日

【要約】
日本では権力の不作為、一部の利益の為に多くの人命・財産・社会的影響に損失が生まれている。だが大手メディアはそれを報じず政府の広告塔となり、国民は何が正か知らない状況だ。アメリカは現在民主主義の危機だ。日本も同様にそうなる可能性を意識する必要がある。

【感想】
日本を第2の故郷として愛して...続きを読むくれている著者が、日本の良くないところを外国人の視点で厳しく批判している一冊です。

きちんとアメリカの現状と過去の歴史に対する痛烈な批判(日本への批判より厳しい)を加えながら書いている為、自国自慢をしながら他を貶めるような嫌味なところはありません。

むしろ地球学者(地震学者)でありながら、幅広い目線で日本の多くの問題点を厳しく指摘するその文章は読んでて心地よく感じるくらいです。


おそらく、大昔から日本にはびこる「不作為」。それはつまり、物事に対して消極的であること。事なかれ主義、責任の曖昧化、なんとなくぼやっとさせてやり過ごす姿勢。
国のトップから末端の我々に至るまで、心と体に染み付いた性根根性でもあることでしょう。
いわゆる曖昧な文化、ニッポンです。
ただ、それが我々にとって大きな損失であることをきちんと説明し、声をあげるよう励ましてくれています。

日本が世界から見られた時に、非常に生産性の低い国としてバカにされているという事実。それも根本的に改善できるはずが、これまでの風習や、「昔からそういうものだから」という考えでなんの変化もなく数十年も同じことを繰り返しているのです。

そういう意味でいうと、英語教育に対する著者の考えは目を見開かれました。
日本人は、高校まで就学する人であれば6年間、大学で2年学ぶとすれば8年間も英語を学びながら、英語を日常的に使いこなしている人は何割いるんでしょう。
それはもう、改善が重ねられながらも英語教育の方法自体が失敗であることは明らかです。
だが、失敗を認めようとしない人達がいる。
また、失敗か成功かを考えもしない私達がいる。

そうする中で日本は海外から取り残され、国際情勢や経済活動においても不利な立場に追い込まれるのです。


不作為はそれをなす人たちの非常に大きな問題点ですが、何よりも私達自身が政治や経済、社会に対して不作為であることが一番の問題であることを気付かせてくれる一冊でした。

一点、不満を言うのであれば、日本の問題点については耳が痛くなるほど教えてくれますが、その1つ1つに対して、他国との比較がより具体的に欲しいところでした。

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