あらすじ
1990年代後半からトレーディング業界にとっては好ましい大きな変化があった。トレード手法に関する情報が激増したことと、トレード戦略を数値で示す技術が発達したことだ。今ではエクセルなどを使えば、検証作業は数分で終わってしまう。逆に好ましくない変化は、数多くあったエッジ(優位性)が消え、市場が効率化してしまったことだ。
本書では、世の中が大きく変化するなかで、昔も儲って、今も変わらず儲かっている手法を伝授する。
本書は、市場哲学や市場心理や市場戦略を交えて展開していく。さまざまな市場・銘柄を例に見ながら、アメリカだけではなく世界で通用する内容となっている。著者のトレード哲学は「平均値への回帰」である。その意味は単純に、行きすぎたものは必ず元に戻る――ということだ。それを数値で客観的に示していく。
市場の短期的な動きを数値化したうえで、銘柄を買うなら、3日連続で上昇したあとよりも、3日連続で下落したあとのほうが良い結果になることを示している。短期トレードの場合、高値で買ってより高値で売るブレイクアウトの戦略よりも、安値で買って高値で売る押し目買い戦略のほうが有利であることを、統計的に示していくのだ。
本書は次のように構成されている。まずは、市場特有の動きを探る。そして市場での押しや戻りを見極め、どうしてそれが儲け時なのかを見ていく。また、日足と日中足を見ながら、2期間RSI(相対力指数)だけで、下落時のトレード方法とタイミングを学ぶ。そして「ストップを置く」「オーバーナイトはリスクが高い」などのトレードでは常識と思われていたことが非常識になっていることも統計的に示していく。
その後は、戦略の話へと移っていく。本書で学ぶ戦略は、すべて10年以上の研究によって裏付けされている。それぞれの戦略のルールとその戦略の検証結果を読者の皆さんに紹介する。株式売買の戦略と指数先物のタイミング戦略も、すべて数値でその根拠を示す。日足を使った戦略を探している読者の皆さんにとって、本書は最高の手引書となるだろう。 その次に、手仕舞いについて細かく見ていく。トレードは仕掛けて終わりではない。適切に仕切れば、仕掛け時のエッジを最大限に引き出すことができる。そこで、いくつかの出口戦略とその戦略の有効性を証明する統計を見ていく。
最後に、トレードで成功するために最も重要であると言っても過言ではないのがトレード心理だ。そのトレード心理について、アメリカ海軍特殊部隊“シールズ”の元隊員から、決断を下す方法と自分が下した決断を完璧に実行する方法を具体的に学ぶ。
読者の皆さんが、本書からトレーディングについて多くのことを学び得ることを期待している。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
儲かる16の短期トレード戦略
戦略1 買いは下落時が狙いどき、けっしてブレイクアウトではない!統計ではこれを強く支持している。
戦略2 株は数日連続して急落した後に買え。急上昇後ではない。
戦略3 株は200日移動平均線の上にあるときに買え。
戦略4 株はVIX指数が10日移動平均線から5%以上離れて上昇したら買え。10日移動平均線から5%以上離れて下落したら、利益確定(売り)。
戦略5 紹介したとおり、ストップは高いコストを伴う保険である。
戦略6 迷ったときはポジションをオーバーナイトする。過去において、そこから生まれた利益は大きなものだった。
戦略7 さらにエッジを高めるために、株は日中で下落したら買え。
戦略8 毎回2期間RSIを使ってトレードせよ。聖杯に最も近い指標だからである。
戦略9 株は2期間RSIが5以下のときに買え。
戦略10 累積RSIを使ってトレードせよ。累積RSIが低ければ低いほどよい。
戦略11 ダブル7(1.SPYが200日移動平均線の上にある 2.SPYが直近7日の最安値で引けたら、買い 3.SPYが直近7日の最高値で引けたら、手仕舞い)を使って米国や世界の指標やETFをトレードせよ。
戦略12 マーケットタイミングの章で触れたように、TRIN、VIX、2期間RSI、および価格を使って、マーケットタイミングを計れ。
戦略13 月末に株を買え。特に1〜2日連続して下げた後の株を買え。
戦略14 優れた出口戦略は多くある。重要なのは、動的な戦略を必ず選ぶことである。最良の出口戦略は、5日移動平均線の上で引けたときに手仕舞う戦略とRSIを使った出口戦略である。
戦略15 日々のトレードで起こりうる数多くの現実問題に対処するための計画を立てておくこと。プロのトレーダーになるには、それなりの準備を欠かしてはならない。
戦略16 最も重要な戦略は、心理から始まる。心理によって成功できるかどうかが決まる。目標に集中していればいるほど、大きく成功し、高い利益を上げることができる。
コナーズ×マコウィッツ対談
「特殊部隊だろうと、ほかのどんなことだろうと究極の成功を収めるには実はたったひとつのことにかかっている。どれだけそれを欲しているか、ということさ。」
「オレが自分に言い聞かせる格言だ『死んでないんだから、やめられない』」
「人が敗北するには2通りしかない。あきらめるときと、死ぬときだ。」
「オレが見てきた成功を収めている人たちに、ひとつ必ず共通しているのは、最後まで終わらせてやるというこだわりを持っていることだ。もちろん、彼らは選択を恐れていないし、実行に移す勇気もある。だが、彼らが優れていたのは、何があろうとも最後までやり遂げるというこだわりを持っていたということだ。」
「目標達成へ全神経を集中し、けっしてやめないこと。」
Posted by ブクログ
5日以内で勝負する、株式の短期売買の手法について書かれた本です。
ここで取り上げられているのは米国株式や米国の株価指数先物(S&P)ですが、説かれているトレード手法は他国の株式や株価指数にも十分対応できると思います。
ストップを置くことに反対したり、取ったポジションの決済は当日ではなく翌日以降に持ち越した方が良い、とか一見常識外れのようですが、その根拠をデータを駆使して説明しており、結構説得的。
またRSIやVIX(恐怖)指数を利用した手法などを紹介していますが、それぞれシンプルで利用しやすいものばかりだと思います。
この手法で勝負するかどうかは別として、ひとつの参考として読んでみても面白いかと。