あらすじ
「正しい道は遠くにあるわけではありません。 あなたが今見ている道にほかならないのです」
「稲妻のような一瞬の生涯を駆け抜けて、 私たちはみな独りで生まれ、一人で死んでゆく」
1200年の時を超え、今なお私たちの人生を照らす弘法大師の言葉!
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空海が弘法大師であることは誰もが知っていることです。そして、多くの人々が四国遍路をして空海とともに旅をしています。「お大師さん」と親しまれ、信仰者もたくさん存在します。
しかし、その一方で、空海が書いた膨大な著作群に触れている人はほとんどいません。このことは本当に不思議なことです。
空海が天才という理由は、平安時代に中国から密教という一大文化体系を持ち帰っただけでなく、日本初の庶民のための私立学校「綜芸種智院」の設立、日本最大のため池「満濃池」の修築、戯曲的構成で書かれた日本初の思想小説「三教指帰」など、他にも日本初の画期的な事業を多く成し、その業績が非常に多岐にわたっているからでしょう。
この空海をより多くの読者のみなさんに知っていただき、現代にフィットした空海像を描きたいと考えて、口語訳の格言集スタイルとしてまとめたのが本書です。
私たちは、人生の一瞬一瞬で迷い、傷つき、時には死にたいほどの絶望を感じます。そんなとき、この本を手に取って、生死について、少し真剣に思いを馳せてみてはいかがでしょう。
編訳者は『夢をかなえるゾウ』の水野敬也氏の発掘などで知られるカリスマ編集者・川辺秀美氏。
そして監修者として、高野山大学の武内孝善教授にご協力いただいています。
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Posted by ブクログ
2013年の1冊目ということで、サクっと読めつつそれなりに実のある本をチョイス。
弘法大師空海の著作から彼の思想を示している場所を編者が選び、簡易な現代語に訳してくれています。原文も一緒に書かれているので、そちらを読みつつ現代語訳を見るのが楽しいです。余計な解説がされていないのもGood。「専門家」の意見に邪魔されず、自分なりに空海の言葉に触れられます。
当然ながら座右の銘ともなりそうなものが多いですが、それを一生懸命探しながら読むというより、なにかの折に何度も開いてみて、その時々で自分の心に響くものを選んでみる、というのも面白いと思います。ちなみに今回は200のうち、ちょうど10個の「言葉」が、今の自分に引っかかってきました。また別の機会に読んだら、違うものが心に残ってくるのかもしれません。
Posted by ブクログ
わかりやすく読みやすいように現代語訳されていた。
原本の空海の言葉は難しいけれど、とても美しい。
諳んじたいほどだ。
生身の空海が感じられるような思いがした。
とても魅力的な人物だと思っていたけれど、この本からは、より一層彼の聡明さを感じた。
Posted by ブクログ
空海の言葉を現代風に訳し,200の言葉を紹介した一冊。あえて解説を廃しているんだろうけれど,正直なところ,理解にまで至らない言葉も結構あった。
そもそも今日読んで明日わかるようなお手軽なノウハウの類ではないんだろう。そういう理解で何回か読むタイプの本なのだろう。それにしても空海は奥深いなあ。
Posted by ブクログ
遠くからは現実のように見えたけれど、近づいたら幻だった。
正しい道は遠くにあるわけではありません。
あなたが今見ている道にほかならないのです。
Posted by ブクログ
今年9月ごろ、東京国立博物館で開かれた「空海と密教美術展」を観て、感銘を受けた。
特別展示のラストで様々な仏像を集めて、密教宇宙を体感させる仕掛けには驚いてしまった。
空海と言えば真言宗、と受験知識しかなかったけれど、日本の仏教においてこんなにも大きな役割を果たしていたのか、とその存在にびっくりした。
学びたいものが国内にないからと中国に渡り、密教(秘密の仏教)を持ち帰っただけでなく、ブッダの教えをかみ砕いて、より一般に普及させたのだ。
美術展では空海直筆の書も展示されていたけれど、きれいで穏やかで優しい字だった。
そんな空海の名言を、絶妙な現代訳であえて解説を入れずにまとめられたもの。
訳者が一方的に解説を押し付けないところがすごくいい。
素敵な言葉はたくさんあるけれど…
「心の中は無限に広い」
「あなたの心が暗闇であれば、巡り合うものはすべて禍いとなります。あなたの心が太陽であれば、出会うものはすべて宝となります。」
というのが好き。
Posted by ブクログ
こういう本は読み終わったというものでは無いと思うのですが
一応、すべて目をとおしました。
さあっと目をとおした中で気になった言葉をかきとめておくと
【あなたの心が恐怖につつまれたときには、「あらゆるうものはことごとく因縁によって生じたものであった、永遠不変のものはない」ということを、一つひとつ丁寧に瞑想しなさい】
【哀しくって、哀しくって。言葉で言い尽くせないほど、哀しくて哀しい。
悲しくって悲しくって。心で表せないほど、悲しくて悲しい。さとりをひらけば、何ものにも惑わされないというけれど、愛する人との別れには、涙を流さずにはいられなかtったのです。】
【生れ生れ生れ生れて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終わりに冥し。】